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177.2 第166話【後編】

10:50
 
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Manage episode 387062652 series 2621156
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小便器の前に立って用を足す椎名の背後から声が聞こえた。

「Присоединение капитана к войскам завершено.部隊合流完了。」

「Я слышал, что продукт был передан стороне "У Даба".例のブツはウ・ダバ側にわたったらしいな。」

「Извинения.申し訳ございません。」

「Никогда больше не делайте так плохо надписи на дне кофейной чашки и не присылайте мне информацию.

Это оставляет следы.コーヒーカップの底面に文字を書いて俺に情報を寄越すような下手なやり方は二度とするな。

痕跡が残る。」

「Однако слежка настолько сильна, что информация не может быть передана майору.しかし監視の目が強くて、少佐に情報を流せません。」

「О чем вы говорите. Так можно было бы обмениваться информацией.何言ってるんだ。こうやって情報のやりとりが出来ているだろう。」

「Такой подход также опасен.このやり方も危険です。」

「Временные ленты социальных сетей постоянно просматриваются.Сделать сообщение, связанное с Клуб конституционной свободы.SNSのタイムラインは常時見ている。立憲自由クラブ関連のポストをせよ。」

「Роджер.Счет... Я люблю Японию.了解。アカウントは…日本大好き。」

彼のネーミングセンスに椎名は思わず吹き出してしまった。

「Должны присутствовать символы как японского флага, так и военного флага. Я думал, что это будет легко заметить.日本国旗と軍旗のマーク、両方入れておきます。目につきやすいかと。」

「Здравый смысл.良いセンスだ。」

小便器の流れる音

「完全に分裂やな。よくやった椎名。」

「私ではありません。空閑の力です。」

「特別なコミュニケーション…か。」

ー気づいているな。あの感じ。

手を洗う音

ーここいらで気づいてもらわないと…ね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

電話がかかってくる音

「你好 啊,是李先生 最近怎么样? 有什么发现吗? もしもし。あー李さんか。どう?何か分かった?」

「诶? 发现什么了? 你知道谁进出过 "白银 "家吗? え?何?その「白銀」って奴の家に出入りしていた奴知ってるって?」

「什么? 你说他给人留下深刻印象 是因为他戴着圆形太阳镜? えっ?丸いサングラスかけてたから印象に残ってたって?

「我不知道我是否知道他的名字... 名前は分かるかな…。」

「锅 岛…。 鍋島…。」

江國の上半身の至る所から急に冷や汗のようなものが流れてきた。

「嗯......对了,你知道'白银'本人的任何信息吗? あの…因みに「白銀」自身の情報って知らないかな?」

「不知道... 我就知道... 我想是的 李先生说得没错 你一定是干这行的 よくわかんないか…。やっぱりそうか…。そうだろうね。まぁ李さんの言うとおり、その筋の人間だろうね。」

「谣言? 什么谣言? 当时的谣言? 谣传人民解放军里有个尖子叫白银? 噂?何?当時の噂かい?人民解放軍に白銀って言われる切れ者がいるって噂?」

「不,我从来没听说过... 我是说,我跟共产党和解放军都没关系 不,等等 你说的解放军 你听说过白银在解放军的什么地方吗? いや…俺は聞いたことないな…。というか俺は共産党本体とか解放軍とは基本関係ないからさ。いやでも待ってよ。解放軍って言うけど、白銀はどの辺りのポジションだったか聞いてる?」

「在总参谋部是个相当不错的职位... 総参謀部の結構良いポジションだった…。」

「老实说,我对解放军的组织情况了解不多。 您能给我一些明确的信息吗? あの俺さ、解放軍の組織とか正直よくわかんないんだ。何かわかりやすい資料とかもらえるかな。」

電話を終えた江國の携帯にしばらくしてメールが送られてきた。

当時、白銀と称されていた人物が誰かと改めて聞き回ったところ、一人の人物が候補として上がってきたのでその資料も付けるとあった。

「やっぱり困ったときの李さんだ。」

組織図のURLと一緒に送られてきたPDFファイルを開くとそれは研究論文か何かだった。12年前のものだ。どうやら軍の内部で出回っているクローズドなもののようだ。

執筆者は王志強。人民解放軍総参謀部第七情報分析局とある。中国語で書かれたその論文の内容は極秘の作戦に従事する特殊部隊の創設は喫緊の課題であると説く内容のものだった。

「高度な訓練を受けた隊員による、情報収集、サイバー戦、対テロ作戦に対応する特殊部隊の創設が求められる…。」

江國はふとカレンダーを見る。今は2020年4月30日。これから12年前となると2008年だ。

「鍋島惇が初めて公に登場した熨子山連続殺人事件が2011年…。その3年前に既にはこんな論文を出してて、ここ日本で鍋島と実際に接触をしていた。しかも鍋島のほうから白銀の家を訪問していた?」

李より送られてきた資料には王志強の写真はなかった。

そのため白銀篤が王志強であるという確証は得られない。

「ツヴァイスタン、ウ・ダバ、アルミヤプラボスディア、ロシア。これだけでもかなりややっこしいのに、ここで解放軍まで参入…。」

神谷へ事の次第を報告する江國の手の震えは止まらなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

金沢市南部。

ベネシュは、狭く曲がりくねった道を慎重に進んでいた。

車のヘッドライトが時折、道の端に生えた濃密な緑を照らし出す。深まる夜。周囲は静かでありながら、何かが息づいているかのような、不可解な気配に満ちていた。

その道は藩政期から昭和初期まで石を切り出す作業員たちの足音で賑わっていたが、今は別の存在によって静寂が支配されている。車は洞窟の口まで到達するとエンジンを止た。ベネシュは深く息を吸い込む。彼はその黒々とした空間を見つめながら、潜伏していたトゥマンの人員たちが、命令一つですぐにでも動けるよう、緊張の糸を張り詰めていることを知っていた。

「Напоминает Афганистан. アフガニスタンを思い起こさせる。」

彼は独り言ちながら、車から降りて冷たい空気を肌で感じた。足音ひとつ立てずに洞窟に入ると、そこは驚くほど静かで、外の世界とは切り離されていた。

この場の人員はベネシュを含めて20名。彼らは無駄な会話を交わすことなく、それぞれが指定された位置に静かに座り、明日の作戦に備えていた。

ーВсе они выглядят хорошо. 良い面構えだ。

彼らの表情は、前夜の緊張と期待で硬直していた。ベネシュはその静寂を打ち破ることなく、腕時計を見た。時計の針はゆっくりと予定時刻に近づいていた。24時間後には全てが終わっているだろう。

彼は隊員たちの間を歩き、一人一人の目を見つめ、黙って頷いた。その頷きは、彼らがこの数ヶ月で築き上げてきた絆と信頼の象徴であった。

「Завтра ночью придет наше время. 明日の夜、我々の時が来る。」

彼の声は低く、しかし隊員たちにははっきりと届いた。彼らは言葉を交わさなくても、その言葉の重さを理解していた。ベネシュは再び外に出て、星の光も届かない暗い空を見上げた。
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「Присоединение капитана к войскам завершено.部隊合流完了。」

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「Извинения.申し訳ございません。」

「Никогда больше не делайте так плохо надписи на дне кофейной чашки и не присылайте мне информацию.

Это оставляет следы.コーヒーカップの底面に文字を書いて俺に情報を寄越すような下手なやり方は二度とするな。

痕跡が残る。」

「Однако слежка настолько сильна, что информация не может быть передана майору.しかし監視の目が強くて、少佐に情報を流せません。」

「О чем вы говорите. Так можно было бы обмениваться информацией.何言ってるんだ。こうやって情報のやりとりが出来ているだろう。」

「Такой подход также опасен.このやり方も危険です。」

「Временные ленты социальных сетей постоянно просматриваются.Сделать сообщение, связанное с Клуб конституционной свободы.SNSのタイムラインは常時見ている。立憲自由クラブ関連のポストをせよ。」

「Роджер.Счет... Я люблю Японию.了解。アカウントは…日本大好き。」

彼のネーミングセンスに椎名は思わず吹き出してしまった。

「Должны присутствовать символы как японского флага, так и военного флага. Я думал, что это будет легко заметить.日本国旗と軍旗のマーク、両方入れておきます。目につきやすいかと。」

「Здравый смысл.良いセンスだ。」

小便器の流れる音

「完全に分裂やな。よくやった椎名。」

「私ではありません。空閑の力です。」

「特別なコミュニケーション…か。」

ー気づいているな。あの感じ。

手を洗う音

ーここいらで気づいてもらわないと…ね。

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電話がかかってくる音

「你好 啊,是李先生 最近怎么样? 有什么发现吗? もしもし。あー李さんか。どう?何か分かった?」

「诶? 发现什么了? 你知道谁进出过 "白银 "家吗? え?何?その「白銀」って奴の家に出入りしていた奴知ってるって?」

「什么? 你说他给人留下深刻印象 是因为他戴着圆形太阳镜? えっ?丸いサングラスかけてたから印象に残ってたって?

「我不知道我是否知道他的名字... 名前は分かるかな…。」

「锅 岛…。 鍋島…。」

江國の上半身の至る所から急に冷や汗のようなものが流れてきた。

「嗯......对了,你知道'白银'本人的任何信息吗? あの…因みに「白銀」自身の情報って知らないかな?」

「不知道... 我就知道... 我想是的 李先生说得没错 你一定是干这行的 よくわかんないか…。やっぱりそうか…。そうだろうね。まぁ李さんの言うとおり、その筋の人間だろうね。」

「谣言? 什么谣言? 当时的谣言? 谣传人民解放军里有个尖子叫白银? 噂?何?当時の噂かい?人民解放軍に白銀って言われる切れ者がいるって噂?」

「不,我从来没听说过... 我是说,我跟共产党和解放军都没关系 不,等等 你说的解放军 你听说过白银在解放军的什么地方吗? いや…俺は聞いたことないな…。というか俺は共産党本体とか解放軍とは基本関係ないからさ。いやでも待ってよ。解放軍って言うけど、白銀はどの辺りのポジションだったか聞いてる?」

「在总参谋部是个相当不错的职位... 総参謀部の結構良いポジションだった…。」

「老实说,我对解放军的组织情况了解不多。 您能给我一些明确的信息吗? あの俺さ、解放軍の組織とか正直よくわかんないんだ。何かわかりやすい資料とかもらえるかな。」

電話を終えた江國の携帯にしばらくしてメールが送られてきた。

当時、白銀と称されていた人物が誰かと改めて聞き回ったところ、一人の人物が候補として上がってきたのでその資料も付けるとあった。

「やっぱり困ったときの李さんだ。」

組織図のURLと一緒に送られてきたPDFファイルを開くとそれは研究論文か何かだった。12年前のものだ。どうやら軍の内部で出回っているクローズドなもののようだ。

執筆者は王志強。人民解放軍総参謀部第七情報分析局とある。中国語で書かれたその論文の内容は極秘の作戦に従事する特殊部隊の創設は喫緊の課題であると説く内容のものだった。

「高度な訓練を受けた隊員による、情報収集、サイバー戦、対テロ作戦に対応する特殊部隊の創設が求められる…。」

江國はふとカレンダーを見る。今は2020年4月30日。これから12年前となると2008年だ。

「鍋島惇が初めて公に登場した熨子山連続殺人事件が2011年…。その3年前に既にはこんな論文を出してて、ここ日本で鍋島と実際に接触をしていた。しかも鍋島のほうから白銀の家を訪問していた?」

李より送られてきた資料には王志強の写真はなかった。

そのため白銀篤が王志強であるという確証は得られない。

「ツヴァイスタン、ウ・ダバ、アルミヤプラボスディア、ロシア。これだけでもかなりややっこしいのに、ここで解放軍まで参入…。」

神谷へ事の次第を報告する江國の手の震えは止まらなかった。

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金沢市南部。

ベネシュは、狭く曲がりくねった道を慎重に進んでいた。

車のヘッドライトが時折、道の端に生えた濃密な緑を照らし出す。深まる夜。周囲は静かでありながら、何かが息づいているかのような、不可解な気配に満ちていた。

その道は藩政期から昭和初期まで石を切り出す作業員たちの足音で賑わっていたが、今は別の存在によって静寂が支配されている。車は洞窟の口まで到達するとエンジンを止た。ベネシュは深く息を吸い込む。彼はその黒々とした空間を見つめながら、潜伏していたトゥマンの人員たちが、命令一つですぐにでも動けるよう、緊張の糸を張り詰めていることを知っていた。

「Напоминает Афганистан. アフガニスタンを思い起こさせる。」

彼は独り言ちながら、車から降りて冷たい空気を肌で感じた。足音ひとつ立てずに洞窟に入ると、そこは驚くほど静かで、外の世界とは切り離されていた。

この場の人員はベネシュを含めて20名。彼らは無駄な会話を交わすことなく、それぞれが指定された位置に静かに座り、明日の作戦に備えていた。

ーВсе они выглядят хорошо. 良い面構えだ。

彼らの表情は、前夜の緊張と期待で硬直していた。ベネシュはその静寂を打ち破ることなく、腕時計を見た。時計の針はゆっくりと予定時刻に近づいていた。24時間後には全てが終わっているだろう。

彼は隊員たちの間を歩き、一人一人の目を見つめ、黙って頷いた。その頷きは、彼らがこの数ヶ月で築き上げてきた絆と信頼の象徴であった。

「Завтра ночью придет наше время. 明日の夜、我々の時が来る。」

彼の声は低く、しかし隊員たちにははっきりと届いた。彼らは言葉を交わさなくても、その言葉の重さを理解していた。ベネシュは再び外に出て、星の光も届かない暗い空を見上げた。
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