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このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら スリッパを引きずるような音が聞こえたため、楠冨はそちらの方を見た。 力なくスツールに腰を掛ける検査着姿の光定がそこにあった。 「先生…。」 うつむいたまま反応を示さない光定を見て彼女はそっと湯呑を差し出した。。 「ささ、熱いお茶でもお召し上がってください。体が温まりますよ。」 「うん…。」 茶をすする音 静寂の中、ただ光定の茶を啜る音だけがこの空間に響く。 二人の間に無言の時間がどれだけ流れただろうか。 このいつまで続くかわからない沈黙を破ったのは光定だった。 「何も聞かないんですね。」 「何のことですか。」 「僕が急にいなくなったこと。」 ーなんだ…随分流暢に話すじゃないの。 「私が聞いてどうなるんですか。」 「何…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「あぁ。ご報告ありがとうございました。え?それはもう…ええ。東京のとある財団の専務理事に空席が出るらしくてですね。話しはすでについていますからご心配なく。え?あぁ…勿論、東一出身者の特別ポストですよ。理事長さんはただの飾りですから、井戸村さん。そこならあなたの予てからの希望の通り、石川なんて田舎じゃなく、東京でやりたいようにやれますよ。」 石大病院の外、バスのりばのベンチに腰を掛けて電話をする相馬の姿があった。 「私ですか?私はこのとおりしがない人材コンサルタントです。これが私の仕事ですので仕事をしたまでですよ。」 「いや、突然電話をかけてきたかと思えば、どうしてこうも私の心情の内幕までも全て知ってるんですかね。此処…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「死んだ!?小早川が?」 「おいや。自殺。あんたがさっきまでおった研究室から飛び降りた。」 「なんで?」 「わからん。」 「本当ですか…。」 「本当。いよいよヤバい感じや。三波あんた、今どこや。」 「まさにいま新幹線降りたところです。金沢駅です。」 「よしわかった。んならそのまま駅におってくれ。迎え寄越す。」 「迎えですか?」 「あぁこの手際の良さ、マジもんの仕業や。このままやとあんたの身に危険が及ぶのは時間の問題。」 三波はとっさに壁を背にした。そしてあたりを見回す。制服姿の学生、スーツを着た仕事上がりの男。携帯の液晶画面を巧みな指使いでなぞるOL風の女性。 ここを行き来すす殆どの人間が、束縛から開放されたような感…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「それが朝戸を鍋島にするってやつだったってか。」 「そう。」 「でも、すでにその実験は失敗に終わっている。その失敗続きのそれを、なんで朝戸にもって思ったんだ。」 「可能性をみたんだ。」 「可能性を見た?」 「うん。鍋島能力の発動の条件には膨大な負のエレルギーの蓄積ってのがあるんだけど、そのときの朝戸の感情の爆発は凄まじくってね。いままでに経験したことがないほどのものだったんだ。鍋島自身が抱えていた負のエレルギーも凄いけど、これも相当なもんだ。だから今度はうまくいくかもしれないって思ったんだ瞬間的に。」 「負のエネルギーか…。」 「ビショップ。君は当時の朝戸ほどの負のエネルギーは持ち合わせていない。東京で施術した対象の…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 5年前… 「はい。」 「光定先生ですか。外来に先生を訪ねてきた方がいらっしゃってまして。」 「だ…れ?」 「あの…朝戸さんとかおっしゃっています。」 「朝戸?」 「はい。どうします。」 「あ…じゃあ…僕の部屋まで案内してあげて…。」 「え、いいんですか。」 「う…ん…。」 「でも第2小早川研究所の立ち入りは小早川先生から厳重に管理せよと言われているんですが。」 「問題ない。その人は信頼できる人だ。」 ドアが開く音 「よう。」 「どうしたの。」 「どうもこうもない。」 そう言うと朝戸は1枚の写真を写真を光定に見せた。 「なにこれ?」 「犯人。」 「え!?」 「紗季を殺した犯人さ。」 「…本当なのか。」 朝戸は首を縦に振…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「鍋島!?」 「ええ。研究対象の鍋島能力。その保持者であった本人です。」 「な…なんで…こんなものが…こんなところに…。」 「天宮先生の手配です。ちょっと警察の方面に手を回してこういうことにしてくださったんです。」 「ば…ばかな…わたしはこんなこと聞いていない。」 腰を抜かしたまま小早川はホルマリン漬けになっている人間を仰ぎ見る。 筋肉質な体型を保ったままのシルエットは美しかった。 彼の視線は体の全体的なシルエットから各部へと移動する。 すると特徴的なものに気がついた。 「なんですかこの体は…。」 体のいたる所に縫合の後が見える。 「体だけじゃなくて顔も色々いじってたみたいですよ。」 「え…顔?」 そういうと小早川は…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「なんだってこんなところなんだ…。」 車一台がやっと通れるくらいの舗装されていない狭い道。 雨によってそれは泥濘んでいた。 ひょっとするとタイヤがスタックするかもしれない。 自身のない空閑は車を止め、その道を徒歩で進んでいた。 歩くこと数分。ようやく開けた場所に出た。 朽ちた小屋がある。 その側には車が止まっていた。 「四駆か…。」 扉を開く音 「遅かったね。」 暗がりに白いシルエットが見える。 白衣姿の光定だった。 「まぁ…。」 木床の軋む音 「ここは?」 「あぁ塩島一郎って爺さんの持ち物さ。ちょっと拝借したんだ。」 「いや、そういうことじゃなくて。なんでこんな熨子山の小屋なんかで。」 「熨子山って言ったら思い出さ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 石川大学病院部総務人事課。 人事課長の坊山に耳打ちする者がいた。 「え?光定先生が?」 「はい。急用が入ったっておっしゃって席を外してそのままなんです。」 「何?帰ったん?」 「わかりません。」 「はぁ…。で、診療の方は?」 「代わりの先生にまわしてもらっていますが、患者の待ち時間が…。」 「んなもん仕方ない。患者には事情を説明してなんとかしてもらえ。」 「はい。」 ーまずいことになった…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1時間前。 「は?ウチの中村になりすまして小早川教授と面会?」 「そうだ。」 「え?今朝、部長にも電話でお伝えしたでしょう。中村は今日は休みです。中村本人じゃなくてです…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 今回は左甚五郎さんからお寄せいただいたお便りです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【公式サイト】 http://yamitofuna.org 【Twitter】 https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVM ご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。 皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。 すべてのご意見に目を通させていただきます。 場合によってはお便り回を設けてそれにお答えさせていただきます。闇と鮒 による
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 今回お便りをお寄せくださったのは笹木雅貴さんと肉団子さんです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【公式サイト】 http://yamitofuna.org 【Twitter】 https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVM ご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。 皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。 すべてのご意見に目を通させていただきます。 場合によってはお便り回を設けてそれにお答えさせていただきます。…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「え?直接投与する?」 「うん。」 「でも…まだ実用化できてないよ。」 「実験で構わない。今すぐ試したいんだ。」 「でも僕はいま手が離せない。」 「俺がやる。」 「ビショップ。君が?」 「ああ。俺がやる。」 「でも方法を君は知らない。」 「教えてくれ。」 「教えても無理だ。」 「なぜ。」 「物理的な理由さ。」 「なんだそれは。」 「こんな意味のないことをここで君に開陳する意味を僕は見いだせない。」 「じゃあ聞く、仮にその物理的な問題を克服したら瞬間催眠は実用化できるのか。」 「今よりは実用化に近づく。」 「どの程度。」 「完成が100とすれば80まで一気に進むだろう。」 「教えてくれ。」 「だから無理なものを議論する…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「素早い仕事ごくろうさん。」 「ありがとうございます。」 「これなら自殺ってことで大事にもならないだろう。」 「はい。」 「続いてもう一件頼む。」 「はっ。」 紀伊の携帯にPDFが送られてきた。 「これは?」 「ちゃんねるフリーダムというネットメディアの記者、三波宣明(のぶあき)だ。」 紀伊はちゃんねるフリーダムという言葉を聞いて表情が固くなった。 「この男が何を。」 「石川大学の総務の中村であると偽って、今朝小早川と接触をしていた事が判明した。」 「なんと…。」 「この三波を消すんだ。」 「え?」 「身分を偽ってまで小早川と接触をする奴だ。普通の取材じゃない。」 「あの…專門官。待ってください。それだけで消すんです…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 電子鍵が開かれる音が聞こえたため、窓から外を見つめていた小早川はそちらの方を見た。 そこには警備員姿の男が立っていた。 一介の警備員がなんの断りもなく研究室の鍵を勝手に開けて入ってくる事自体がありえない。 あまりもの想定外の状況を目の当たりにして、小早川は反応に困った。 「なんだ…君…。」 小早川がこういった瞬間、突如として警備員は小早川の背後に回り込んだ。そしてハンカチのような布で彼の口元を抑える。 まもなく小早川は気を失った。 「小早川先生!守衛室です!応答願います!小早川先生大丈夫ですか!」 どうやらとっさに小早川は非常通報装置のボタンを押していたようだ。 「チッ。」 警備員姿の男は窓から外の様子を見る。 今の…
 
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このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「わかった。とりあえずあんたはすぐに石川に戻ってくれ。」 「すぐって?」 「今すぐ。この手のことはぼやぼやしとると、気がついたらもう逃げられん状況に追い込まれとるなんてよくある。小早川はうまく騙せたとしても、その先のやつがあんたを放っておくことは考えにくい。」 「その先…。」 「ああ。」 「…片倉さんは、その先の奴ってなにか情報持ってるんですか?」 片倉はしばし黙った。 「心当たりありそうですね。」 「…あくまでも心当たりやけどな。」 「それを聞くわけにはいきませんか。」 「…いまの段階では。」 三波はポケットの中からイヤホンを取り出してそれを装着した。 「じゃあ、また連絡するわ。」 「待ってください。」 「あん?」…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 携帯に通知が届いた。 即座に岡田はそれを開く。 「確かに残念な具合にハゲ散らかしてるな…。」 そう言うと彼はその画像を側にいた捜査員に転送した。 「いま画像送った。そいつをすぐに照会してくれ。」 「はい。」 マウスの音 「うん?」 「どした?」 「課長…この人…。」 「なんや。」 「自分知っとります。」 「は?」 「そっくりです…昔、自分、能登署におったときの相勤に。」 「サツカン?」 「いえ。今はヤメ警のはずです。」 「ヤメ警…。」 「念の為特高にでも照会とってみましょうか。あそこならすぐ対応できるはずです。」 捜査員は連絡を取ろうと電話の受話器をとった。 「待て。」 「えっ。」 「ワシをすっ飛ばして頭越しに直でや…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「そうなんです…。目を離した一瞬をつかれました。」 「走る車に自分から突っ込んでいった…。」 「はい。」 「…古田さん。」 「はい。」 「天宮にしろ千種にしろ、古田さんが話を聞きに行った相手が、即効で死んどる。」 「…はい。」 「これなにかの偶然?」 「そうとしか…。」 「天宮は他殺。千種は自殺やしな。」 「はい。」 さすがの古田の声にも力がなかった。 それはそうだ。こうも立て続けについ先程までやり取りしていた人間が直後に死亡したのだ。 ショックを受けて当然だ。 「しかし…こうも調べの対象が即死亡ってのは具合が悪い…。」 「はい。」 「他部署が捜査を仕切るから、ウチら弾かれる。」 「はい。」 「もうここまできたら、そ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 石川大学医学部の駐車場。ここの車で人の往来を観察する古田がいた。 「ふーっ…石大の医学部とか病院とか、なんやかんやでワシここにべったりじゃないですか。」 「んなこと言わんと。」 「せっかく母屋でコチーって座って仕事できるかと思ったら、また現場。しかも雨。ねぇ岡田課長。」 「人手が足りないんですよ。」 「あ、出てきた。んじゃまた後で。」 そう言って古田は電話を切った。 「千種さん。」 傘を指しているその背後から声をかけられた彼は振り向いた。 「千種賢哉さんですね。」 「…。」 「あの、千種賢哉さんですね。」 「違います。」 「え?」 背を向けて付近のコンビニに向かって歩き出したため、古田はそれを追った。 「ちょ…ちょっ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「はい。間違いなく中村文也は石川大学病院部総務人事課の人間です。」 「わかった。スクリーンショットでいい。送ってくれ。」 「はい。」 紀伊は言われたとおり、画面に表示されるそれを送った。 「ところで百目鬼はどうだ。」 「班長をよく思っていない様子です。」 「そうか。」 「はい。自分に班長の代わりを担わせたい的なことをほのめかしてらっしゃいました。」 「それは良かったじゃないか。」 「…いえ。」 「どうした?あまりパッとしない様子だな。」 「…そこで相談したいことがありまして。」 「何だ。」 「あの…ここではちょっと…。」 「わかった。あれで。」 「了解。」 席を外した紀伊はトイレの個室に移動し、SNSを立ち上げた。 …
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら ベッドに横になったまま空閑はスマホの画面に指を滑らしていた。 「あれ?」 ちゃんねるフリーダムのアーカイブ動画の一つをタップすると「諸般の事情で配信を一時的に停止します。再開の目処がたった段階で改めてお知らせします。」との表示が出た。 「なんだこれ…どうしたんだ。」 ベッドから身を起こした空閑は他の動画を確認した。 普通に再生されるものもあれば、今ほどのテキストが表示され、動画が再生されないものもある。 「メンテナンスでも入ったのか…。」 彼は歯噛みした。 「糞が…よりによってなんでこのタイミングで…。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 車内の音 ーやっぱりだ…。 ルームミラーに目をや…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら No.2の扉が開かれ中から男二人が出てきた。 「おはようございます!椎名さん。」 「えっ。」 不意に大きな声をかけられた椎名はあたりをキョロキョロと見回した。 廊下の向こう側にリックを担いだ見覚えのある女性が立ってこちらに手を振っていた。 「あ、片倉さん。」 「お、京子のやつ来てたんだ。」 彼女はこちらに駆け寄ってきた。 「どうしたんですか椎名さん。こんな朝早くに弊社にお越しだなんて聞いてませんよ。」 「あぁ…実はちょっと本業の方で安井さんに用がありまして。」 「本業?」 「ええ。印刷の方で。」 京子は安井を見る。 「記念誌。」 「記念誌?」 「ああ。創業5周年の記念誌製作。」 「え?そんな話聞いてません。」 「俺は…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「全部ですか?」 「うん。ここのリストにある動画全部止めてくれない?」 「そんな…。」 「社長命令。」 「本当ですか!?」 「ああ本当。」 「わかりました…。」 編成責任の彼は黒田に言われたとおり、パソコンを操作してそれらの配信を止めだした。 「全部手作業です。ある程度時間かかります。」 「いい。いっぺんに全部消えるより自然でいい。」 「でもユーザー対応どうします?」 「諸般の事情で配信を一時的に停止します。再開の目処がたった段階で改めてお知らせします。この文章を配信停止コンテンツに表示できるようにできない?」 「できます。」 「じゃあそんな感じでお願い。」 「わかりました。」 「このこと社内で知ってるのは俺と君だけ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「はい小早川です。あぁ部長。…そうですね。まぁ一ヶ月程度はやはり見てもらわないと。それにしても部長も人が悪い。私のことをヒアリングする人間をよこすならよこすで、事前に言ってくれればそれなりに対応したのに。…え?そんな人間派遣していない?」 小早川の顔つきが変わった。 「じゃあ、いま私の目の前にいる中村って誰なんですか。」 「…。」 「…ええ。はい。いま私の研究室に居ます。」 「…。」 「休み?はぁ…ほう…。あぁなるほど…そうなんですか。仕事熱心な人材なんですね。ええ、わかりましたよ。いえ、無礼ではありません。むしろ優秀じゃないですか。」 電話を切る音 「部長びっくりしてましたよ。」 「え…。」 「あなたが有給休暇使っ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「愚民ね…。ホッホッホッ…。」 ー何だこいつ…。本気でやばい奴なんじゃねぇの…。人が二人死んでんだぞ。なのにここで笑うか? 「どうぞ。」 三波の前にコーヒーが出された。 「大したものではありませんが。」 「いえいえ…先生直々にとはもったいない。ありがたく頂戴します。」 こう言って三波は出されたそれに早速口をつけた。 「はぁー。うまい。」 「それは結構なことです。」 小早川もまた自身が手にするコーヒーカップに口をつけた。 三波は周囲を目だけでさっと見回した。 書架には学術書のようなものが整然と並び、机にはラップトップのパソコンが配され、必要最小限の書類しかない。 何度か大学の研究室なるものを訪問したことがあるが、この空…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 今回お便りをくださったのはテナガエビさんです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【公式サイト】 http://yamitofuna.org 【Twitter】 https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVM ご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。 皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。 すべてのご意見に目を通させていただきます。 場合によってはお便り回を設けてそれにお答えさせていただきます。闇と鮒 による
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 時刻は7時50分。椎名の勤務する印刷会社の始業時刻は8時15分。始業25分前の到着。余裕のある朝だ。 制作フロアには椎名以外のスタッフはまだ出社していない。 彼は自席パソコンの電源を入れ、次いで各種端末を立ち上げた。 いつもの通りならあと10分ほどでこの部署の課長が出社する。 それまでは彼を邪魔するものはない。 人の気配を確認した椎名はおもむろに携帯のSIMカードを入れ替えた。 しばらくして通知が画面に表示された。 「ルークか…。」 こうつぶやくと椎名はそれをタップした。 「よくわからないことが起きている…だと…。」 会社の自販機で買った缶コーヒーの蓋を開けた椎名はそれにレスポンスする。 「具体的に教えてくれ。」 間…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「え?サブリミナル?」 携帯のマイク部分を手で覆って、周囲の人間に聞こえないように黒田は小声で通話を続ける。 「うん。そのリスト送ったからちょっと見てくれんけ。」 「は、はい…。」 メールを確認した黒田はそこに添付されているファイルを開いた。 「本当ですか…これ…。」 「面食らうやろ。その多さに。」 「は、はい…。」 「ちょいその中のどれかを一回確認してみてくれんけって言いたいのは山々ねんけど、それはせんといて欲しいんや。」 「なんでですか。」 「確認するお前がそのサブリミナルの餌食になる。」 「あ…。」 「このリストは人の手で作っとらん。所謂AI的なあれに抽出してもらった。こいつの影響を最小限にするためにな。」 「…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら スマートフォンを手にして公園のベンチに腰を掛けている男がいる。 ノーネクタイのスーツ姿。傍らにはブリーフケースもある。装いは明らかに会社員。 鞄と一緒においてあったコンビニ袋に手を突っ込んでパンを取り出した彼は、それを齧った。 いまは平日の出勤時間。 この公園を一歩出ると、すぐそこにあるのが霞が関。そこには彼と同じような姿形の人間が重苦しい顔をして忙しなく出勤中。 いまのここと向こうでは明らかに時間の流れ方が違う。そして聞こえる物音も。 彼はときおり聞こえる小鳥のさえずりを耳にし、全身で朝の清らかな空気を感じていた。 携帯電話が震えた。 パンを頬張った彼の口の動きは止まった。 画面を指でスクロールしながら彼の口から声…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 金沢市郊外の鄙びた外観の喫茶店セバストポリ。この店の中のカウンター席に加賀と黒田が隣り合うように座っていた。 「え?退職金の前借りですか。」 「うん。」 「で。」 「もちろんそんな制度はうちの会社にはない。丁重にお断りした。」 「社長はそのことを。」 「今回始めて知ったさ。宮崎さんは宮崎さんなりに安井君に気を使ってね、俺のところまで報告上げなかったみたい。彼女、謝ってきたよ。」 「そうだったんですか。」 「で、退職金の前借りの理由は息子の病気の治療費の工面だったってわけ。」 「急性骨髄性白血病(AML)ですね。」 「うん。俺、医療関係のことは専門外だからさ、詳しくはわからないけど、安井君の息子さん、結構重い状態みたい…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「あ、ヤスさん。」 缶コーヒーを手にした安井と偶然、廊下で遭遇した黒田は彼に声をかけた。 「なんだ。」 「なんだって、気になりますよ。」 「なんで?」 「だってその顔。」 黒田は安井の顔を指差した。 「顔?」 「ええ。酷いクマですよ。」 安井は携帯のインカメラを起動して自分の顔を様子を確認した。 「本当だ…。やべぇな…。」 「ヤスさん。酒は?」 「飲んでねぇよ。」 「じゃあ何なんでしょうね。心配になるくらいです。」 「確かに…。」 「寝不足とかですか?」 「あぁ…確かに最近、寝れてないか…。」 スマホの画面に映し出される自分の顔をまじまじと見ていた安井はそれをしまった。 「仕事、振ったほうがいいですよ。」 「振ってる…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 夜の海は恐ろしく闇だ。 そこに立ち、しばらく経って目が慣れてきてもせいぜいが砂浜と海の境が分かる程度。 空と海の境目は闇によって判別できにくい。雨が降る状況ならばなおさらのこと。 漆黒の闇が視界を覆い、激しい雨音の中わずかに聞こえる一定のリズム、波の音。これを聞いているうちに知らず知らず目の前の闇の中に引きずり込まれるような錯覚すら覚えてしまう。 闇は人を寄せ付けない。 視覚という人間にとって最も重要な感覚をそれが削ぎ落とすからだろうか。読んで字の如し、闇によって感覚の手がかりは音に制限される。 人の存在を拒絶する闇の中から、あろうことか人形(ひとがた)のものが這い上がってきた。 ひとつではない。続いてふたつ、みっつ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「ヒェ~すげぇ雨…。なんなんだよ、昨日から全然止まないじゃん…。えっと…確か保険屋から粗品でタオルもらってたよな…。」 グローブボックスの中を弄るも、お目当てのものは見つからない。どうやら彼の思い違いのようだったようだ。エンジンをかけた三波はエアコンを付け、その風で自分の濡れた服と髪の毛を乾かすことにした。 「小早川干城(たてき)…か。」 三波の手の内には雨で濡れてしまったメモ用紙があった。彼はそれをエアコンの吹出口にあてがって乾かす。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「あの…ちょっと初歩的なことを聞いていいですか。」 「なんです?」 「その、名誉教授って一体どんな役職なんです?」 石…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「ビショップ。お前曽我の実行部隊が殺されたことは知ってるか。」 「え?何だそれ。」 「現場の近くで遺体で発見されたらしい。」 「なんだって…。」 「俺の近くで死人が出るのは困るんだよ。」 「すまない…。」 「すぐにヤドルチェンコに確認とってくれ。」 「わかった。」 ホームに背をもたれた紀伊はため息を付いた。 ーなんだ…俺らの知らないところで何が起こっている…。 しばらくして電車がホームに入ってきた。それに乗り込んで車両の一番隅の席につくと同時に男が隣りに座ってきた。 「捜一は何をやってる。」 「何の事言ってるんだ。」 「曽我という男が殺されただろう。」 「ああ。あれか。」 「通報の無線も捜査の進捗も一切こっちに入って…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 公安特課機動捜査班のフロアには常時20名程度の人員が詰めている。部屋の中央には大きなセンターテーブルが置かれ、それを囲むように各捜査員のためのパーテーションで仕切られたスペースがある。 ここに戻ってきた紀伊は部屋の主である片倉の席の方を見た。そこはまだ空席だ。 「班長はまだ?」 紀伊は近くの捜査員に声をかけた。 彼は片倉の席をちらっと見て応える。 「ええ。ごらんのとおりです。今日は殆ど空けてますね班長。何かあったんですかね。」 「そうだな…。」 「主任ご存じないですか。」 「あぁ、何も聞いてない。」 「あの…それってどうなんですかね。」 「うん?」 「仕事柄秘密裏に動くのは仕方ないですけど、少しは部下の俺らにも言って…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「帰ってきたか…。」 部屋に返ってきた椎名の行動はいつもと変わらない。 台所の隅の定位置に手にしていた鞄を置き、一旦洗面所の方に移動。手洗いうがいをし、ふたたび台所に戻ってきた。 床に置かれた鞄からラップトップを取り出し、壁を背にしていつもの席に座る。 「お、さっそく何するんけ。」 椎名がUSBメモリをパソコンに刺すのを見て富樫は手元のキーボードに手をやった。 「ちっ…椎名のやつWi-Fi切っとるがいや…。」 ネットワークを経由して椎名のパソコンに侵入し、彼がなにをしているのかを探ろうとした富樫だった。 しかしその方法を取ることができないことを知り、彼は両腕を組んだ。 「ほうや…京子から貰ったデータやろあれ。本人に何…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「わかった。木下の周辺には警護をつけさせる。」 「お願いします。」 トイレの音 トイレの水を流してそこから出ようとした時、相馬はこの空間にも貼られているポスターに目が行った。 ユニフォーム姿の女性がオフィスで出たゴミと一緒に腹の出た不潔な男たちを束ねてゴミ箱に捨てるという、若干ジョークめいた内容のデザインだ。画面の下部には白色の文字に赤色の枠で縁取りされたキリル文字が大きく配されている。 「Давай очистим…。掃除をしよう。」 相馬は苦笑いした。 「あれ?」 彼の視線はそのキリル文字の枠線に止まった。 キリル文字の枠線となる赤色を作り出している箇所は網点の集合体のようなもので色を作り出しているようだった。し…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「普段はしょっちゅう鼻啜ってて、言葉に支えるようなところがある医者。でも別に吃音だとかじゃない。とにかく喋りがとろい。そしてどこかオドオドしてる。そんな医者が人が変わったように流暢に喋り、かつ乱暴な言動が目につく。」 「はい。人格の豹変ぶりはまさにマンガとかに出てくる二重人格といった具合でした。」 「それがこの世のものとは思えない情景だった…。」 「はい。」 「…木下さんはその二重人格の人って今までに見たことあるんですか?」 「ありません。今回が初めてです。」 相馬は自分の顎を掴んだ。 「うーん。」 「にわかに信じがたいと思います。けど本当なんです。とにかく本当に普段と別の人格が現れたんです。」 「で、その別人格が医…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 東京六本木。 夜のここを行き交う人々は多国籍であり、外国かと錯覚させる程である。 この雑踏をひとりあるく白人男性がいた。 「Вы все сделали?」 全部終わった? 「Сога закончилась.」曽我の件は終わりました 「Только сога?」曽我の件だけ? 「Да.」 「Что ты имеешь ввиду.」だけって…どういうことだ 「У меня проблема.」問題が発生しました 「Проблема?」問題? 「Кажется, наше существование известно. За мной следили.」我々の存在は察知されているようです。尾行されました。 「Стер…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 天宮憲之の住まいの前には黄色の規制線が張り巡らされ、あたりは騒然としていた。 鑑識と思われる警官がマンションの通路に這いつくばって、事件の手がかりを探しているかと思えば、無線でなにかのやりとりをしている私服警官もいる。 同じマンションの住人たちが心配そうな顔でその様子を遠巻きに見つめていた。 その住人の一団を割って男が現れた。 彼は張り巡らされていてる規制線を潜り、その中に入ろうとした。 「こら!何だ君は。」 警官がとっさに彼を止めた。しかし彼は警官を振り払って先に進もうとする。 「おい!待て!」 「離して…。」 彼の声には力がない。 しかしそれとは裏腹に警官の静止を振り切ろうとする力は凄まじい。 「離して…。天宮先…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「ねぇ。本当に曽我のやつ、マンションの中に入ったの?」 「入りましたよ。この目でちゃんと見ました。」 「だったらヤバいかも。」 「え?ヤバいって?」 パンを食べていた神谷はそれをコーヒーで流し込んだ。 「すいません。なんでヤバいんですか。」 「だって電気つかないし。」 「寝てるのかもしれませんよ。」 「そうだと良いんだ。そうだと。」 神谷は双眼鏡を覗き込んだ。街灯の明かりが曽我が住む部屋のベランダを辛うじて照らしている。 部屋には明かりがついていない。 「マンションの中に入るときの曽我の表情とか覚えてる?」 「表情ですか?」 「うん。例えばなんか落ち着きがなかったとか、ソワソワしてたとか、顔色が悪かったとか。」 「そ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「え?ちょっと困ります。」 男がこう言ったのを耳にした相馬は、声のするカウンター席の方を見たが、スーツを纏った男の後ろ姿が見えたただけだった。 「どうしたんですか。」 木下が相馬に声をかけた。彼女はすでに席に着いていた。 「あ、いや…。何でもありません。」 相馬は彼女と向かい合って席についた。 すぐさまおしぼりと水が二人の間に出された。 「この店は…。」 「なんだか最近SNSで話題のお店で、一回行ってみたかったんです。」 「あぁそうなんだ。木下さんも初めてなんですか。」 「はい。」 おしぼりで手を拭きながら相馬は店の中に貼られているロシア・アヴァンギャルド的ポスター類を眺めた。 ー見た目だけか…。よかった…。これで労…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 石川大学病院の職員通用口。日勤を終えた看護師たちが続々と出てきた。 開放感溢れた表情で出てくる者もいれば、疲れ果てた様子のものもいる。仲の良い看護師同士で愚痴めいたことを話している者もいれば、それらとは距離をとっている者もいる。 その一団が病院から出て、人気がなくなった頃に木下すずが現れた。 一度空を見上げて降り注ぐ雨の様子を確認した彼女は、傘を差しうつむき加減で歩き出した。 「木下さん。」 雨の音に混じって自分の名前が呼ばれた気がして彼女は足を止めた。 「木下さん。相馬です。」 声は自分の後ろ側から聞こえた。 振り返ると、日中外来にいた患者の男が立っていた。 「あ…。」 「ごめんなさい。待ってました。」 「…。」 …
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 東京第一大学附属病院の外来診療棟と隣接して設置されている臨床研究棟。 ICチップ入りの入館証を持つものだけが、この建物の中に入ることが許される。 インターホンの音 このセキュアな建物の外でブリーフケースを手にして立っている男がいた。 片倉である。 濃紺の仕立ての良いスーツを着用した彼の外見は、どこか品の良さを感じさせるものだった。 第三者が見ていわゆる刑事(デカ)であると判断される出で立ちではない。 警視庁公安特課機動捜査班を指揮する立場にありながらも、普段は現場を駆けずり回るため、彼の足元には底のすり減った革靴があるのが常なのだが、今の彼の両足には鏡のように光る手入れの行き届いたものがあった。 白衣姿の男が鍵のかか…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 椎名は片倉を後ろ姿を見送って駐車場の方に移動した。 ーなんだ…領収書切るって…。 ーあ…そうか。俺が仕事を請け負って、その見返りに金を貰う。確かに受け取りましたって証拠が、ちゃんフリにいるってことか。じゃないと金の動きがわかんないもんな。なるほど、買い物のたびに貰うあの紙ペラを俺が発行しないとこの手の副業も成立しないってことか。全く几帳面な商習慣だよ。 ーまさか今日の俺、京子に怪しまれてないだろうな…。いい歳こいてそんな商習慣も知らないのはおかしいって思われてないだろうな…。 車に乗り込んだ椎名はため息を付いた。 「やっぱり俺が誰かと接触するとどこかでボロがでる可能性がある。やっぱりプランC(エス)に切り替えよう。と…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 椎名が店に吸い込まれて行く様子を見届けた富樫は、その看板に書かれている文字を見てつぶやいた。 「ボストーク…。」 築60年のリノベーション物件。今どきの洒落た外観は富樫のような老人を快く受け入れてくれそうな雰囲気を持っていない。彼はため息を付いた。 携帯操作音 「岡田課長。」 「なんだ。」 「椎名のやつ駅の近くのボストークっちゅう店に入りました。中に入るとワシの面が割れてしまいます。」 「分かった。交代を派遣する。」 「あの、けっこう洒落た今どきの店ですので、その手のいい感じの人間をお願いします。」 「ああ任せてくれ。」 電話を切ってしばらくするとスーツ姿の紳士風の男が小綺麗な出で立ちで現れた。左手に革製の鞄。右手で…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 警視庁公安特課機動捜査班。 そのセンターテーブルに過去の捜査資料を広げて何かを調べる男がいた。 「紀伊主任。」 「うん?」 「時間ですよ。」 「あ?」 紀伊は壁にかけられている時計に目をやった。時刻は18時15分だった。 「どうした?」 「何いってんですか。主任言ったでしょ。15分後声かけてくれって。」 部下を見つめた紀伊は固まった。 「…え?」 「遅っ…。」 「そんなこと言った?」 「あの…ちょっとまって下さいよ。大丈夫ですか主任?百目鬼理事官見送って15分後に俺に声かけてくれって言ったじゃないですか。」 今度は自分の腕時計に目を落とす。 5秒ほどして紀伊は突然慌てた様子でテーブルの上を片付けだした。 「あぁいいで…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 今回お便りくださったのは塩肉さんです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【公式サイト】 http://yamitofuna.org 【Twitter】 https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVM ご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。 皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。 すべてのご意見に目を通させていただきます。 場合によってはお便り回を設けてそれにお答えさせていただきます。闇と鮒 による
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 時刻は17時半。外来診療は終了し東京第一大学附属病院の様子は昼間と打って変わって落ち着いた空気に包まれていた。 診療科ごとに設けられた受付窓口で、事務員がパソコンを操作し何かの入力作業をしていると思えば、その奥から時々談笑が漏れ聞こえる。 片倉はその中の一つの心療内科の前に立った。 「何か用ですか。」 受付の女性が片倉に声をかけた。 「あの曽我先生はいらっしゃいますか。」 「失礼ですが、どちら様ですか。」 「ドットメディカルと申します。」 そう言って片倉は名刺を彼女に渡した。 「ドットメディカル?」 「はい。」 女性は聞き覚えのない社名であるといった顔つきである。 「お約束か何かですか。」 「いえ。」 「先生はお忙し…
 
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