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この作品は映画「1999年の夏休み」と漫画「トーマの心臓」をモチーフとしたボイスドラマです。少年同士の恋愛、BL(ボーイズラブ)表現がございます。当作品をyoutubeやニコ動へ無断転載しないでください。著作権は放棄しておりません。http://yea.boy.jp/kiokusaisei/
 
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このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 椎名がネットカフェの個室に入ったと報告が入って1時間半。 彼に張り付く現場捜査員から変わった様子などの報告は未だない。 「そういやいつ頃からやったけ…。週に一回はネットカフェ。これが椎名のルーティンになったんは。」 ホットコーヒーに口をつける 息をつく マウスの音 しばし無音 「ワシをすっ飛ばして頭越しに直でやり取りする警察の誰かさんもさることながら、身近で世話してきたワシに悟られんように特高とコンタクトとっとった椎名にもがっくり来ました。」59 「あいつがワシをすっ飛ばして、特高とコンタクトとるとしたらこのネットカフェを利用するタイミングが一番可能性が高い…。」 富樫はとっさにマイクを口に当てる。 「富樫から椎名班…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 陸上自衛隊兼六駐屯地内の一室で三好は男と向かい合って座っていた。 「そうです。我々はいざというときの即応体制を整えるためにいます。水際対策はあくまでもそちらの仕事。我々の存在は保険と考えてください。」 「と言うことは、自衛隊としてはその危機が目前にまで迫っているとの認識なんですか。」 「何度も言うように我々が動かないに越したことはない。そちらの仕事の内で完結するのが国益としては良とされることではないでしょうか。」 「確かに。」 「ただ最悪の場合、我々は動きます。そのために準備をする。それだけです。」 二人の前に金沢の住宅地図が広げられている。 蛍光ペンで印が付けられていた。 「この6拠点にロシア系の人間が集中的に住み…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「申し訳ございません…。」 岡田を前に富樫は目を合わせることができないでいた。 「んなこともある。」 岡田は彼の肩を叩いた。 「相馬さん管理の下、光定を泳がし関係者の尻尾を出させる策、完全に裏目に出ました。」 「…。」 「本当に申し訳ございません。」 「もういいってマサさん。」 県警本部内にある公安特課の指揮所。 今のここには富樫と岡田の二人しか居なかった。 「当の相馬は。」 「気になることがあるとかで、石大病院から離脱しました。」 「そうか。」 「しかし…なんで…。」 「んなもん決まっとるでしょう。やっぱり居るんですよモグラ。」 「マルトクにモグラ。」 「公安特課厳重監視の下、光定の部屋に忍びこんで消音化された銃で…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「事故じゃなくて殺された。」 「事件として明るみになっていない…。」 「証拠はあるし、誰が犯人なのかも特定済み。」 「法の裁きでは時間がかかる。」 「だから別の方法で…。」 宿に戻っていた古田は夜の帳が落ちた外の喫煙所で、タバコを吸いながらひとりごとを呟いていた。 タバコを吸う音 「で、一色は事件の本質である本多と仁熊会、県警の闇に一度にメスを入れ、それらに社会的制裁を与えようとした…。」 確固たる考えと実績。この二が一色という男の基盤をなしており、なおかつ彼には警察幹部という立場があった。だから一見夢想とも思える世直し劇の実行にも一定の信憑性を持って受け入れられることが出来る。だがその一色ですら村上の反撃に遭い、そ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「…わかった。」 佐々木死亡の報が陶にもたらされたのは4月29日の夜になった頃だった。 「注意を怠るな。」 電話を切ると陶は天を仰いだ。 「佐々木統義警部補。こいつは俺の石川の分身だ。」 「本部長の…。」 「ああ石川における…な。こいつを貴様に紹介する。俺の分身だと思って気軽に話してくれ。きっと貴様の力になるはずだ。」118 「キャプテンの分身が死んだ…。」 佐々木は陶の石川における工作のハブ役を担っていた。 捜査一課である彼は同部署に数名の協力者をつくり、彼らをたくみにコントロールし、チェス組と言われる仁川、光定、空閑、朝戸、紀伊のハンドリングをしていた。そしてかれらが暴走をしないようその監視を行っていた。 明後日…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「はい。夜の警邏中に発見しました。」 朝の港町は騒然としていた。 事情聴取を受けるのはこの港町の駐在、矢高慎吾。 「発見時からのこの状態でしたか。」 「はい。」 港の浜に立つ彼の前には横たわる2体の遺体があった。 「過去にこの浜から姿を消した特定失踪者がいますので、毎晩巡回を怠らないようにしとりました。」 「昨日の晩は特に変わったことはありませんでしたか?これらの遺体を発見するまでに。」 矢高はしばらく考える。 「いえ。特には。」 「そうですか…。」 「あ。」 「なんです?」 「いや、気のせいです。」 「何でも良いです。気になったこと教えてください。」 「言われてみれば、珍しいものを見たかもしれません。」 「珍しいも…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「第2小早川研究所?」 「はい。」 「…わかった。すぐに調べる。」 「もうひとつ気になることが。」 「なんや。」 「物忘れ外来の予約、問い合わせが昨日から激増しとるみたいです。」 「はぁ?」 「石大病院だけじゃなく、県内の同種の外来窓口も同様。他県はわかりません。」 「認知症が流行っとるってか?」 「現状を見る限りまさにそういう状況です。」 片倉は頭を抱えた。 「どいや…認知症がうつるって聞いたことねぇぞ。」 「似たものにクロイツフェルト・ヤコブ病ってものがあるらしいです。」 「それ狂牛病やろ。」 「はい。」 「ってかあれは狂牛病の肉とか内臓食ったらうつるってやつや。んなそれっぽい肉が流通しとるなんて話は聞いとらん。…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 自販機の音 「話が違いますよ。」 「申し訳ない。」 病院の自販機コーナーで、距離を保ちつつ話す病院部長の井戸村と相馬があった。 「完全にこちらの落ち度です。」 「確実にこちらにも飛び火します。」 「…。」 相馬は気まずそうに黙った。 「まだあちらからは何のコンタクトもありません。」 「そうですか…。」 「おそらく私はこの責任で職を解かれます。」 「代わりのお仕事はこちらで…(斡旋します)。」 言葉を言い切る前に相馬は胸ぐらをつかまれ、そのまま自販機に背中をたたきつけられた。 「身の安全は保証するって言ったよな…。」 「…。」 「公安特課ってのは口ばっかりのはったり野郎の集まりか!?」 「…。」 「病院で厳重管理の人間…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「お疲れ様です。」 「お疲れ様です。」 石川大学病院の当直室。 その部屋の前にある男に声をかける者があった。 「この部屋の中に対象がいる。」 「俺らはこの対象の身の安全を図る。で、いいですね。」 「定期的に中の様子を見てくれ。もしものこともあるから。」 「自死ですか。」 男は頷く。 「報告関係は富樫のオジキまで。」 「オジキですね。了解。」 男がこの場から姿を消したのを確認して、彼は両手にゴム手袋を装着した。 ノック音 返事が無い。 再度ノック 「光定先生。警察です。」 ドアが開かれる音 「交代でこれからしばらく先生の部屋にいます。何かあれば何なりと申し付けください。」 「…は…はい…。」 「いま一度部屋の中を調べた…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「え?ノビチョク事件のホシ?」 「はい。」 「…名前は。」 「朝戸慶太。1977年東京生まれです。」 「なんで古田さんがそのホシを抑えてんですか。」 「わかりませんよ。とにかくマルトクには秘密にしてほしいって依頼なんです。」 神谷がタバコをくわえると、側に居た若い者がすかさず彼のそれに火を付けた。 「ふぅー…。で、野本さん。あなたの役回りは。」 「この朝戸慶太の身の回りを洗う。2日間で。」 「わかった。こっちでやりましょう。」 「助かります。」 「この件はこちらで預かります。報告の是非はこちらで判断します。」 電話を切った神谷はタバコの火を消した。 「おい一郎。」 「はい。」 スキンヘッドの顔に傷跡がある大男が返事を…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら トイレに行くと言って席を立った古田は、奥にいるセバストポリの店主、野本と接触した。 「どういった男ですか。」 「最上さんのホシと目される男や。」 「えぇっ!」 「しーっ。」 普段感情を表に出さない野本であるが、この古田の発言には流石に驚かされた。 「ただ今はパクるタイミングじゃない。」 「逃亡の危険性は。」 「いろいろ話してみたところただの素人や。」 「素人がノビチョクなんて物騒なものを手に入れられるんですか。」 「そこが気になるところ。ほんで野上さん、あんたに頼みたい。」 「なんでしょう。」 「朝戸慶太。昨日東京からここ金沢に来た。奴の過去と交友関係を洗ってほしい。」 古田はメモを野本に手渡す。 「朝戸慶太ですね。…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「どうされました?」 背後から声をかけられた古田は振り返った。 黒衣をまとった住職らしき男性が立っていた。 「あ、どうも。」 古田は彼に向かって頭を下げる。 「あたながご覧になっていたこの銀杏の木は、藩政期に植えられたものと言われています。」 住職は銀杏の巨木を仰ぎ見る。 「はぁー…んでこんなに大きいんですな。この辺りを歩いとってら、ずいぶん立派な木があるなって思って、ついふらっと境内の中に入り込んでしましました。」 「あぁいいんですよ。どなたでも自由にお参りいただければいいんです。ご縁ですから。」 「あ、はい…。」 「どちらから?」 「駅の方からです。地元の人間です。」 「あぁそうなんですか。」 「仕事もリタイヤし…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 金沢郊外のパチンコ店。 駐車場に車を止めていた佐々木の胸元が震えた。 「…はい。」 「光定を消してください。」 「…。」 「至急でお願いします。」 「何があったんですか。」 「奴が転びました。」 「奴?」 「光定です。」 「石大のセンセですか。」 「はい。」 「転んだ…。」 「そうです。」 「じゃああの研究はどうするんですか。」 「知りません。もうそんなことは言ってられません。」 「いけません。」 「…。」 「いままでどれだけの労力と時間、予算をかけあの研究をしてきたとお思いなんですか。」 「んな事言ってられます!?当の研究員が転んだんですよ。」 「天宮憲行をはじめ鍋島研究に携わる人間が皆殺され、生き残るものは光定公…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「なに?駅に現れた?」 「はい。古田さんから電話があってすぐです。」 「で。」 「山県の店の様子を覗ってたんですが、対象が休みだとわかったんでしょう。すぐに引き返しました。」 「どこに向かった。」 「武蔵が辻の方に歩いて行きました。」 「歩いて…。」 「アシないんでしょうか。」 「かもな。」 「付けますか。今ならまだ間に合うかと。」 「時間の使い方は古田さんの勝手ですが、それにこちらを巻き込むようなことはお控えください。」117 「いや、いい。」 「わかりました。」 電話を切った古田はたばこの火を消し、宿がある東山から武蔵が辻の方面に向かって歩き出した。 向かって右側に先ほど婦人が言っていた、ロシア系の人間が多数宿泊…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「まいど。」 ドア閉まる音 タクシー走り出す 金沢の観光PR映像の中に必ず入り込む風景がある。 格子と石畳が続くひがし茶屋の町並みだ。 古田が降り立ったのは、そのひがし茶屋街から少し離れた昭和の風情が色濃く残った住宅地。 そこにある築40年程度のプレハブ住宅を今風に改造した民泊施設があった。 「お姉さん。」 買い物帰りと思われる婦人が通りを歩いていたので、古田は彼女に声をかけた。 「なんけ?」 「いやぁ久しぶりにここらへん来てんけど、こんな宿みたいなの昔あったけ?」 「あーあれね。あれ最近流行りの民泊やわいね。ここらへん結構あの手のやつあるげんよ。」 「あ、ほうなんけ。」 「え?あんたどんだけぶりなんけ。」 「ほうや…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 交差点で信号待ちをする男の横に何者かが気配を消すように立った。 「よくやった。」 男は彼にそっと何かを手渡した。 「頼むぞ。」 受け取った彼はなんの返事もしない。 信号が青になると同時に二人は自然と距離をとり、別々の方に向かった。 「やっぱり内調だと、公安のグリップは効かせにくいって事かねぇ…。」 矢高の目の前に短く刈り込んだ髪型の老人が、背を丸める姿勢で歩いている。 姿勢は悪いが彼の足取りは確かだ。見た目とは違い、その体力は未だ衰えを見せていないといったところか。 ー古田登志夫…。齢70を過ぎて公安特課のハブ役を担うバケモノ。 矢高は自分の気配を消し、古田の後を追い始めた。 ースッポンのトシと言われたその執念の捜査…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「おはようさん。」 この軽い挨拶に特高部屋内のスタッフ全員が立ち上がって応えた。 「おはようございます。」 自分の席に着くと同時に、主任である紀伊が側にやってきた。 「片倉班長。」 「なんや。」 「ヤドルチェンコ、ロストしました。」 「は?」 「申し訳ございません。」 「え?なに?また?」 「はい…。」 「え?張りついとってんろ。」 「はい。」 「それがなんで?」 「例のマンションに帰ったのを最後に、行方をくらましました。」 「マンションに帰ったんに行方不明?」 「はい。」 「んなだらなことあっかいや。」 片倉の言葉遣いに苛立ちが見える。 「管理会社の協力の下、部屋の立ち入りをしました。しかし、奴の姿を確認できません…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「はあ!?」 「ま、そういうことで雨澤君は神谷君の言うこと聞いて。ね。」 「ねっ…て…。」 「その分手当弾むからさ。」 「そらぁ現にいま、新幹線で金沢に向かってるんですから出張手当ぐらいは…。」 「出張手当だけでいいの?」 「え?」 「さすが雨澤君。自分を犠牲にしてまで社の利益に貢献する。日本人独特の自己犠牲の精神。僕は好きだなぁ。」 「いや、ちょ…ちょっと。」 「心配しないで、今回の仕事が終わったらちゃんと報いるから。」 「あ、はぁ…。」 「だから仕事が終わるまでは神谷君の指示に従ってね。」 電話は切られた。 「社長なんて言ってた?」 「今回の仕事終わるまでは神谷さんの指示に従えって。」 「そう。」 神谷は雨澤に缶…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 10年前  警視庁捜査第一課の管理官として赴任早々、3件の捜査本部の指揮を執る羽目になった陶の疲労は極限に達していた。 「管理官。ひどく疲れた様子です。さすがにお休みになった方が良いかと思います。」 ある係長が気を利かせて声をかけてきてくれた。 「そら休みたいさ…。けど不眠不休で動いてる現場を尻目に俺だけスヤーってわけにいかないだろ。」 「いやいや、管理官は捜査本部の頭脳。頭脳が疲弊してしまっては、正常な判断ができなくなります。半日でもいいですから休んでください。」 「そんなに俺ヤバい?」 「はい。顔に疲れたって書いてあります。」 陶は窓ガラスに映り込んだ自分の顔を見た。 ぼんやりと映り込む自分の目は充血し、その下に…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「こんな時間になんです?」 突如かかってきた古田からの電話だった。 「石大の井戸村の背後で糸を引く男がおる。井戸村はどうやらそいつと決別するようや。」 「…。」 「どうした?マサさん。」 「古田さん…。」 「なんや。」 「休みでしょ。休みの時は仕事のことは一切考えん方がいいです。」 「なんやその言い方。」 「いいですか。古田さんは岡田課長から休めと言われとるんです。いまのあなたの仕事は休むこと。んなんにそれせんと仕事しとる。」 「いいがいや。わしはわしでフリーの立場でやれるだけのことやろうとしとるんや。休みの間の時間の使い方ぐらいワシの勝手にさせてくれ。」 「時間の使い方は古田さんの勝手ですが、それにこちらを巻き込む…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 熨子山 天宮ゆかりの現場にいる佐々木の胸元が震えた。 新着メッセージの通知のようである。 「ちょい俺便所。」 こういって佐々木はその場を外した。 「陶専門官。こちら佐々木です。」 「天宮憲行のコロシの現場にあった洗面器。ここから採取されたのが天宮ゆかりの指紋。で、土の中から掘り出されたゆかりの側には憲行の財布。しかし犯行時刻にゆかりが憲行と接触した形跡はない。」 「はいそうです。」 「曽我の時と似ている。」 「曽我殺し?曽我殺しは石川実行部隊による粛正と専門官から聞きましたが。」 「いや粛正の実行犯が殺された件だ。」 「え?それは初耳です。」 「だろうな。」 「なんかややっこしいですね。」 「とにかくその曽我を殺した…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 冷蔵庫を開くと、いつもそこにあるはずの牛乳がないことに気がついた。 「しまった…。」 ジャージ姿のまま椎名は外に出た。 部屋を出て徒歩三分。横断歩道の先にコンビニエンスストアがあった。 信号が青になり歩き出すタイミングで、コンビニから客が出てきた。 その客と横断歩道上ですれ違いざまに椎名は口を開いた。 「Мы готовы.」 「Спросите в туалете.便所で聞く」 コンビニに入った椎名はそのまま店のトイレに入った。 そしてその備品棚に手を伸ばす。 そこには一台の携帯電話が置かれていた。 「Офрана начинает терять свою популярность. オフラーナは仲間割れが始まって…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「内紛でしょうか。」 「小寺三佐、それは私も考えていた。天宮憲行はオフラーナ派のツヴァイスタンシンパ。一方、妻の天宮ゆかりは人民軍派のツヴァイスタンシンパ。同じシンパといえど出自が違う。このふたつ、犬猿の仲だ。」 「その通りです、赤石隊長。オフラーナ派の下間芳夫の影響からツヴァイスタンにのめり込んでいった憲行と違って、ゆかりは生粋の活動家。しかも過激派です。ゆかりは夫を隠れ蓑にして活動に明け暮れていました。」 「そうだ。あの二人は見せかけの夫婦。その証拠にゆかりはしょっちゅう外出していたと聞く。」 「警察が聞き込みに行ったときも、ゆかりはいなかったと情報が入っています。」 「うん。」 「大方、活動のための外出でしょう…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら ツヴァイスタンから亡命してきた拉致被害者、仁川征爾。 報告書によれば拉致された仁川はあの国の秘密警察オフラーナの厳重な管理の下、秘密警察要員として育成された。 仁川の主な任務は日本語教育、亡命・移民者の管理監督だった。 一方的に人生を狂わされた仁川だったが、彼は彼なりの努力をもって、ツヴァイスタン労働党員の党籍を得るまでになった。 労働党員となった彼の生活水準は貧困にあえぐあの国の中にあっては比較的良い部類であり、食うには事欠かない生活を送っていたようである。 そんな彼が命がけであの国から脱出してきた。 なぜか。 理由は二つ考えられる。 ひとつは純粋にツヴァイスタンに嫌気がさして逃げてきた。 もうひとつは亡命を偽装し…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 熨子山山頂の展望台に続く遊歩道。 愛犬を連れ立って歩く男がいる。 木々が生い茂る地形のためか、薄明(はくめい)時のこの場所はまだ暗い。 帽子の上から装着されたLEDライトの光が、暗がりに漂う自分の白い吐息を照らす。 気温は11度。 「ワンッワンッ!!」 めったに鳴くことのない愛犬が突如立ち止まり吠えだした。 「どしたぁペロ。」 犬が吠える先には雑木林。もちろんその先には人気がない。 嫌な予感しかしない。 LEDライトを手にした彼は恐る恐るペロが吠える方を照らす。 彼の予感は的中した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「なに?天宮の奥方が遺体で見つかった?」 「はい。先程熨子山で発見されたと報告が入りま…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「私は上司に報告しました。医者がタレこんだ写真はなかったと。すると数日後、警察はその家に抜き打ちの持ち物検査に入りました。」 「で…。」 「彼女は毅然としてそんな写真はありませんって言い通しました。まさか窓の木枠にそれが入ってるとは警察も思わず、結果はセーフでした。」 「同朋意識があなたの心を動かした結果…ですか。」 「いいえ。そんな高尚な意識は私は持っていません。それまでに私は数々の日本人移民、亡命者を通報し、検挙してきました。その任務遂行能力の高さを買われて私は秘密警察の管理下に置かれたようなものですから。」 「ではなぜその家族だけにそのようなリスクをとった?」 「写真が美しかった…。」 「はい?」 「私にはその…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 5年前 都内マンションの一室。 仁川征爾はここに3ヶ月の間、軟禁状態で警察からの聴取を受けることとなった。 聴取係は山田、高橋、田中の3名。 見るからに偽名とわかるこの3名の担当官、彼ら2名がペアとなり、交代で仁川と向き合った。 取調べは過酷だった。 下間によって連れ去られた当時の詳細から始まって、ツヴァイスタンに入ってからどういう人間と出会ったか。朝目覚めてから夜眠るまでどう言った毎日を過ごしていたのか。待遇は。価値観は。生活環境は。食事は。 どういった統治機構で国は治められているのか。どういった連中が力を持っているのか。軍の状況は。警察の状況は。経済状態は。衛生状態はどうか。微に入り細に入り聴取された。 人間の記…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 深夜のちゃんねるフリーダム。報道以外のほとんどのフロアの電気は消えている。そのなかで社長室の電気だけは煌々と灯っていた。 「ま、かけて。」 「あ、自分外します。」 「いやいい。デスクも一緒にいてくれ。」 「あ、はい。」 安井と黒田がソファに座るのを見届けて、加賀は立ち上がった。 そして二人の前まで来て、なんの予告もなく安井の顔面を拳で殴りつけた。 殴打音 「あ…が…。」 「社長!」 「デスクは黙ってろ。」 自分の拳をハンカチで拭いながら、加賀は安井と向かい合いようにソファに腰を掛けた。 「ひとりでなんでもかんでも背負うんじゃねぇよ。バカが。」 「…。」 「安井君。なんで俺に相談してくれなかったんだ。なんで黒田君にも相…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 部屋から顔を覗かせたのは年老いた男だった。 まばらな白髪頭。老眼鏡なのか鼻メガネをかけている。 上目遣いでこちらの方を注意深い様子で見る。 「言っとったお客さん連れてきた。」 三好がこう言うと老人は目を細めて、彼の後ろに立つ岡田を見る。 頭から足の爪先までを舐めるように。 「入んな。」 人ひとりの出入りしか出来ないほど狭い玄関口。 三好と岡田が靴を脱ぐと、それだけでそこは埋まった。 上り框のところには灯油のポリタンクが二つ積み重ねられ、それが狭小さに拍車をかける。 二人は身を捩りながら奥に進んだ。 部屋に入ると壁の至る所にポスターが貼られている。 「憲法9条を殺すな」「原発反対」「男女平等共同参画」「日米安保反対」「…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら ー瞬間催眠なんか誰がどう考えてもただのオカルト話だ。誰も取り合ってくれない。 ーだが相馬周。あの男なら話を聞いてくれるはずだ。 ーいや...。そもそもあの男はこの事を調べるために俺に接近してきた。 ーそれをうっすらと感じていたから、俺はあの男のオファーに乗った。 ーそう。縋る思いで。 井戸村は石大病院に向かうタクシーにあった。 窓からは流れゆく金沢の夜の街並みが見える。 ーあのときの俺は目標を失っていたんだ。 ー生きる糧を失っていただけなんだ。 ーぽっかりと空いてしまった心の穴。それを埋めることができればそれで良かった。 石大病院の病院部長のポストを斡旋した男の姿が、井戸村の頭から離れない。 ー別に金が欲しかったんじ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「だけど事実はオカルト研究だった。そう言う事ですね。」 「結局あの時もあいつは俺にブラフをかけていたって訳だ。」 「利用されましたね。」 井戸村はため息をつく。 「そう言うことを俺は言ってるんじゃ無いんだ坊山。」 「はい?」 「別に俺はいいんだよ。コロコロ手の内で転がされても。」 「じゃあ…。」 「許せんのだよ。その男が。あいつこう言っただろう。『もしもそれがそんなオカルト研究だとしたら、この国は滅ぶでしょうね。間違いなく』ってよ。」 「はい。」 「これって裏返したら国を滅ぼす研究をしてますよって宣言だろ。」 「あ…。」 「俺は許せんのだよ。国立大学って名の下で国を滅ぼす研究をしてる輩が。そして知らなかったとはいえそ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「ちょっくら外で煙草吸ってきてもいいけ?」 「どうぞごゆっくり。」 古田は店から出た。 「はいもしもし。」 煙草を咥え火を付ける音 「井戸村ってまだそこにいるの?」 「おう。おる。」 「もうしばらくしたら坊山って男が合流するみたいよ。」 「坊山?」 「ええ。そいつの部下。病院の人事課長。」 「部下が何しに。」 「わかんない。」 「ふうむ…。」 「井戸村。何でも随分ヤバいことに首突っ込んでたみたいよ。」 「ヤバいこと?なんや?」 「それもわかんないの。とにかく周りを巻き込みたくないからってウチの楠冨帰らせたみたい。」 「…何や…ひょっとしてその坊山ってやつがヤバいんか。」 「違う。坊山も楠冨と一緒よ。巻き込みたくないん…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 個人が警察組織を打倒する。そんなものどう考えても無理だ。 ただでさえ非正規雇用の身分で経済的に不安定。それが故に精神状態も不安定。 そこに妹の仇を討つために警察組織を打倒するという壮大な野望を植え付けられた彼は、自身の現実と目標との果てしない距離に絶望し、社会に対する怨みを増幅させる。 この状態が続けば朝戸の精神は消耗しきる。 それが光定には見えていた。 だから鍋島の複製を作り出すための実験を、朝戸に行った。 もしも鍋島能力を朝戸が手に入れることができたとしたら、彼なりの復讐を成し遂げることができるだろう。 なぜなら対象を意のままに操ることができるようになるのだから。 警察のお偉方が処罰されるよう鍋島能力を使えばいい…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「大体のことは掴めました。」 「…。」 「改めて聞きます。あなたは本当のところどうしたいんですか。」 「…。」 「このまま朝戸と空閑の様子を観察…もとい、ナイトとビショップを観察し、その実験結果を見て次なる研究へ繋げていく。という道もありますよ。」 「…。」 「やめるのは簡単です。ですが天宮先生も小早川先生も曽我先生も、みんな居なくなった。もうあなたしか居ないんです。この研究を担う人材は。」 「…。」 光定は沈黙を保った。 3日後の5月1日金曜。 金沢駅において何らかのテロ行為が予定されている。なにも昨日、今日決まった話ではない。この日に決定的なアクションを起こす。これは空閑によって以前から予定されていた。光定は催眠…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 二人は声を出して笑った。 携帯バイブの音 「うん?」 椅子の背もたれにかけたスーツの上着から携帯を取り出した井戸村はその表示を見ると不愉快な表情になった。 「部長?」 「ちょっと席を外す。すぐに戻るから。」 井戸村は店の外に出た。 「なんだ。こんな時間に。」 「病院部長。至急ご報告があります。」 「なに…坊山まさかお前、東一のお客さんに無礼でも…。」 「それどころじゃありません。」 かぶせてくる坊山の物言いに、井戸村はただごとではないことを察した。 「なにがあった。」 「光定先生。ヤバいですよ。」 「光定先生がヤバい?」 「はい。」 「先生がヤバいのは今に始まったことじゃない。」 「確かに…ってかそういう時限の話じゃ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら Wi-Fiスポットである一階ロビーにいるはずの相馬。その彼の姿が見えない。 このまま応接に戻っても光定しかいないとなると、これまた自分が叱られる。 一応、探すだけ探したというアリバイは作らねばなるまいと坊山は周辺を探った。 といってもここには暗くなった2件の喫茶店。郵便局、受付、外来の一部など限られたものしかない。 お客人の姿はどこにも見当たらなかった。 バイブ音(短い) 「うん?」 坊山は足を止めた。 妙な音が聞こえた気がする。 ここは外来の廊下。その長い廊下先は暗闇が待ち構えている。 ー勘弁してくれ…。夜の病院、そんなに得意じゃないんやって…。 と心のなかでつぶやいた瞬間、その廊下の先に二人の幼女が手をつないでこ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら ノックする音 「失礼いたします。」 ドア開く 「あれ?」 坊山が立ち止まったため、光定は彼の背中にぶつかった。 「あの…坊山さん?」 「あーそうやった…。」 「はい?」 「Wi-Fiスポットどこやって言っとったんでした。お客さん。」 「Wi-Fi?」 「ひょっとしたら一階のロビーに居るんかも。」 「はぁ…。」 「ちょっと呼んできます。先生はこちらでお待ち下さい。ついでにお茶も用意しますんで。」 ただひたすらに呆れた顔を見せる光定には目もくれず、坊山はその場から姿を消した。 「ダラなこと言っとんなや!それのどこが報道ねんて!結局洗脳して上書きしとるだけやろうが!」 「…。」 「自分の思うようにいかんくなったら他人の記憶…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 金沢郊外のとあるテナントビル。 その中のひとつの扉には一枚の紙が貼られていた。 「体調不良のためしばらくの間休講とさせていただきます。」 この貼り紙をみた塾生たちは皆、それをスマホで撮りどこかに送っている。 その場で親に電話で連絡を取るものもいるし、これ幸いと友達と遊びに行く連中もいる。 その行動は人それぞれだ。 事前に案内が出ていなかったのだろう。皆、驚きを隠せない様子だった。 「千種の死を受けて急の休み。(゚ν゚)クセェな。」 踵を返した古田は外に出た。 ここ数日振りっぱなしだった雨がようやく上がったようだ。 濡れた地面に街灯の明かりが反射して、キラキラと輝いて見える。 こころなしか空気もいつもより澄んでいるよう…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「どうしたんですかヤスさん。」 「三波の居場所がわかったぞ黒田。」 「え!?どこですか。」 「家だよ。」 「家?」 「自宅で引きこもってる。」 「は?」 「なぁあいつの住所ってどこだよ。俺行くから。」 突然の電話と三波の情報、黒田は状況を飲み込めないでいた。 彼の前に座る加賀はそのまま続けろと合図をする。 「住所って言われても俺もあいつの家なんて知りません。調べて俺が行きます。」 「いや俺が行く。」 「何言ってんですか三波は俺の部下です。俺が行きます。ヤスさんは会社に戻ってください。」 「なんでだよ。俺が引っ張ってきたネタだ。俺がやる。」 「ヤスさんはヤスさんの仕事があるでしょう!」 「…。」 「ヤスさんは制作の頭な…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「どうです。気分が悪いとかありませんか。」 「まぁ…。」 「頭痛はまだあると聞きましたが。」 「はい。」 「どんな感じの頭痛ですか?」 「…突然、頭の奥深くからズキンと来る感じです。」 「あぁ…。」 ーなんだこのやり取り。無表情だけど普通じゃん。片倉さんから聞いているコミュ障って話と違うぞ。 「詳しい検査をしないことには頭痛の原因はわかりません。明日、検査しましょうか。」 「はぁ。」 「いまは検査できる人間がいませんので、明日MRI撮りましょう。それまで三波さん。こちらでお休みください。」 「あ…でも…。」 「お仕事ですか?」 「はい。」 「死にたいんだったら行ってもいいですよ。」 「はい?」 「死にたければこのまま…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 目を開くと白い天井が見える。 ここはどこだ。自分の家の部屋ではないことは明らかだ。 彼はとっさに身を起こす。 「痛っ…。」 右側頭部にズキンとした痛みを覚え、彼はゆっくりと体を倒した。 「すいません…。頭が割れそうなんで救急車、お願いできませんか…。」100 「そっか…俺、救急車呼んだんだった…。病院か…ここ…。」 目を瞑り眠りにつこうとした。 「はっ!」 飛び起きた彼はベッド右側にあるカーテンを開いた。 眼下には山側環状線が見える。 瞬間、三波の背筋が寒くなった。 「とにかく、石大に近づくのはやめろ。」89 「ここ、石大だ…。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 数時間前 北陸新幹線内 彼は…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 5年前 「にわかには信じがたい話です。」 「正常な感想だ。」 「ですが他ならぬ陶課長のお話です。」 「ということは?」 「信じます。信じますが…なかなか受け入れられません。」 「いいんだ。そう言ってくれるだけで十分だ。」 「しかしどうしてそんな大事なことを自分に。」 「俺は苦労人をリスペクトしている。」 「…それは自分のことですか。」 「そうだ。」 都内駅構内の某コーヒーチェーン店。 入れ代わり立ち代わり人が出入りする店の奥に向かい合って座る中年男性ふたり。 彼らの存在を気に留めるものはいない。 「調べさせてもらったよ。随分ハードな生き方を強いられてきたみたいじゃないか。」 「なぜ自分なんかに関心をお示しに?」 「な…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 自宅に帰ってきた三波はベッドに倒れ込んだ。 「痛ぇ…。頭痛ぇぞ…。なんだこれ。」 「今日手に入れた情報はすべてデタラメだ。小早川は気が狂っていた。お前は疲れている。このままおとなしく家に帰るんだ。そこでじっとしていろ。」94 「何しやがったあいつ…。さっきまではそこまでじゃなかったのに、ここに来て何だこの頭痛…。おとなしくしてろって、このまま寝てろってのかよ。」 身を起こそうとすると自身の後頭部に鈍い痛みが走る。 「あ、痛っ!」 彼は突っ伏した。 「やべ…これあれかな…。脳梗塞とかかな…。だったら洒落になんねぇぞ…。」 三波は携帯を手にした。 「すいません…。頭が割れそうなんで救急車、お願いできませんか…。」 電話を…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 東京都と埼玉県にまたがるように自衛隊の駐屯地がある。 リュックを担いだ男がひとり、そこに歩いて入っていった。 「なるほど。今川は心当たりがあると。」 「はい。我が国のツヴァイスタンシンパに鍋島能力の研究を委託した可能性があると言っています。」 「しかしそれはあくまで今川の個人的な予想。」 「その個人的な予想の裏を取るのは警察の仕事です。」 「ツヴァイスタンによる重大犯罪に加担した男の見過ごせない発言。事件の真相を明らかにすることを職務とする警察は動かざるを得なくなる。」 「普通ならば。」 「そう。普通ならば。」 肘を付き、両手を口の前で組む彼の表情の細かな様子は2メートル離れたここからは窺いしれない。 「今回は法務省…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「古田の様子がおかしい?」 「はい。」 「何が。」 「同じこと何度も言うんですよ。」 「何度も同じことを?」 「はい。」 警察庁警備局公安特課。 松永専用の公安特課課長室で百目鬼は足を机の上に乗せて何者かと電話をしていた。 「具体的には?」 「空閑ですよ空閑。」 「…あぁ、千種が光定の書類を渡したと思われるやつか。そいつがどうかしたか。」 「古田さん。自分にその空閑を調べてくれって電話かけてきたんです。百目鬼理事官から自分を使えって言われたんでって。」 「うん。俺が神谷くんを紹介した。」 「で、空閑教室って塾をやってるってのを聞いたんで、すぐに下のモンに調べさせたんです。」 「うん。ってかその下のモンって言い方、ちょ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「話が違うだろうが。」 「電話かけてくるのは止めてくれって言ったはずだが。」 「緊急事態に馬鹿丁寧にSNSでクレームつけるバカが居るか!」 声を荒げて電話をかけるのはちゃんねるフリーダムカメラデスクの安井隆道だ。 彼は犀川の河川敷に立ち、雨音と川の流れの音によって自分の声が他人に聞かれないよう配慮をしていた。 「身内には被害者は出さないって約束だっただろうが。」 「出さない。そういう事になっている。」 「そういう事になってないから電話してんだよ!」 「なんだって?」 「その反応…。まさかあんた…。」 「え?何?何があったんだ。」 安井は深くため息をつく。 「はぁー…。」 「何が…。」 「三波が行方不明になった。」 「…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 今回はhachinohoyaさん 林進さんからのお便り紹介です ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【公式サイト】 http://yamitofuna.org 【Twitter】 https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVM ご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。 皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。 すべてのご意見に目を通させていただきます。 場合によってはお便り回を設けてそれにお答えさせていただきます。…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら スリッパを引きずるような音が聞こえたため、楠冨はそちらの方を見た。 力なくスツールに腰を掛ける検査着姿の光定がそこにあった。 「先生…。」 うつむいたまま反応を示さない光定を見て彼女はそっと湯呑を差し出した。。 「ささ、熱いお茶でもお召し上がってください。体が温まりますよ。」 「うん…。」 茶をすする音 静寂の中、ただ光定の茶を啜る音だけがこの空間に響く。 二人の間に無言の時間がどれだけ流れただろうか。 このいつまで続くかわからない沈黙を破ったのは光定だった。 「何も聞かないんですね。」 「何のことですか。」 「僕が急にいなくなったこと。」 ーなんだ…随分流暢に話すじゃないの。 「私が聞いてどうなるんですか。」 「何…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「あぁ。ご報告ありがとうございました。え?それはもう…ええ。東京のとある財団の専務理事に空席が出るらしくてですね。話しはすでについていますからご心配なく。え?あぁ…勿論、東一出身者の特別ポストですよ。理事長さんはただの飾りですから、井戸村さん。そこならあなたの予てからの希望の通り、石川なんて田舎じゃなく、東京でやりたいようにやれますよ。」 石大病院の外、バスのりばのベンチに腰を掛けて電話をする相馬の姿があった。 「私ですか?私はこのとおりしがない人材コンサルタントです。これが私の仕事ですので仕事をしたまでですよ。」 「いや、突然電話をかけてきたかと思えば、どうしてこうも私の心情の内幕までも全て知ってるんですかね。此処…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「死んだ!?小早川が?」 「おいや。自殺。あんたがさっきまでおった研究室から飛び降りた。」 「なんで?」 「わからん。」 「本当ですか…。」 「本当。いよいよヤバい感じや。三波あんた、今どこや。」 「まさにいま新幹線降りたところです。金沢駅です。」 「よしわかった。んならそのまま駅におってくれ。迎え寄越す。」 「迎えですか?」 「あぁこの手際の良さ、マジもんの仕業や。このままやとあんたの身に危険が及ぶのは時間の問題。」 三波はとっさに壁を背にした。そしてあたりを見回す。制服姿の学生、スーツを着た仕事上がりの男。携帯の液晶画面を巧みな指使いでなぞるOL風の女性。 ここを行き来すす殆どの人間が、束縛から開放されたような感…
 
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