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GO GO台湾 - 2020-11-07_台湾の様々な建物のリニューアル

 
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トーク①:台北アンバサダーホテル建て替えへ≫

新型コロナの影響で海外を自由に行き来ができなくなってから8か月がたちましたね。最近は、様々な条件があるものの、ビジネスなどの往来ができるようになってきた国も徐々に増えていますが、一方でヨーロッパでは再びロックダウンが行われるなど、いまだ猛威を振るっています。まだまだ緊張感が続きそうな中、交通部観光局は先日、台湾の観光客の解禁はおそらく来年(2021年)の第4四半期になるとの見方を示しました。まずは日本、韓国、ベトナム、香港・マカオ、ニュージーランドといった5大市場から解禁する計画だとのことですが、このニュースを聞いて、「あぁ、あと一年も台湾に旅行に行けないのか…」と悲しんでいる人も多いのではないでしょうか。この間に、台湾もいろいろなところで変化が起きています。

先日、台北市の中山エリアにある老舗ホテル「台北國賓大飯店(台北アンバサダーホテル)」が老朽化に伴い、建て替えを申請するというニュースが流れました。「台北國賓大飯店(台北アンバサダーホテル)」といえば、日本の政治家やスポーツ選手などもよく利用する老舗の五つ星ホテル。日本語堪能なスタッフもいて、日本人観光客にも人気のホテルです。リスナーの皆さんの中にも泊まったことがある、いつもお世話になっているという方も多いのではないでしょうか。私も台湾に住む前、旅行で来た時に1度だけ泊まったことがあります。また、台湾に住み始めてからは仕事でお世話になったこともあります。1964年に開業し、56年の歴史を持つ老舗ホテルで、17階建て部屋の数は400室以上あり、落ち着いた雰囲気と洗練されたサービスは、高級感がありながらもほっと落ち着く感じで私も好きな雰囲気のホテルですが、今回、建物の老朽化を理由に建て替える計画で、先日の取締役会で議決されたということです。

今年の5月には台北市の松江南京エリアにあった48年の歴史を持つ老舗ホテル「六福客棧(レオフーホテル)」が、老朽化による建て替えのために閉館しました。こちらも日本人観光客がよく利用していたホテルでしたし、その中華風の雰囲気ある外観や内装が人気で、その建物がなくなってしまうことに「残念だ」という声が聞かれました。しかも新型コロナによって閉館時期も予定より早まってしまい、「最後にもう一度利用したかったのに…」と悲しんでいる人も多かったようです。閉館した後、現在は新型コロナの防疫ホテルとして利用されていて、予定では年末にはその協力を終え、建て替えが始まり、地上21階、地下5階建ての商業ビルとして生まれ変わる計画です。

実は今、台湾では、「都市危險及老舊建築物加速重建條例(都市部の危険および老朽建築物建て替え加速条例)」というのがあって、それに該当する建て替えの申請であれば容積率や建蔽率の規制の緩和、土地税の減免などの優遇措置が受けられます。「六福客棧(レオフーホテル)」もこれを申請し認可を受けていて、今回の「台北國賓大飯店(台北アンバサダーホテル)」の申請が認可されれば、「都市危險及老舊建築物加速重建條例(都市部の危険および老朽建築物建て替え加速条例)」に基づく2軒目となる有名ホテルの建て替えとなり、五つ星ホテルとしては初めてのこととなります。「國賓大飯店(アンバサダーホテル)」によると、新型コロナの打撃に対応するために台湾北西部にある新竹と、台湾南部にある高雄の「國賓大飯店(アンバサダーホテル)」は国内市場に舵を切りましたが、宿泊客の7割を日本人ビジネス客が占めていたという「台北國賓大飯店(台北アンバサダーホテル)」は新型コロナの影響が最も大きかったうえに、ハード面の制限によってファミリーなどの国内客へのスイッチが他と比較して難しかったんだそうです。今後、観光業が元の状態に復活するまでには少なくとも2~3年はかかると見られていて、業界関係者は「國賓大飯店(アンバサダーホテル)」はこの期間を利用してリニューアルすることを決めたのではないかとみています。

リニューアルの詳細はまだこれから検討して発表するそうですが、すでに本館の裏手にある旧女子従業員宿舎とパン工房は建て替え申請を提出しているそうで、将来的には複合ビルになる予定だそうです。

新型コロナの影響はとても大きく、どの業界も苦しんでいますが、この間を利用できることがあればうまく利用して、観光が復活した時に少しでも今後プラスになるように繋がっていって欲しいですね。

トーク②:日本時代の建物が続々とリニューアルオープン≫

建て替えといえば、台湾ではここ数年、昔の文化的価値のある建築物を保存するという動きが活発で、日本時代の建物をリノベーションし、再利用するプロジェクトが増えていますが、この数か月の間にも、いつかの建物がリニューアルオープンしました。

10月6日、台湾南部・嘉義市の市指定古跡となっている、かつての「菸酒公賣局嘉義分局(タバコ・酒専売局嘉義支局)」がリノベーションされ、「嘉義市立美術館」として生まれ変わりました。この「菸酒公賣局(タバコ・酒専売局)」とは、タバコや酒の生産、流通から販売までを担っていた事業所のことで、嘉義支局は1924年に設立。雲林、嘉義、台南の3つの県市のタバコ・酒専売事業を管轄していました。その「菸酒公賣局嘉義分局(タバコ・酒専売局嘉義支局)」は1936年に建てられた3階建て鉄筋コンクリート作りの建物。角を曲線にた弧を描くような丸みを帯びたデザインにレンガ造りと洋風のおしゃれで優雅な雰囲気を持つ建物を、その魅力は残し、空調や消防設備、照明、トイレなどの機能向上を目的とした工事を行いました。

そして10月18日には、台湾中部・台中市で、日本統治時代に創業した老舗書店「中央書局」が3年の修復期間を経てリニューアルオープンしました。この「中央書局」は1925年に熱心な青年や知識人たちによって作られた「中央倶楽部」が前身で、市民から資金を集め、1927年に設立、1948年に現在の場所に書店「中央書局」をオープンしました。取り扱っている本の種類も豊富で、多くの学術書や非商業書書籍もあり、さらにはお金がなく学生には買うことができない本は、学生は店内で読むことが許されていたそうです。当時の台湾中部エリアの文学者や作家、知識人、文化人らはここで本を買うだけでなく、この「中央書局」に集まって、ここで知恵を広げ、改革を進めたりして、台湾文化が覚醒する重要な貢献者となっていきました。

22年前の1998年に時代の変化に伴い閉店。建物はその後、ウエディングドレスショップやヘルメット店などが入居していましたが、書店が復活できるよう、地元の文化人らが、建物の賃貸契約終了を機に対応に乗り出し、再生の道が開かれました。「中央書局」の劉克襄・董事長は、閉店した当初「文化の城である中央書局が無くなってしまったら最後の文化も全てなくなってしまったような感覚だった」そうですが、時を経て、元の場所に文化の聖地が戻ってきました。台中市の幹線道路「台湾大道」沿いに建つ3階建ての建物で、こちらの建物も、交差点に向かって角がきれいな弧を描く美しい外観になっていて、外観はそのままに、きれいにお色直し。店内は日本や中国、アメリカ、ヨーロッパなど様々な書籍がずらりと並び、新しくなった内装の中にも、梁や天井など細かいところにこの建築物の歴史を感じられます。建物も含めてその文化的な雰囲気を感じに足を運ぶ人も多いようです。今後、台中に行く機会がありましたら、皆さんもぜひ足を運んでみてください。

続く10月31日には台湾北部・基隆市で市の古跡に指定されている「基隆要塞指令官邸」が修復を終えて、一般にお披露目されました。この建物は、元は日本の商人、流水伊助の自宅として建てられたもので、戦後、国が接収し、要塞司令官の官邸となったあと、民間人に譲渡され1988年まで住居として使用していました。そして2006年に基隆市の指定古跡となりました。そして2017年に基隆の“歴史再現プロジェクト”に入り、修復・再利用する計画となりました。敷地面積およそ170坪、建物面積およそ77坪の建物は、日本式の木造建築と「土蔵造り」を組み合わせた造りが特徴。さらには、“二重玄関”となっていて、一つ目の玄関の脇には洋室の応接室があり、二つ目の玄関の先には日本式の部屋が広がるという造りとなっています。

修復を終えた「基隆要塞指令官邸」は、まずは団体予約での見学を受け付けるとのことですが、基隆市は今、基隆港東部に点在する文化財5か所の修復・再活用を目指す「歴史再現プロジェクト」を行っていて、全ての修復が完了した後には、地元の文化クリエイティブ産業との融合を図り、文化パークとして運営される予定となっています。

そして、11月1日には、台湾南部・高雄市にある、日本統治時代に建てられた別荘「逍遥園」が3年にわたる修復を経て一般に公開されました。この「逍遥園」は、1940年に日本の浄土真宗本願寺派の第22代門主である大谷光瑞が建てた農園別荘で、塾と農業を融合したような特殊な造りとなっていて、建物は和洋折衷様式で、室内はゲストを迎える公共スペースと、個人の生活空間に分かれていて、中でも2階の天井は主に茶室などに用いられる、スギやヒノキを網代に編んで張った日本の特殊な「網代天井」になっているほか、日本伝統の市松模様の青と白の格子の壁があったりと、伝統がちりばめられつつも、とても特殊な造りとなっています。戦後は、国軍医院の宿舎として使われ、その後は老朽化により解体の危機にさらされましたが、芸術家や学術界から保存を呼びかける声が上がり、2010年に歴史的建築物に登録され、2017年から修復に乗り出していました。敷地内の庭には池もあり、夜になるとライトアップされた「逍遥園」が池の水面に映りとても幻想的な雰囲気を生み出しています。その様子に地元・高雄の人たちでさえも「(高雄の)六合路の路地にこんな素晴らしい場所があったなんて!」と驚いているようです。この「逍遥園」は参観無料ですので、さっそく多くの人が訪れているようですよ。

このほかにもまだ、台湾の各地で、歴史的建築物のリノベーションが進められています。台湾旅行はまだ先になりそうですが、解禁になったら、そんな新しくなった歴史を感じる建物をめぐってみるのも面白いかもしれません。

トーク③:台湾の防疫対策≫

(編集:中野理絵/王淑卿)

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新型コロナの影響で海外を自由に行き来ができなくなってから8か月がたちましたね。最近は、様々な条件があるものの、ビジネスなどの往来ができるようになってきた国も徐々に増えていますが、一方でヨーロッパでは再びロックダウンが行われるなど、いまだ猛威を振るっています。まだまだ緊張感が続きそうな中、交通部観光局は先日、台湾の観光客の解禁はおそらく来年(2021年)の第4四半期になるとの見方を示しました。まずは日本、韓国、ベトナム、香港・マカオ、ニュージーランドといった5大市場から解禁する計画だとのことですが、このニュースを聞いて、「あぁ、あと一年も台湾に旅行に行けないのか…」と悲しんでいる人も多いのではないでしょうか。この間に、台湾もいろいろなところで変化が起きています。

先日、台北市の中山エリアにある老舗ホテル「台北國賓大飯店(台北アンバサダーホテル)」が老朽化に伴い、建て替えを申請するというニュースが流れました。「台北國賓大飯店(台北アンバサダーホテル)」といえば、日本の政治家やスポーツ選手などもよく利用する老舗の五つ星ホテル。日本語堪能なスタッフもいて、日本人観光客にも人気のホテルです。リスナーの皆さんの中にも泊まったことがある、いつもお世話になっているという方も多いのではないでしょうか。私も台湾に住む前、旅行で来た時に1度だけ泊まったことがあります。また、台湾に住み始めてからは仕事でお世話になったこともあります。1964年に開業し、56年の歴史を持つ老舗ホテルで、17階建て部屋の数は400室以上あり、落ち着いた雰囲気と洗練されたサービスは、高級感がありながらもほっと落ち着く感じで私も好きな雰囲気のホテルですが、今回、建物の老朽化を理由に建て替える計画で、先日の取締役会で議決されたということです。

今年の5月には台北市の松江南京エリアにあった48年の歴史を持つ老舗ホテル「六福客棧(レオフーホテル)」が、老朽化による建て替えのために閉館しました。こちらも日本人観光客がよく利用していたホテルでしたし、その中華風の雰囲気ある外観や内装が人気で、その建物がなくなってしまうことに「残念だ」という声が聞かれました。しかも新型コロナによって閉館時期も予定より早まってしまい、「最後にもう一度利用したかったのに…」と悲しんでいる人も多かったようです。閉館した後、現在は新型コロナの防疫ホテルとして利用されていて、予定では年末にはその協力を終え、建て替えが始まり、地上21階、地下5階建ての商業ビルとして生まれ変わる計画です。

実は今、台湾では、「都市危險及老舊建築物加速重建條例(都市部の危険および老朽建築物建て替え加速条例)」というのがあって、それに該当する建て替えの申請であれば容積率や建蔽率の規制の緩和、土地税の減免などの優遇措置が受けられます。「六福客棧(レオフーホテル)」もこれを申請し認可を受けていて、今回の「台北國賓大飯店(台北アンバサダーホテル)」の申請が認可されれば、「都市危險及老舊建築物加速重建條例(都市部の危険および老朽建築物建て替え加速条例)」に基づく2軒目となる有名ホテルの建て替えとなり、五つ星ホテルとしては初めてのこととなります。「國賓大飯店(アンバサダーホテル)」によると、新型コロナの打撃に対応するために台湾北西部にある新竹と、台湾南部にある高雄の「國賓大飯店(アンバサダーホテル)」は国内市場に舵を切りましたが、宿泊客の7割を日本人ビジネス客が占めていたという「台北國賓大飯店(台北アンバサダーホテル)」は新型コロナの影響が最も大きかったうえに、ハード面の制限によってファミリーなどの国内客へのスイッチが他と比較して難しかったんだそうです。今後、観光業が元の状態に復活するまでには少なくとも2~3年はかかると見られていて、業界関係者は「國賓大飯店(アンバサダーホテル)」はこの期間を利用してリニューアルすることを決めたのではないかとみています。

リニューアルの詳細はまだこれから検討して発表するそうですが、すでに本館の裏手にある旧女子従業員宿舎とパン工房は建て替え申請を提出しているそうで、将来的には複合ビルになる予定だそうです。

新型コロナの影響はとても大きく、どの業界も苦しんでいますが、この間を利用できることがあればうまく利用して、観光が復活した時に少しでも今後プラスになるように繋がっていって欲しいですね。

トーク②:日本時代の建物が続々とリニューアルオープン≫

建て替えといえば、台湾ではここ数年、昔の文化的価値のある建築物を保存するという動きが活発で、日本時代の建物をリノベーションし、再利用するプロジェクトが増えていますが、この数か月の間にも、いつかの建物がリニューアルオープンしました。

10月6日、台湾南部・嘉義市の市指定古跡となっている、かつての「菸酒公賣局嘉義分局(タバコ・酒専売局嘉義支局)」がリノベーションされ、「嘉義市立美術館」として生まれ変わりました。この「菸酒公賣局(タバコ・酒専売局)」とは、タバコや酒の生産、流通から販売までを担っていた事業所のことで、嘉義支局は1924年に設立。雲林、嘉義、台南の3つの県市のタバコ・酒専売事業を管轄していました。その「菸酒公賣局嘉義分局(タバコ・酒専売局嘉義支局)」は1936年に建てられた3階建て鉄筋コンクリート作りの建物。角を曲線にた弧を描くような丸みを帯びたデザインにレンガ造りと洋風のおしゃれで優雅な雰囲気を持つ建物を、その魅力は残し、空調や消防設備、照明、トイレなどの機能向上を目的とした工事を行いました。

そして10月18日には、台湾中部・台中市で、日本統治時代に創業した老舗書店「中央書局」が3年の修復期間を経てリニューアルオープンしました。この「中央書局」は1925年に熱心な青年や知識人たちによって作られた「中央倶楽部」が前身で、市民から資金を集め、1927年に設立、1948年に現在の場所に書店「中央書局」をオープンしました。取り扱っている本の種類も豊富で、多くの学術書や非商業書書籍もあり、さらにはお金がなく学生には買うことができない本は、学生は店内で読むことが許されていたそうです。当時の台湾中部エリアの文学者や作家、知識人、文化人らはここで本を買うだけでなく、この「中央書局」に集まって、ここで知恵を広げ、改革を進めたりして、台湾文化が覚醒する重要な貢献者となっていきました。

22年前の1998年に時代の変化に伴い閉店。建物はその後、ウエディングドレスショップやヘルメット店などが入居していましたが、書店が復活できるよう、地元の文化人らが、建物の賃貸契約終了を機に対応に乗り出し、再生の道が開かれました。「中央書局」の劉克襄・董事長は、閉店した当初「文化の城である中央書局が無くなってしまったら最後の文化も全てなくなってしまったような感覚だった」そうですが、時を経て、元の場所に文化の聖地が戻ってきました。台中市の幹線道路「台湾大道」沿いに建つ3階建ての建物で、こちらの建物も、交差点に向かって角がきれいな弧を描く美しい外観になっていて、外観はそのままに、きれいにお色直し。店内は日本や中国、アメリカ、ヨーロッパなど様々な書籍がずらりと並び、新しくなった内装の中にも、梁や天井など細かいところにこの建築物の歴史を感じられます。建物も含めてその文化的な雰囲気を感じに足を運ぶ人も多いようです。今後、台中に行く機会がありましたら、皆さんもぜひ足を運んでみてください。

続く10月31日には台湾北部・基隆市で市の古跡に指定されている「基隆要塞指令官邸」が修復を終えて、一般にお披露目されました。この建物は、元は日本の商人、流水伊助の自宅として建てられたもので、戦後、国が接収し、要塞司令官の官邸となったあと、民間人に譲渡され1988年まで住居として使用していました。そして2006年に基隆市の指定古跡となりました。そして2017年に基隆の“歴史再現プロジェクト”に入り、修復・再利用する計画となりました。敷地面積およそ170坪、建物面積およそ77坪の建物は、日本式の木造建築と「土蔵造り」を組み合わせた造りが特徴。さらには、“二重玄関”となっていて、一つ目の玄関の脇には洋室の応接室があり、二つ目の玄関の先には日本式の部屋が広がるという造りとなっています。

修復を終えた「基隆要塞指令官邸」は、まずは団体予約での見学を受け付けるとのことですが、基隆市は今、基隆港東部に点在する文化財5か所の修復・再活用を目指す「歴史再現プロジェクト」を行っていて、全ての修復が完了した後には、地元の文化クリエイティブ産業との融合を図り、文化パークとして運営される予定となっています。

そして、11月1日には、台湾南部・高雄市にある、日本統治時代に建てられた別荘「逍遥園」が3年にわたる修復を経て一般に公開されました。この「逍遥園」は、1940年に日本の浄土真宗本願寺派の第22代門主である大谷光瑞が建てた農園別荘で、塾と農業を融合したような特殊な造りとなっていて、建物は和洋折衷様式で、室内はゲストを迎える公共スペースと、個人の生活空間に分かれていて、中でも2階の天井は主に茶室などに用いられる、スギやヒノキを網代に編んで張った日本の特殊な「網代天井」になっているほか、日本伝統の市松模様の青と白の格子の壁があったりと、伝統がちりばめられつつも、とても特殊な造りとなっています。戦後は、国軍医院の宿舎として使われ、その後は老朽化により解体の危機にさらされましたが、芸術家や学術界から保存を呼びかける声が上がり、2010年に歴史的建築物に登録され、2017年から修復に乗り出していました。敷地内の庭には池もあり、夜になるとライトアップされた「逍遥園」が池の水面に映りとても幻想的な雰囲気を生み出しています。その様子に地元・高雄の人たちでさえも「(高雄の)六合路の路地にこんな素晴らしい場所があったなんて!」と驚いているようです。この「逍遥園」は参観無料ですので、さっそく多くの人が訪れているようですよ。

このほかにもまだ、台湾の各地で、歴史的建築物のリノベーションが進められています。台湾旅行はまだ先になりそうですが、解禁になったら、そんな新しくなった歴史を感じる建物をめぐってみるのも面白いかもしれません。

トーク③:台湾の防疫対策≫

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