第二百五十二話『心の炎を絶やさない』-【偉大な演劇人篇④】劇作家 三好十郎-

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戦中戦後を旺盛な創作欲で駆け抜けた、無頼派の劇作家がいます。
三好十郎(みよし・じゅうろう)。
作家としての出発は、左翼芸術同盟を結成するなど、プロレタリアの旗手として小説や詩、戯曲を発表しましたが、政治主義や社会派という名のプロパガンダに不満を抱き、転向。
いわく、「演劇は、思想の宣伝に使われてはならない」。
その後はとことん、私というリアリズムにこだわることで、庶民の苦悩や貧困、人間が抱える根源的な生死に向き合いました。
自らの幼い頃の哀しい体験に根差した人間洞察に共感したのは、今月、この番組でご紹介した稀代の俳優、丸山定夫です。
「他の劇作家のセリフは、ひとつやふたつ、どこか心にしっくりこないものがあるが、三好の芝居は違う。すとんと、すべて腑に落ちる」と言わしめました。
同じく、今月ご紹介した劇作家、秋元松代は、三好が主宰した戯曲研究会で才能を羽ばたかせたひとり。
彼女は三好に言われた、こんなひとことを生涯、大切に心に留めていました。
「作家になろう、なろう、と思いつめないで、まともな人間になろうと努力して見給え。そういう人を僕は立派な人だと思う」。
名作『浮標(ぶい)』では、肺を病む妻を看病した彼自身の体験を、まるで自らの体を切り刻むように、セリフに昇華しました。
生死を前にして、芸術の必要性とは何か。
死ぬとは、どういうことなのか。
観客動員数が10万人を超えた『炎の人』は、フィンセント・ファン・ゴッホを描いた傑作ですが、たとえゴッホを題材にしても、三好は自らの「切実さ」から目を離さず、1950年代の日本の貧困にフォーカスしました。
「私」から逃げず、どんなときも心の炎を絶やさず歩き続けた演劇人・三好十郎が、私たちに伝える明日へのyes!とは?

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