英国における異文化（４７）：エジンバラ

QTnetモーニングビジネススクール

今日は英国における異文化シリーズです。早いもので、もう47回です。今回はエジンバラという都市についてのお話です。何度かその一部についてのお話をしたことがあるのですが、全体像をおさらいするというような意味もあります。 エジンバラはスコットランドの首都です。イギリスには４大地域がありますが、スコットランドはイギリスの中では１つの国みたいなものです。その首都がエジンバラと言います。昔は議会がなかったのですが、今は議会もあります。軍事や外交の権限がありませんので、本当の議会と言えるかどうか分かりませんが、一応議会があります。多分スコットランドと言えば最初にエジンバラを思い浮かべる方がいると思うのですが、観光で有名な都市です。観光客の数の統計から、イギリスの中で第１位の観光地は断トツのロンドンで、２番目がエジンバラと言われています。ただエジンバラの人口はざっと40万人ぐらいでスコットランドでは弟２位です。スコットランドの人口の第１位はグラスゴーです。グラスゴーはまた別に機会を設けてお話したい、非常に魅力のある街で、こちらは人口60万人くらいです。産業革命の頃から、徐々にグラスゴーへ注目度が移っていきましたが、エジンバラ自体は昔の啓蒙主義、啓蒙思想の頃から文化の中心でした。今でもそう言えると思います。 突然ですが、ここで文人、作家でエジンバラがゆかりの人が２人、誰でも知っている人がいます。１人は、シャーロック・ホームズシリーズのアーサー・コナン・ドイル、もう１人はハリー・ポッターのＪ・Ｋ・ローリングです。この２人だけでも観光客が集まって来るという状態になっています。 あとは街に行くと、真っ先に耳に入ってくるものがバグパイプの音です。バグパイプは実は音のボリュームがコントロール出来ないのだそうです。次に目に飛び込んで来るのは、男性が履いているスカートです。スカートを履いている人は、自分達の文化を意識して、ことさらそうしているだけで、何げなくスカートを履いているというわけではないようです。昔は本当に部族の人達は男性もスカートを履いていたのは間違いないです。もちろん軍事的なものとか、部族の集まりとか、そういう特別な機会が多かったのかもしれません。エジンバラは７世紀ぐらいに出来た街で、ケルト系と言われている人達の街です。ケルト系というのは、今のイギリスの中ではメジャーな存在ではありません。メジャーな存在はゲルマン人の一派アングロサクソンですが、辺境の地に生きるケルト系の人達が作った街ということで有名です。 街自体が世界遺産に登録されていて、旧市街と新市街が合わせて登録されているのですが、ここでは旧市街だけお話をしようと思います。エジンバラ城というのが一番高い山の上にあり、そこからなだらかに標高が下がっていくのですが、その尾根の上に鉛筆を立てたような高いビルがたくさん建っています。さぞかし摩天楼のようかというと、そうではなく、当時は貧しい人達が住んでいる地域と見なされていました。他の街の人達は新市街に移って、広々とした所に巧みな設計をして、良い街に移り住んでいったのです。取り残された旧市街には貧乏な人が残って、その人達は土地が狭いので、上に伸びざるを得なかった形です。しかしそこに昔からの建物、お城あるいは寺院がたくさん残っていて、この旧市街が世界遺産に指定されています。 その他ここで有名なのが、エジンバラ・フェスティバルと呼ばれている、１年に１回、８月を中心に行われるお祭りです。戦後すぐ後に作られたお祭りですが、どこかで聞いたことはないでしょうか。エジンバラ国際フェスティバルは、あまり日本では有名ではないかもしれませんが、世界的には非常に有名なお祭りで、演劇、映画、音楽、色々な出し物がたくさんあります。エジンバラ国際フェスティバルというのは全体を称した名前で、その中に映画祭や色々なお祭りが含まれています。その中の１つにフリンジというのがありまして、英語でFringeは「端っこの方」という意味ですが、非常に前衛的、実験的、小規模に行われるものを中心としたもので、実はこれに日本人がかなりたくさんトライしています。行ってみると、街の中でやっている出し物の中に日本人の集団がやっているという出し物が、最近結構目立ちます。演劇界の人達で知る人ぞ知るお祭りなのです。 皆さん、こう言うと「おお、行ってみようか」と思われるかもしれませんが、８月の３週間ぐらいに集中して行われるということもあり、例年ですと、宿を取ったり列車の予約を取ったりするのが極めて大変な時期です。もしこのお話を聞いて、行ってみようかと思う方は１年前から計画して下さい。そのぐらい早くから計画しないと、人がたくさん押し寄せるということです。大変魅力のある街です。行ってみるとその理由が分かると思うので、騙されたと思って行ってみて下さい。 今日のまとめ： スコットランドの首都であるエジンバラのお話をさせて頂きました。世界遺産であるところの由縁から、その街の起こり、文人が拓いた文化の街だったということを紹介していきました。