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176.2 第165話【後編】

14:45
 
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「Хорошо. Но будьте умеренны. Не поднимайте шума. О, да. Это обнадеживает. Я бы предпочел, чтобы вы считали это демонстрацией силы с нашей стороны.そうか。しかしほどほどにしておけよ。決して騒ぎを起こすなよ。ああそうだ。それは頼もしいな。むしろ我々の力の見せ所と思って欲しい。」
「Да, я вижу. Вот этот.ああ見えた。あれだな。」
「Но... что это за пробка? Будет ли завтра в это время так же оживленно?しかし…なんだこの渋滞は。明日のこの時間もこんなに混雑してるのか?」
「Понятно, дождь тому причиной... Но, наверное, так и будет, когда я поеду домой в выходные.なるほど雨が原因か…。だが週末の帰宅時となるとやはりこのような感じになるのだろうな。」
ーロシア語…。週末の帰宅時間を気にしている?
白人男性の側にやってきた相馬は彼が話す言葉をかろうじて聞き取ることができた。
「Японцы хорошо себя ведут. Они никогда не врываются в дом. Нам стоит поучиться этому, не так ли?日本人は行儀が良い。決して割り込んだりしない。そこは本当に見習わなければならんな、我々は。」
「Мы слишком много говорили. Остальное мы сделаем, когда встретимся. Ах... Увидимся позже.あまりにも話しすぎた。後は合流してからにしよう。ああ…。では後ほど。」
電話を切った彼は携帯をポケットにしまい、そのまま両手を底に突っ込む。そして大きく息をつき両肩をストンと落とした。
一見、送迎車両を待つただのロシア系外国人と言った風貌の彼だが、相馬は彼が持つ独特の顔の特徴をつかんでいた。
ー顔に十時の傷…。
「その白人については公安特課は関わらない。冴木についても一旦保留とする。」
「どうしてですか。」
「その白人は防衛省マターとなる。防衛省マターに公安特課は関わらない。」
「防衛省?」
「そうだ。防衛省だ。あいつらのヤマはスルーしろ。」160
相馬は児玉らの車が止まっている方を見やった。
ーおいおい…まだ車の中だぞあいつら…。ロストしてんじゃないのか。
一台のハイエースが彼の前に止まった。それと同時に相馬は彼と距離をとる。そして柱の陰に自分の身を隠してスマートフォンをそちらの方向けて構えた。
シャッター音
スライドドアを自分で開いた彼は車に乗り込み、即座にそれを閉めた。
シャッター音
「ったく…何やってんだよ、あいつら。」
舌打ちした相馬はそのままホテル側に停車している吉川らの方に走って向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
助手席側の窓が激しく叩かれたため、児玉と吉川はそちらの方をにらみつけた。
そこには先ほど職質を装って接触を図ってきた男が立っていた。
「公安特課…あいつ…いい加減にしろ。」
明らかに不快な表情になった児玉は窓を開けた。
「言っただろ。相互不干渉だ。あっちいけ。」
相馬は何も言わずに先ほど撮影した写真をドア越しに児玉に見せた。
「こいつじゃないですか。対象は。」
写真を見せられた児玉は絶句した。
「これ…いつ…。」
「今さっきです。ハイエースに乗ってどこかに行きました。」
「おいっ吉川!」
相馬から携帯を奪った児玉はそれを吉川と一緒に見た。
「間違いないベネシュだ。」
「ベネシュ?」
しまったという表情を見せた運転席側の吉川だったが、ここに至ってはもうそんなことはどうでも良いという感じで相馬を後部座席に乗るように言った。
ドア閉まる音
「ベネシュって誰ですか。」
「アルミヤプラボスディアだ。」
「アルミヤプラボスディア…。」
知っているかと尋ねられた相馬は首を縦に振った。
「こいつはマクシーミリアン・ベネシュと言って、アルミヤプラボスディアの精鋭部隊の隊長だ。」
「精鋭部隊…。」
「ああその名はトゥマン。業界でその名を知らないものは居ない。」
「トゥマン…。霧ですか。」
「なんだ、お前ロシア語分かるのか。」
「少々。」
「どこに行った。」
相馬はこの場から向かって正面にある鼓門の奥の方、北東を指さした。
それを受けて運転席の吉川は慌ててシートベルトを締め、車を発進させようとした。
「無駄ですよ。」
後部座席から相馬はこう言った。
「方角しか分からないのに、どうやって追いかけるって言うんですか。」
「じゃあどうするんだよ。」
「あの、一応自分警察です。」
相馬は装着しているイヤホンを指で押さえた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「片倉班長。報告が。相馬からです。」
岡田が片倉に耳打ちした。
「そうか。で。」
「とりあえず自衛隊とウチらの連携の詳細が詰められていませんので、キンパイは敷こうと思うんですが、どうでしょうか。」
「そうやな。それがいい。居所を押さえることを優先しよう。見つけても決して逮捕はするな。」
「ではその線で動きます。」
岡田は部屋から急ぎ出て行った。
彼の後ろ姿を見届けた片倉が振り返ると、ディスプレイに映し出される椎名の姿があった。
「大川に立憲自由クラブを止めてもらうのか?ここに来て?」
「ああそうだ。」
「なぜ。」
「予期せぬ事が起こった。」
椎名は空閑に電話をかけていた。
「なんだ。何が起こった。」
「言えない。ただ、このままだと計画は失敗する。」
「おいキング…。ここに来て何なんだ。俺はホテルで謹慎、せっかく仕込んできた立憲自由クラブのデモ行動まで中止しろって、何が起きてるんだ…。」
「君は知らなくていいい。」
「…急に態度が変わったな。」
「坊主が王と対等であるはずが無いだろう。」
突然の高圧的な態度に空閑は面食らった。それは彼の様子を観察していた片倉も同様だ。
「勘違いするな。お前は駒だ。俺はキングだ。俺がお前に指示をすることはあっても、お前が俺に指示することは許さん。」
「キング…。」
「お前が俺に指示をするとき。それは反逆と言うことで処分だ。」
「ま、待ってくれ。」
「待って…くれ?」
「あ…。」
「く、れ?」
「ください。」
「もう一度。」
「待ってください。」
沈黙が答えのようだ。空閑はいよいよそのプレッシャーに耐えきれなくなった。
「お願いします。待ってください。」
「…。」
「私の身はどうでも良いのです…。」
「…。」
「ただインチョウの解放、それは成し遂げられるのでしょうか。大川を動かすことで、立憲自由クラブのデモ活動を中止に持っていくことで、インチョウの解放ができるのでしょうか。」
「…。」
「キング。それだけは教えてください。」
「…できる。そのための措置だ。」
今度は空閑が沈黙した。
「その沈黙はどういう意味か。」
「…考えていました。」
「何を考えていた。」
「大川を説き伏せる術です。」
「説き伏せる?」
「はい。」
「君は特別なコミュニケーション方法も持っているだろう。」
この椎名の発言を聞いていた片倉の顔色が変わった。
「特別なコミュニケーション?…何のこと言ってる。」
「…ですがそれはこのホテルの部屋の中にいて使えるものかわかりません。」
「やってみたらどうだ。」
「え?」
「テレビ電話だよ。」
「賭けになりますよ。」
「いい。やってみろ。何事もやってみないことにはな。」
「わかりました。」
電話を切った椎名は監視カメラのレンズに目をやった。
「ご苦労さん。」
「あとは空閑の働きにこちらが賭けるのみです。」
「何だあの特別なコミュニケーションってのは。」
「彼なりの人心掌握術です。」
「具体的に。」
「具体的にって言っても…。」
椎名は困惑している様だった。
「言葉で表現できない?」
「そうですね。自分にはない能力ですから。」
「?」
「何て言うんだろう。いい男なんですよ奴は。いわゆるイケメン。男の自分が言うのものなんですが、格好が良いんですよ。」
「なんや見てくれの話か。」
「空閑は見てくれだけじゃない。彼は学習塾を経営しているくらいですから、口が立つ。もちろん頭も良い。これって結構な武器なんです。」
「相手は大川だ。男だぞ。女ならまだ分からんでもないが…。」
「片倉さんはまだその手の人に会ったことがないから分からないんですよ。」
「いや俺も会ったとこある。その手の人間ってのは少なからず居る。けどそこまでか?」
「多分、片倉さんの頭に浮かんでいるその人、圧倒的じゃなんですよ。」
確かに一色にせよ松永にせよ、頭脳明晰であるがビジュアル面では突っ込みどころはある。しかしそれは空閑においても同様ではないだろうか。確かにぱっと見た感じの彼はどこか魅力的な顔立ちである。
彼の髪は短く、黒色。目は細くて濃い茶色で、鋭いまなざしをしている。眉は太めで直線的な形。鼻は高く顎はしっかりとしている。顔の輪郭は細長く、年齢の割に肌は滑らか。全体的に彼の顔立ちは整っており、クールな印象を受ける。
しかし眉目秀麗と言えるほどの男性には見えない。この手の精悍な顔立ちの男は、警視庁内でも時々見る。
「完全無欠のビジュアルと頭脳をもつ人間ってのは、オスメス関係なく生物として無条件に魅力を感じるもんです。」
「あの…確かに空閑は男前や。けどそんなに圧倒的かね。」
「圧倒的に見えるんですよ。相対すると。」
「相対すると?」
「それが彼の特別なコミュニケーション能力です。」
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「Да, я вижу. Вот этот.ああ見えた。あれだな。」
「Но... что это за пробка? Будет ли завтра в это время так же оживленно?しかし…なんだこの渋滞は。明日のこの時間もこんなに混雑してるのか?」
「Понятно, дождь тому причиной... Но, наверное, так и будет, когда я поеду домой в выходные.なるほど雨が原因か…。だが週末の帰宅時となるとやはりこのような感じになるのだろうな。」
ーロシア語…。週末の帰宅時間を気にしている?
白人男性の側にやってきた相馬は彼が話す言葉をかろうじて聞き取ることができた。
「Японцы хорошо себя ведут. Они никогда не врываются в дом. Нам стоит поучиться этому, не так ли?日本人は行儀が良い。決して割り込んだりしない。そこは本当に見習わなければならんな、我々は。」
「Мы слишком много говорили. Остальное мы сделаем, когда встретимся. Ах... Увидимся позже.あまりにも話しすぎた。後は合流してからにしよう。ああ…。では後ほど。」
電話を切った彼は携帯をポケットにしまい、そのまま両手を底に突っ込む。そして大きく息をつき両肩をストンと落とした。
一見、送迎車両を待つただのロシア系外国人と言った風貌の彼だが、相馬は彼が持つ独特の顔の特徴をつかんでいた。
ー顔に十時の傷…。
「その白人については公安特課は関わらない。冴木についても一旦保留とする。」
「どうしてですか。」
「その白人は防衛省マターとなる。防衛省マターに公安特課は関わらない。」
「防衛省?」
「そうだ。防衛省だ。あいつらのヤマはスルーしろ。」160
相馬は児玉らの車が止まっている方を見やった。
ーおいおい…まだ車の中だぞあいつら…。ロストしてんじゃないのか。
一台のハイエースが彼の前に止まった。それと同時に相馬は彼と距離をとる。そして柱の陰に自分の身を隠してスマートフォンをそちらの方向けて構えた。
シャッター音
スライドドアを自分で開いた彼は車に乗り込み、即座にそれを閉めた。
シャッター音
「ったく…何やってんだよ、あいつら。」
舌打ちした相馬はそのままホテル側に停車している吉川らの方に走って向かった。
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助手席側の窓が激しく叩かれたため、児玉と吉川はそちらの方をにらみつけた。
そこには先ほど職質を装って接触を図ってきた男が立っていた。
「公安特課…あいつ…いい加減にしろ。」
明らかに不快な表情になった児玉は窓を開けた。
「言っただろ。相互不干渉だ。あっちいけ。」
相馬は何も言わずに先ほど撮影した写真をドア越しに児玉に見せた。
「こいつじゃないですか。対象は。」
写真を見せられた児玉は絶句した。
「これ…いつ…。」
「今さっきです。ハイエースに乗ってどこかに行きました。」
「おいっ吉川!」
相馬から携帯を奪った児玉はそれを吉川と一緒に見た。
「間違いないベネシュだ。」
「ベネシュ?」
しまったという表情を見せた運転席側の吉川だったが、ここに至ってはもうそんなことはどうでも良いという感じで相馬を後部座席に乗るように言った。
ドア閉まる音
「ベネシュって誰ですか。」
「アルミヤプラボスディアだ。」
「アルミヤプラボスディア…。」
知っているかと尋ねられた相馬は首を縦に振った。
「こいつはマクシーミリアン・ベネシュと言って、アルミヤプラボスディアの精鋭部隊の隊長だ。」
「精鋭部隊…。」
「ああその名はトゥマン。業界でその名を知らないものは居ない。」
「トゥマン…。霧ですか。」
「なんだ、お前ロシア語分かるのか。」
「少々。」
「どこに行った。」
相馬はこの場から向かって正面にある鼓門の奥の方、北東を指さした。
それを受けて運転席の吉川は慌ててシートベルトを締め、車を発進させようとした。
「無駄ですよ。」
後部座席から相馬はこう言った。
「方角しか分からないのに、どうやって追いかけるって言うんですか。」
「じゃあどうするんだよ。」
「あの、一応自分警察です。」
相馬は装着しているイヤホンを指で押さえた。
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「片倉班長。報告が。相馬からです。」
岡田が片倉に耳打ちした。
「そうか。で。」
「とりあえず自衛隊とウチらの連携の詳細が詰められていませんので、キンパイは敷こうと思うんですが、どうでしょうか。」
「そうやな。それがいい。居所を押さえることを優先しよう。見つけても決して逮捕はするな。」
「ではその線で動きます。」
岡田は部屋から急ぎ出て行った。
彼の後ろ姿を見届けた片倉が振り返ると、ディスプレイに映し出される椎名の姿があった。
「大川に立憲自由クラブを止めてもらうのか?ここに来て?」
「ああそうだ。」
「なぜ。」
「予期せぬ事が起こった。」
椎名は空閑に電話をかけていた。
「なんだ。何が起こった。」
「言えない。ただ、このままだと計画は失敗する。」
「おいキング…。ここに来て何なんだ。俺はホテルで謹慎、せっかく仕込んできた立憲自由クラブのデモ行動まで中止しろって、何が起きてるんだ…。」
「君は知らなくていいい。」
「…急に態度が変わったな。」
「坊主が王と対等であるはずが無いだろう。」
突然の高圧的な態度に空閑は面食らった。それは彼の様子を観察していた片倉も同様だ。
「勘違いするな。お前は駒だ。俺はキングだ。俺がお前に指示をすることはあっても、お前が俺に指示することは許さん。」
「キング…。」
「お前が俺に指示をするとき。それは反逆と言うことで処分だ。」
「ま、待ってくれ。」
「待って…くれ?」
「あ…。」
「く、れ?」
「ください。」
「もう一度。」
「待ってください。」
沈黙が答えのようだ。空閑はいよいよそのプレッシャーに耐えきれなくなった。
「お願いします。待ってください。」
「…。」
「私の身はどうでも良いのです…。」
「…。」
「ただインチョウの解放、それは成し遂げられるのでしょうか。大川を動かすことで、立憲自由クラブのデモ活動を中止に持っていくことで、インチョウの解放ができるのでしょうか。」
「…。」
「キング。それだけは教えてください。」
「…できる。そのための措置だ。」
今度は空閑が沈黙した。
「その沈黙はどういう意味か。」
「…考えていました。」
「何を考えていた。」
「大川を説き伏せる術です。」
「説き伏せる?」
「はい。」
「君は特別なコミュニケーション方法も持っているだろう。」
この椎名の発言を聞いていた片倉の顔色が変わった。
「特別なコミュニケーション?…何のこと言ってる。」
「…ですがそれはこのホテルの部屋の中にいて使えるものかわかりません。」
「やってみたらどうだ。」
「え?」
「テレビ電話だよ。」
「賭けになりますよ。」
「いい。やってみろ。何事もやってみないことにはな。」
「わかりました。」
電話を切った椎名は監視カメラのレンズに目をやった。
「ご苦労さん。」
「あとは空閑の働きにこちらが賭けるのみです。」
「何だあの特別なコミュニケーションってのは。」
「彼なりの人心掌握術です。」
「具体的に。」
「具体的にって言っても…。」
椎名は困惑している様だった。
「言葉で表現できない?」
「そうですね。自分にはない能力ですから。」
「?」
「何て言うんだろう。いい男なんですよ奴は。いわゆるイケメン。男の自分が言うのものなんですが、格好が良いんですよ。」
「なんや見てくれの話か。」
「空閑は見てくれだけじゃない。彼は学習塾を経営しているくらいですから、口が立つ。もちろん頭も良い。これって結構な武器なんです。」
「相手は大川だ。男だぞ。女ならまだ分からんでもないが…。」
「片倉さんはまだその手の人に会ったことがないから分からないんですよ。」
「いや俺も会ったとこある。その手の人間ってのは少なからず居る。けどそこまでか?」
「多分、片倉さんの頭に浮かんでいるその人、圧倒的じゃなんですよ。」
確かに一色にせよ松永にせよ、頭脳明晰であるがビジュアル面では突っ込みどころはある。しかしそれは空閑においても同様ではないだろうか。確かにぱっと見た感じの彼はどこか魅力的な顔立ちである。
彼の髪は短く、黒色。目は細くて濃い茶色で、鋭いまなざしをしている。眉は太めで直線的な形。鼻は高く顎はしっかりとしている。顔の輪郭は細長く、年齢の割に肌は滑らか。全体的に彼の顔立ちは整っており、クールな印象を受ける。
しかし眉目秀麗と言えるほどの男性には見えない。この手の精悍な顔立ちの男は、警視庁内でも時々見る。
「完全無欠のビジュアルと頭脳をもつ人間ってのは、オスメス関係なく生物として無条件に魅力を感じるもんです。」
「あの…確かに空閑は男前や。けどそんなに圧倒的かね。」
「圧倒的に見えるんですよ。相対すると。」
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