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このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら トイレに行くと言って席を立った古田は、奥にいるセバストポリの店主、野本と接触した。 「どういった男ですか。」 「最上さんのホシと目される男や。」 「えぇっ!」 「しーっ。」 普段感情を表に出さない野本であるが、この古田の発言には流石に驚かされた。 「ただ今はパクるタイミングじゃない。」 「逃亡の危険性は。」 「いろいろ話してみたところただの素人や。」 「素人がノビチョクなんて物騒なものを手に入れられるんですか。」 「そこが気になるところ。ほんで野上さん、あんたに頼みたい。」 「なんでしょう。」 「朝戸慶太。昨日東京からここ金沢に来た。奴の過去と交友関係を洗ってほしい。」 古田はメモを野本に手渡す。 「朝戸慶太ですね。…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「どうされました?」 背後から声をかけられた古田は振り返った。 黒衣をまとった住職らしき男性が立っていた。 「あ、どうも。」 古田は彼に向かって頭を下げる。 「あたながご覧になっていたこの銀杏の木は、藩政期に植えられたものと言われています。」 住職は銀杏の巨木を仰ぎ見る。 「はぁー…んでこんなに大きいんですな。この辺りを歩いとってら、ずいぶん立派な木があるなって思って、ついふらっと境内の中に入り込んでしましました。」 「あぁいいんですよ。どなたでも自由にお参りいただければいいんです。ご縁ですから。」 「あ、はい…。」 「どちらから?」 「駅の方からです。地元の人間です。」 「あぁそうなんですか。」 「仕事もリタイヤし…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 金沢郊外のパチンコ店。 駐車場に車を止めていた佐々木の胸元が震えた。 「…はい。」 「光定を消してください。」 「…。」 「至急でお願いします。」 「何があったんですか。」 「奴が転びました。」 「奴?」 「光定です。」 「石大のセンセですか。」 「はい。」 「転んだ…。」 「そうです。」 「じゃああの研究はどうするんですか。」 「知りません。もうそんなことは言ってられません。」 「いけません。」 「…。」 「いままでどれだけの労力と時間、予算をかけあの研究をしてきたとお思いなんですか。」 「んな事言ってられます!?当の研究員が転んだんですよ。」 「天宮憲行をはじめ鍋島研究に携わる人間が皆殺され、生き残るものは光定公…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「なに?駅に現れた?」 「はい。古田さんから電話があってすぐです。」 「で。」 「山県の店の様子を覗ってたんですが、対象が休みだとわかったんでしょう。すぐに引き返しました。」 「どこに向かった。」 「武蔵が辻の方に歩いて行きました。」 「歩いて…。」 「アシないんでしょうか。」 「かもな。」 「付けますか。今ならまだ間に合うかと。」 「時間の使い方は古田さんの勝手ですが、それにこちらを巻き込むようなことはお控えください。」117 「いや、いい。」 「わかりました。」 電話を切った古田はたばこの火を消し、宿がある東山から武蔵が辻の方面に向かって歩き出した。 向かって右側に先ほど婦人が言っていた、ロシア系の人間が多数宿泊…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「まいど。」 ドア閉まる音 タクシー走り出す 金沢の観光PR映像の中に必ず入り込む風景がある。 格子と石畳が続くひがし茶屋の町並みだ。 古田が降り立ったのは、そのひがし茶屋街から少し離れた昭和の風情が色濃く残った住宅地。 そこにある築40年程度のプレハブ住宅を今風に改造した民泊施設があった。 「お姉さん。」 買い物帰りと思われる婦人が通りを歩いていたので、古田は彼女に声をかけた。 「なんけ?」 「いやぁ久しぶりにここらへん来てんけど、こんな宿みたいなの昔あったけ?」 「あーあれね。あれ最近流行りの民泊やわいね。ここらへん結構あの手のやつあるげんよ。」 「あ、ほうなんけ。」 「え?あんたどんだけぶりなんけ。」 「ほうや…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 交差点で信号待ちをする男の横に何者かが気配を消すように立った。 「よくやった。」 男は彼にそっと何かを手渡した。 「頼むぞ。」 受け取った彼はなんの返事もしない。 信号が青になると同時に二人は自然と距離をとり、別々の方に向かった。 「やっぱり内調だと、公安のグリップは効かせにくいって事かねぇ…。」 矢高の目の前に短く刈り込んだ髪型の老人が、背を丸める姿勢で歩いている。 姿勢は悪いが彼の足取りは確かだ。見た目とは違い、その体力は未だ衰えを見せていないといったところか。 ー古田登志夫…。齢70を過ぎて公安特課のハブ役を担うバケモノ。 矢高は自分の気配を消し、古田の後を追い始めた。 ースッポンのトシと言われたその執念の捜査…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「おはようさん。」 この軽い挨拶に特高部屋内のスタッフ全員が立ち上がって応えた。 「おはようございます。」 自分の席に着くと同時に、主任である紀伊が側にやってきた。 「片倉班長。」 「なんや。」 「ヤドルチェンコ、ロストしました。」 「は?」 「申し訳ございません。」 「え?なに?また?」 「はい…。」 「え?張りついとってんろ。」 「はい。」 「それがなんで?」 「例のマンションに帰ったのを最後に、行方をくらましました。」 「マンションに帰ったんに行方不明?」 「はい。」 「んなだらなことあっかいや。」 片倉の言葉遣いに苛立ちが見える。 「管理会社の協力の下、部屋の立ち入りをしました。しかし、奴の姿を確認できません…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「はあ!?」 「ま、そういうことで雨澤君は神谷君の言うこと聞いて。ね。」 「ねっ…て…。」 「その分手当弾むからさ。」 「そらぁ現にいま、新幹線で金沢に向かってるんですから出張手当ぐらいは…。」 「出張手当だけでいいの?」 「え?」 「さすが雨澤君。自分を犠牲にしてまで社の利益に貢献する。日本人独特の自己犠牲の精神。僕は好きだなぁ。」 「いや、ちょ…ちょっと。」 「心配しないで、今回の仕事が終わったらちゃんと報いるから。」 「あ、はぁ…。」 「だから仕事が終わるまでは神谷君の指示に従ってね。」 電話は切られた。 「社長なんて言ってた?」 「今回の仕事終わるまでは神谷さんの指示に従えって。」 「そう。」 神谷は雨澤に缶…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 10年前  警視庁捜査第一課の管理官として赴任早々、3件の捜査本部の指揮を執る羽目になった陶の疲労は極限に達していた。 「管理官。ひどく疲れた様子です。さすがにお休みになった方が良いかと思います。」 ある係長が気を利かせて声をかけてきてくれた。 「そら休みたいさ…。けど不眠不休で動いてる現場を尻目に俺だけスヤーってわけにいかないだろ。」 「いやいや、管理官は捜査本部の頭脳。頭脳が疲弊してしまっては、正常な判断ができなくなります。半日でもいいですから休んでください。」 「そんなに俺ヤバい?」 「はい。顔に疲れたって書いてあります。」 陶は窓ガラスに映り込んだ自分の顔を見た。 ぼんやりと映り込む自分の目は充血し、その下に…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「こんな時間になんです?」 突如かかってきた古田からの電話だった。 「石大の井戸村の背後で糸を引く男がおる。井戸村はどうやらそいつと決別するようや。」 「…。」 「どうした?マサさん。」 「古田さん…。」 「なんや。」 「休みでしょ。休みの時は仕事のことは一切考えん方がいいです。」 「なんやその言い方。」 「いいですか。古田さんは岡田課長から休めと言われとるんです。いまのあなたの仕事は休むこと。んなんにそれせんと仕事しとる。」 「いいがいや。わしはわしでフリーの立場でやれるだけのことやろうとしとるんや。休みの間の時間の使い方ぐらいワシの勝手にさせてくれ。」 「時間の使い方は古田さんの勝手ですが、それにこちらを巻き込む…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 熨子山 天宮ゆかりの現場にいる佐々木の胸元が震えた。 新着メッセージの通知のようである。 「ちょい俺便所。」 こういって佐々木はその場を外した。 「陶専門官。こちら佐々木です。」 「天宮憲行のコロシの現場にあった洗面器。ここから採取されたのが天宮ゆかりの指紋。で、土の中から掘り出されたゆかりの側には憲行の財布。しかし犯行時刻にゆかりが憲行と接触した形跡はない。」 「はいそうです。」 「曽我の時と似ている。」 「曽我殺し?曽我殺しは石川実行部隊による粛正と専門官から聞きましたが。」 「いや粛正の実行犯が殺された件だ。」 「え?それは初耳です。」 「だろうな。」 「なんかややっこしいですね。」 「とにかくその曽我を殺した…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 冷蔵庫を開くと、いつもそこにあるはずの牛乳がないことに気がついた。 「しまった…。」 ジャージ姿のまま椎名は外に出た。 部屋を出て徒歩三分。横断歩道の先にコンビニエンスストアがあった。 信号が青になり歩き出すタイミングで、コンビニから客が出てきた。 その客と横断歩道上ですれ違いざまに椎名は口を開いた。 「Мы готовы.」 「Спросите в туалете.便所で聞く」 コンビニに入った椎名はそのまま店のトイレに入った。 そしてその備品棚に手を伸ばす。 そこには一台の携帯電話が置かれていた。 「Офрана начинает терять свою популярность. オフラーナは仲間割れが始まって…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「内紛でしょうか。」 「小寺三佐、それは私も考えていた。天宮憲行はオフラーナ派のツヴァイスタンシンパ。一方、妻の天宮ゆかりは人民軍派のツヴァイスタンシンパ。同じシンパといえど出自が違う。このふたつ、犬猿の仲だ。」 「その通りです、赤石隊長。オフラーナ派の下間芳夫の影響からツヴァイスタンにのめり込んでいった憲行と違って、ゆかりは生粋の活動家。しかも過激派です。ゆかりは夫を隠れ蓑にして活動に明け暮れていました。」 「そうだ。あの二人は見せかけの夫婦。その証拠にゆかりはしょっちゅう外出していたと聞く。」 「警察が聞き込みに行ったときも、ゆかりはいなかったと情報が入っています。」 「うん。」 「大方、活動のための外出でしょう…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら ツヴァイスタンから亡命してきた拉致被害者、仁川征爾。 報告書によれば拉致された仁川はあの国の秘密警察オフラーナの厳重な管理の下、秘密警察要員として育成された。 仁川の主な任務は日本語教育、亡命・移民者の管理監督だった。 一方的に人生を狂わされた仁川だったが、彼は彼なりの努力をもって、ツヴァイスタン労働党員の党籍を得るまでになった。 労働党員となった彼の生活水準は貧困にあえぐあの国の中にあっては比較的良い部類であり、食うには事欠かない生活を送っていたようである。 そんな彼が命がけであの国から脱出してきた。 なぜか。 理由は二つ考えられる。 ひとつは純粋にツヴァイスタンに嫌気がさして逃げてきた。 もうひとつは亡命を偽装し…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 熨子山山頂の展望台に続く遊歩道。 愛犬を連れ立って歩く男がいる。 木々が生い茂る地形のためか、薄明(はくめい)時のこの場所はまだ暗い。 帽子の上から装着されたLEDライトの光が、暗がりに漂う自分の白い吐息を照らす。 気温は11度。 「ワンッワンッ!!」 めったに鳴くことのない愛犬が突如立ち止まり吠えだした。 「どしたぁペロ。」 犬が吠える先には雑木林。もちろんその先には人気がない。 嫌な予感しかしない。 LEDライトを手にした彼は恐る恐るペロが吠える方を照らす。 彼の予感は的中した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「なに?天宮の奥方が遺体で見つかった?」 「はい。先程熨子山で発見されたと報告が入りま…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「私は上司に報告しました。医者がタレこんだ写真はなかったと。すると数日後、警察はその家に抜き打ちの持ち物検査に入りました。」 「で…。」 「彼女は毅然としてそんな写真はありませんって言い通しました。まさか窓の木枠にそれが入ってるとは警察も思わず、結果はセーフでした。」 「同朋意識があなたの心を動かした結果…ですか。」 「いいえ。そんな高尚な意識は私は持っていません。それまでに私は数々の日本人移民、亡命者を通報し、検挙してきました。その任務遂行能力の高さを買われて私は秘密警察の管理下に置かれたようなものですから。」 「ではなぜその家族だけにそのようなリスクをとった?」 「写真が美しかった…。」 「はい?」 「私にはその…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 5年前 都内マンションの一室。 仁川征爾はここに3ヶ月の間、軟禁状態で警察からの聴取を受けることとなった。 聴取係は山田、高橋、田中の3名。 見るからに偽名とわかるこの3名の担当官、彼ら2名がペアとなり、交代で仁川と向き合った。 取調べは過酷だった。 下間によって連れ去られた当時の詳細から始まって、ツヴァイスタンに入ってからどういう人間と出会ったか。朝目覚めてから夜眠るまでどう言った毎日を過ごしていたのか。待遇は。価値観は。生活環境は。食事は。 どういった統治機構で国は治められているのか。どういった連中が力を持っているのか。軍の状況は。警察の状況は。経済状態は。衛生状態はどうか。微に入り細に入り聴取された。 人間の記…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 深夜のちゃんねるフリーダム。報道以外のほとんどのフロアの電気は消えている。そのなかで社長室の電気だけは煌々と灯っていた。 「ま、かけて。」 「あ、自分外します。」 「いやいい。デスクも一緒にいてくれ。」 「あ、はい。」 安井と黒田がソファに座るのを見届けて、加賀は立ち上がった。 そして二人の前まで来て、なんの予告もなく安井の顔面を拳で殴りつけた。 殴打音 「あ…が…。」 「社長!」 「デスクは黙ってろ。」 自分の拳をハンカチで拭いながら、加賀は安井と向かい合いようにソファに腰を掛けた。 「ひとりでなんでもかんでも背負うんじゃねぇよ。バカが。」 「…。」 「安井君。なんで俺に相談してくれなかったんだ。なんで黒田君にも相…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 部屋から顔を覗かせたのは年老いた男だった。 まばらな白髪頭。老眼鏡なのか鼻メガネをかけている。 上目遣いでこちらの方を注意深い様子で見る。 「言っとったお客さん連れてきた。」 三好がこう言うと老人は目を細めて、彼の後ろに立つ岡田を見る。 頭から足の爪先までを舐めるように。 「入んな。」 人ひとりの出入りしか出来ないほど狭い玄関口。 三好と岡田が靴を脱ぐと、それだけでそこは埋まった。 上り框のところには灯油のポリタンクが二つ積み重ねられ、それが狭小さに拍車をかける。 二人は身を捩りながら奥に進んだ。 部屋に入ると壁の至る所にポスターが貼られている。 「憲法9条を殺すな」「原発反対」「男女平等共同参画」「日米安保反対」「…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら ー瞬間催眠なんか誰がどう考えてもただのオカルト話だ。誰も取り合ってくれない。 ーだが相馬周。あの男なら話を聞いてくれるはずだ。 ーいや...。そもそもあの男はこの事を調べるために俺に接近してきた。 ーそれをうっすらと感じていたから、俺はあの男のオファーに乗った。 ーそう。縋る思いで。 井戸村は石大病院に向かうタクシーにあった。 窓からは流れゆく金沢の夜の街並みが見える。 ーあのときの俺は目標を失っていたんだ。 ー生きる糧を失っていただけなんだ。 ーぽっかりと空いてしまった心の穴。それを埋めることができればそれで良かった。 石大病院の病院部長のポストを斡旋した男の姿が、井戸村の頭から離れない。 ー別に金が欲しかったんじ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「だけど事実はオカルト研究だった。そう言う事ですね。」 「結局あの時もあいつは俺にブラフをかけていたって訳だ。」 「利用されましたね。」 井戸村はため息をつく。 「そう言うことを俺は言ってるんじゃ無いんだ坊山。」 「はい?」 「別に俺はいいんだよ。コロコロ手の内で転がされても。」 「じゃあ…。」 「許せんのだよ。その男が。あいつこう言っただろう。『もしもそれがそんなオカルト研究だとしたら、この国は滅ぶでしょうね。間違いなく』ってよ。」 「はい。」 「これって裏返したら国を滅ぼす研究をしてますよって宣言だろ。」 「あ…。」 「俺は許せんのだよ。国立大学って名の下で国を滅ぼす研究をしてる輩が。そして知らなかったとはいえそ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「ちょっくら外で煙草吸ってきてもいいけ?」 「どうぞごゆっくり。」 古田は店から出た。 「はいもしもし。」 煙草を咥え火を付ける音 「井戸村ってまだそこにいるの?」 「おう。おる。」 「もうしばらくしたら坊山って男が合流するみたいよ。」 「坊山?」 「ええ。そいつの部下。病院の人事課長。」 「部下が何しに。」 「わかんない。」 「ふうむ…。」 「井戸村。何でも随分ヤバいことに首突っ込んでたみたいよ。」 「ヤバいこと?なんや?」 「それもわかんないの。とにかく周りを巻き込みたくないからってウチの楠冨帰らせたみたい。」 「…何や…ひょっとしてその坊山ってやつがヤバいんか。」 「違う。坊山も楠冨と一緒よ。巻き込みたくないん…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 個人が警察組織を打倒する。そんなものどう考えても無理だ。 ただでさえ非正規雇用の身分で経済的に不安定。それが故に精神状態も不安定。 そこに妹の仇を討つために警察組織を打倒するという壮大な野望を植え付けられた彼は、自身の現実と目標との果てしない距離に絶望し、社会に対する怨みを増幅させる。 この状態が続けば朝戸の精神は消耗しきる。 それが光定には見えていた。 だから鍋島の複製を作り出すための実験を、朝戸に行った。 もしも鍋島能力を朝戸が手に入れることができたとしたら、彼なりの復讐を成し遂げることができるだろう。 なぜなら対象を意のままに操ることができるようになるのだから。 警察のお偉方が処罰されるよう鍋島能力を使えばいい…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「大体のことは掴めました。」 「…。」 「改めて聞きます。あなたは本当のところどうしたいんですか。」 「…。」 「このまま朝戸と空閑の様子を観察…もとい、ナイトとビショップを観察し、その実験結果を見て次なる研究へ繋げていく。という道もありますよ。」 「…。」 「やめるのは簡単です。ですが天宮先生も小早川先生も曽我先生も、みんな居なくなった。もうあなたしか居ないんです。この研究を担う人材は。」 「…。」 光定は沈黙を保った。 3日後の5月1日金曜。 金沢駅において何らかのテロ行為が予定されている。なにも昨日、今日決まった話ではない。この日に決定的なアクションを起こす。これは空閑によって以前から予定されていた。光定は催眠…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 二人は声を出して笑った。 携帯バイブの音 「うん?」 椅子の背もたれにかけたスーツの上着から携帯を取り出した井戸村はその表示を見ると不愉快な表情になった。 「部長?」 「ちょっと席を外す。すぐに戻るから。」 井戸村は店の外に出た。 「なんだ。こんな時間に。」 「病院部長。至急ご報告があります。」 「なに…坊山まさかお前、東一のお客さんに無礼でも…。」 「それどころじゃありません。」 かぶせてくる坊山の物言いに、井戸村はただごとではないことを察した。 「なにがあった。」 「光定先生。ヤバいですよ。」 「光定先生がヤバい?」 「はい。」 「先生がヤバいのは今に始まったことじゃない。」 「確かに…ってかそういう時限の話じゃ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら Wi-Fiスポットである一階ロビーにいるはずの相馬。その彼の姿が見えない。 このまま応接に戻っても光定しかいないとなると、これまた自分が叱られる。 一応、探すだけ探したというアリバイは作らねばなるまいと坊山は周辺を探った。 といってもここには暗くなった2件の喫茶店。郵便局、受付、外来の一部など限られたものしかない。 お客人の姿はどこにも見当たらなかった。 バイブ音(短い) 「うん?」 坊山は足を止めた。 妙な音が聞こえた気がする。 ここは外来の廊下。その長い廊下先は暗闇が待ち構えている。 ー勘弁してくれ…。夜の病院、そんなに得意じゃないんやって…。 と心のなかでつぶやいた瞬間、その廊下の先に二人の幼女が手をつないでこ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら ノックする音 「失礼いたします。」 ドア開く 「あれ?」 坊山が立ち止まったため、光定は彼の背中にぶつかった。 「あの…坊山さん?」 「あーそうやった…。」 「はい?」 「Wi-Fiスポットどこやって言っとったんでした。お客さん。」 「Wi-Fi?」 「ひょっとしたら一階のロビーに居るんかも。」 「はぁ…。」 「ちょっと呼んできます。先生はこちらでお待ち下さい。ついでにお茶も用意しますんで。」 ただひたすらに呆れた顔を見せる光定には目もくれず、坊山はその場から姿を消した。 「ダラなこと言っとんなや!それのどこが報道ねんて!結局洗脳して上書きしとるだけやろうが!」 「…。」 「自分の思うようにいかんくなったら他人の記憶…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 金沢郊外のとあるテナントビル。 その中のひとつの扉には一枚の紙が貼られていた。 「体調不良のためしばらくの間休講とさせていただきます。」 この貼り紙をみた塾生たちは皆、それをスマホで撮りどこかに送っている。 その場で親に電話で連絡を取るものもいるし、これ幸いと友達と遊びに行く連中もいる。 その行動は人それぞれだ。 事前に案内が出ていなかったのだろう。皆、驚きを隠せない様子だった。 「千種の死を受けて急の休み。(゚ν゚)クセェな。」 踵を返した古田は外に出た。 ここ数日振りっぱなしだった雨がようやく上がったようだ。 濡れた地面に街灯の明かりが反射して、キラキラと輝いて見える。 こころなしか空気もいつもより澄んでいるよう…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「どうしたんですかヤスさん。」 「三波の居場所がわかったぞ黒田。」 「え!?どこですか。」 「家だよ。」 「家?」 「自宅で引きこもってる。」 「は?」 「なぁあいつの住所ってどこだよ。俺行くから。」 突然の電話と三波の情報、黒田は状況を飲み込めないでいた。 彼の前に座る加賀はそのまま続けろと合図をする。 「住所って言われても俺もあいつの家なんて知りません。調べて俺が行きます。」 「いや俺が行く。」 「何言ってんですか三波は俺の部下です。俺が行きます。ヤスさんは会社に戻ってください。」 「なんでだよ。俺が引っ張ってきたネタだ。俺がやる。」 「ヤスさんはヤスさんの仕事があるでしょう!」 「…。」 「ヤスさんは制作の頭な…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「どうです。気分が悪いとかありませんか。」 「まぁ…。」 「頭痛はまだあると聞きましたが。」 「はい。」 「どんな感じの頭痛ですか?」 「…突然、頭の奥深くからズキンと来る感じです。」 「あぁ…。」 ーなんだこのやり取り。無表情だけど普通じゃん。片倉さんから聞いているコミュ障って話と違うぞ。 「詳しい検査をしないことには頭痛の原因はわかりません。明日、検査しましょうか。」 「はぁ。」 「いまは検査できる人間がいませんので、明日MRI撮りましょう。それまで三波さん。こちらでお休みください。」 「あ…でも…。」 「お仕事ですか?」 「はい。」 「死にたいんだったら行ってもいいですよ。」 「はい?」 「死にたければこのまま…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 目を開くと白い天井が見える。 ここはどこだ。自分の家の部屋ではないことは明らかだ。 彼はとっさに身を起こす。 「痛っ…。」 右側頭部にズキンとした痛みを覚え、彼はゆっくりと体を倒した。 「すいません…。頭が割れそうなんで救急車、お願いできませんか…。」100 「そっか…俺、救急車呼んだんだった…。病院か…ここ…。」 目を瞑り眠りにつこうとした。 「はっ!」 飛び起きた彼はベッド右側にあるカーテンを開いた。 眼下には山側環状線が見える。 瞬間、三波の背筋が寒くなった。 「とにかく、石大に近づくのはやめろ。」89 「ここ、石大だ…。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 数時間前 北陸新幹線内 彼は…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 5年前 「にわかには信じがたい話です。」 「正常な感想だ。」 「ですが他ならぬ陶課長のお話です。」 「ということは?」 「信じます。信じますが…なかなか受け入れられません。」 「いいんだ。そう言ってくれるだけで十分だ。」 「しかしどうしてそんな大事なことを自分に。」 「俺は苦労人をリスペクトしている。」 「…それは自分のことですか。」 「そうだ。」 都内駅構内の某コーヒーチェーン店。 入れ代わり立ち代わり人が出入りする店の奥に向かい合って座る中年男性ふたり。 彼らの存在を気に留めるものはいない。 「調べさせてもらったよ。随分ハードな生き方を強いられてきたみたいじゃないか。」 「なぜ自分なんかに関心をお示しに?」 「な…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 自宅に帰ってきた三波はベッドに倒れ込んだ。 「痛ぇ…。頭痛ぇぞ…。なんだこれ。」 「今日手に入れた情報はすべてデタラメだ。小早川は気が狂っていた。お前は疲れている。このままおとなしく家に帰るんだ。そこでじっとしていろ。」94 「何しやがったあいつ…。さっきまではそこまでじゃなかったのに、ここに来て何だこの頭痛…。おとなしくしてろって、このまま寝てろってのかよ。」 身を起こそうとすると自身の後頭部に鈍い痛みが走る。 「あ、痛っ!」 彼は突っ伏した。 「やべ…これあれかな…。脳梗塞とかかな…。だったら洒落になんねぇぞ…。」 三波は携帯を手にした。 「すいません…。頭が割れそうなんで救急車、お願いできませんか…。」 電話を…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 東京都と埼玉県にまたがるように自衛隊の駐屯地がある。 リュックを担いだ男がひとり、そこに歩いて入っていった。 「なるほど。今川は心当たりがあると。」 「はい。我が国のツヴァイスタンシンパに鍋島能力の研究を委託した可能性があると言っています。」 「しかしそれはあくまで今川の個人的な予想。」 「その個人的な予想の裏を取るのは警察の仕事です。」 「ツヴァイスタンによる重大犯罪に加担した男の見過ごせない発言。事件の真相を明らかにすることを職務とする警察は動かざるを得なくなる。」 「普通ならば。」 「そう。普通ならば。」 肘を付き、両手を口の前で組む彼の表情の細かな様子は2メートル離れたここからは窺いしれない。 「今回は法務省…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「古田の様子がおかしい?」 「はい。」 「何が。」 「同じこと何度も言うんですよ。」 「何度も同じことを?」 「はい。」 警察庁警備局公安特課。 松永専用の公安特課課長室で百目鬼は足を机の上に乗せて何者かと電話をしていた。 「具体的には?」 「空閑ですよ空閑。」 「…あぁ、千種が光定の書類を渡したと思われるやつか。そいつがどうかしたか。」 「古田さん。自分にその空閑を調べてくれって電話かけてきたんです。百目鬼理事官から自分を使えって言われたんでって。」 「うん。俺が神谷くんを紹介した。」 「で、空閑教室って塾をやってるってのを聞いたんで、すぐに下のモンに調べさせたんです。」 「うん。ってかその下のモンって言い方、ちょ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「話が違うだろうが。」 「電話かけてくるのは止めてくれって言ったはずだが。」 「緊急事態に馬鹿丁寧にSNSでクレームつけるバカが居るか!」 声を荒げて電話をかけるのはちゃんねるフリーダムカメラデスクの安井隆道だ。 彼は犀川の河川敷に立ち、雨音と川の流れの音によって自分の声が他人に聞かれないよう配慮をしていた。 「身内には被害者は出さないって約束だっただろうが。」 「出さない。そういう事になっている。」 「そういう事になってないから電話してんだよ!」 「なんだって?」 「その反応…。まさかあんた…。」 「え?何?何があったんだ。」 安井は深くため息をつく。 「はぁー…。」 「何が…。」 「三波が行方不明になった。」 「…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 今回はhachinohoyaさん 林進さんからのお便り紹介です ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【公式サイト】 http://yamitofuna.org 【Twitter】 https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVM ご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。 皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。 すべてのご意見に目を通させていただきます。 場合によってはお便り回を設けてそれにお答えさせていただきます。…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら スリッパを引きずるような音が聞こえたため、楠冨はそちらの方を見た。 力なくスツールに腰を掛ける検査着姿の光定がそこにあった。 「先生…。」 うつむいたまま反応を示さない光定を見て彼女はそっと湯呑を差し出した。。 「ささ、熱いお茶でもお召し上がってください。体が温まりますよ。」 「うん…。」 茶をすする音 静寂の中、ただ光定の茶を啜る音だけがこの空間に響く。 二人の間に無言の時間がどれだけ流れただろうか。 このいつまで続くかわからない沈黙を破ったのは光定だった。 「何も聞かないんですね。」 「何のことですか。」 「僕が急にいなくなったこと。」 ーなんだ…随分流暢に話すじゃないの。 「私が聞いてどうなるんですか。」 「何…
 
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このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「死んだ!?小早川が?」 「おいや。自殺。あんたがさっきまでおった研究室から飛び降りた。」 「なんで?」 「わからん。」 「本当ですか…。」 「本当。いよいよヤバい感じや。三波あんた、今どこや。」 「まさにいま新幹線降りたところです。金沢駅です。」 「よしわかった。んならそのまま駅におってくれ。迎え寄越す。」 「迎えですか?」 「あぁこの手際の良さ、マジもんの仕業や。このままやとあんたの身に危険が及ぶのは時間の問題。」 三波はとっさに壁を背にした。そしてあたりを見回す。制服姿の学生、スーツを着た仕事上がりの男。携帯の液晶画面を巧みな指使いでなぞるOL風の女性。 ここを行き来すす殆どの人間が、束縛から開放されたような感…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「それが朝戸を鍋島にするってやつだったってか。」 「そう。」 「でも、すでにその実験は失敗に終わっている。その失敗続きのそれを、なんで朝戸にもって思ったんだ。」 「可能性をみたんだ。」 「可能性を見た?」 「うん。鍋島能力の発動の条件には膨大な負のエレルギーの蓄積ってのがあるんだけど、そのときの朝戸の感情の爆発は凄まじくってね。いままでに経験したことがないほどのものだったんだ。鍋島自身が抱えていた負のエレルギーも凄いけど、これも相当なもんだ。だから今度はうまくいくかもしれないって思ったんだ瞬間的に。」 「負のエネルギーか…。」 「ビショップ。君は当時の朝戸ほどの負のエネルギーは持ち合わせていない。東京で施術した対象の…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 5年前… 「はい。」 「光定先生ですか。外来に先生を訪ねてきた方がいらっしゃってまして。」 「だ…れ?」 「あの…朝戸さんとかおっしゃっています。」 「朝戸?」 「はい。どうします。」 「あ…じゃあ…僕の部屋まで案内してあげて…。」 「え、いいんですか。」 「う…ん…。」 「でも第2小早川研究所の立ち入りは小早川先生から厳重に管理せよと言われているんですが。」 「問題ない。その人は信頼できる人だ。」 ドアが開く音 「よう。」 「どうしたの。」 「どうもこうもない。」 そう言うと朝戸は1枚の写真を写真を光定に見せた。 「なにこれ?」 「犯人。」 「え!?」 「紗季を殺した犯人さ。」 「…本当なのか。」 朝戸は首を縦に振…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「鍋島!?」 「ええ。研究対象の鍋島能力。その保持者であった本人です。」 「な…なんで…こんなものが…こんなところに…。」 「天宮先生の手配です。ちょっと警察の方面に手を回してこういうことにしてくださったんです。」 「ば…ばかな…わたしはこんなこと聞いていない。」 腰を抜かしたまま小早川はホルマリン漬けになっている人間を仰ぎ見る。 筋肉質な体型を保ったままのシルエットは美しかった。 彼の視線は体の全体的なシルエットから各部へと移動する。 すると特徴的なものに気がついた。 「なんですかこの体は…。」 体のいたる所に縫合の後が見える。 「体だけじゃなくて顔も色々いじってたみたいですよ。」 「え…顔?」 そういうと小早川は…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「なんだってこんなところなんだ…。」 車一台がやっと通れるくらいの舗装されていない狭い道。 雨によってそれは泥濘んでいた。 ひょっとするとタイヤがスタックするかもしれない。 自身のない空閑は車を止め、その道を徒歩で進んでいた。 歩くこと数分。ようやく開けた場所に出た。 朽ちた小屋がある。 その側には車が止まっていた。 「四駆か…。」 扉を開く音 「遅かったね。」 暗がりに白いシルエットが見える。 白衣姿の光定だった。 「まぁ…。」 木床の軋む音 「ここは?」 「あぁ塩島一郎って爺さんの持ち物さ。ちょっと拝借したんだ。」 「いや、そういうことじゃなくて。なんでこんな熨子山の小屋なんかで。」 「熨子山って言ったら思い出さ…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 石川大学病院部総務人事課。 人事課長の坊山に耳打ちする者がいた。 「え?光定先生が?」 「はい。急用が入ったっておっしゃって席を外してそのままなんです。」 「何?帰ったん?」 「わかりません。」 「はぁ…。で、診療の方は?」 「代わりの先生にまわしてもらっていますが、患者の待ち時間が…。」 「んなもん仕方ない。患者には事情を説明してなんとかしてもらえ。」 「はい。」 ーまずいことになった…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1時間前。 「は?ウチの中村になりすまして小早川教授と面会?」 「そうだ。」 「え?今朝、部長にも電話でお伝えしたでしょう。中村は今日は休みです。中村本人じゃなくてです…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 今回は左甚五郎さんからお寄せいただいたお便りです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【公式サイト】 http://yamitofuna.org 【Twitter】 https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVM ご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。 皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。 すべてのご意見に目を通させていただきます。 場合によってはお便り回を設けてそれにお答えさせていただきます。闇と鮒 による
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 今回お便りをお寄せくださったのは笹木雅貴さんと肉団子さんです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【公式サイト】 http://yamitofuna.org 【Twitter】 https://twitter.com/Z5HaSrnQU74LOVM ご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。 皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。 すべてのご意見に目を通させていただきます。 場合によってはお便り回を設けてそれにお答えさせていただきます。…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「え?直接投与する?」 「うん。」 「でも…まだ実用化できてないよ。」 「実験で構わない。今すぐ試したいんだ。」 「でも僕はいま手が離せない。」 「俺がやる。」 「ビショップ。君が?」 「ああ。俺がやる。」 「でも方法を君は知らない。」 「教えてくれ。」 「教えても無理だ。」 「なぜ。」 「物理的な理由さ。」 「なんだそれは。」 「こんな意味のないことをここで君に開陳する意味を僕は見いだせない。」 「じゃあ聞く、仮にその物理的な問題を克服したら瞬間催眠は実用化できるのか。」 「今よりは実用化に近づく。」 「どの程度。」 「完成が100とすれば80まで一気に進むだろう。」 「教えてくれ。」 「だから無理なものを議論する…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 「素早い仕事ごくろうさん。」 「ありがとうございます。」 「これなら自殺ってことで大事にもならないだろう。」 「はい。」 「続いてもう一件頼む。」 「はっ。」 紀伊の携帯にPDFが送られてきた。 「これは?」 「ちゃんねるフリーダムというネットメディアの記者、三波宣明(のぶあき)だ。」 紀伊はちゃんねるフリーダムという言葉を聞いて表情が固くなった。 「この男が何を。」 「石川大学の総務の中村であると偽って、今朝小早川と接触をしていた事が判明した。」 「なんと…。」 「この三波を消すんだ。」 「え?」 「身分を偽ってまで小早川と接触をする奴だ。普通の取材じゃない。」 「あの…專門官。待ってください。それだけで消すんです…
 
このブラウザでは再生できません。 再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら 電子鍵が開かれる音が聞こえたため、窓から外を見つめていた小早川はそちらの方を見た。 そこには警備員姿の男が立っていた。 一介の警備員がなんの断りもなく研究室の鍵を勝手に開けて入ってくる事自体がありえない。 あまりもの想定外の状況を目の当たりにして、小早川は反応に困った。 「なんだ…君…。」 小早川がこういった瞬間、突如として警備員は小早川の背後に回り込んだ。そしてハンカチのような布で彼の口元を抑える。 まもなく小早川は気を失った。 「小早川先生!守衛室です!応答願います!小早川先生大丈夫ですか!」 どうやらとっさに小早川は非常通報装置のボタンを押していたようだ。 「チッ。」 警備員姿の男は窓から外の様子を見る。 今の…
 
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