15: ステーキを売りたいなら、肉を売り込むのではなく焼いてみせろ

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焼いている香りや音。百聞は一見にしかずで、確かにただステーキの写真やお肉を観るより効果がありそうな、魅力のある特徴です。ではステーキでいうところのシズルは、我々の商品では何に当たるのでしょう。それを「シズル」だと思うのは誰でしょう?「シズル」は 1 つだけなのでしょうか?ステーキの例に戻ると、お肉の量や質、産地についてうまく表現することで、「シズル」、つまり魅力を強調すればお客様の食欲と購買欲をそそることが出来そうです。さぁ、売りに行きますよ!…実は、ここにこそ問題があるのです。それは私たちが肝心なところで『憶測』を立ててしまっていることです。もしお客様がお肉を食べない方だったらどうでしょうか?その時点でセールスの話は窓の外にポイっです。始めにお肉を食べられるのか、あるいはベジタリアンの方でいらっしゃるのか尋ねる必要があります。牛肉はどうでしょうか。人によって宗教やアレルギーなどの理由から牛肉は食べられない方もいらっしゃいます。もしかしたら、単に好みでないかもしれません。ジューシーな和牛が好きな方もいれば、脂身の少ない赤身が好みという方もいらっしゃいます。その点は確認しなくて良いのでしょうか。それとも、すぐにインパクトと説得力のある、洗練された魅力的なセールス・トークでどれほどこの牛肉がどれほどジューシーで口の中でとろけるのです、と始めてしまうのでしょうか?

もし、ここでぐっとセールス・トークを飲み込み、するべき質問をおさえられた後でしたら、「シズル」について話すことに納得もできます。「シズル」とは特長から得られるメリットの効果を話すことだからです。この場合の特長としては、ステーキの部位やグラム数、霜降りの度合い、草で育てられたか、穀物で育てられたか、牛の由来や安全性、など、いろいろ考えられます。また、フライパンやグリルについて、ステーキをひっくり返すタイミングの決め方、使える味付け、風味のバランス、使われている塩味の度合いなどについても話せますよね。他のメリットとして、味や香り、栄養面におけるタンパク質の割合や鉄分などについても説明できます。そして、更には別のメリットとして、食べた後は空腹を感じないということ、友人との会食を楽しめること、素晴らしい赤ワインとのペアリングで美味しい食体験が出来ること、そしてそう、お肉が焼かれるイメージ、ジュージューというシズル音や香りなどを話すのです。はたしてこれでステーキのオーダーが入るのでしょうか。我々の商品は、この売り方で果たして売れるのでしょうか。

いえいえ、ちょっと待ってください。そのお客さんの好みの焼き方はどうでしょうか?フライパン?バーベキュー・グリル?レアでしょうか、それともミディアムか、ウェルダンか。部位はどうでしょう?味付けは塩コショウのみかバターやローズマリーも好まれるのでしょうか。それともソースが好きなのでしょうか?ならばバーベーキュー・ソース?赤ワインソース?そういえば赤ワインは飲まれる方なのでしょうか?そして、ステーキが焼かれるときの匂いやジュージューというシズル音は好きなのでしょうか?

また、考えるべき質問が増えていきましたね。そう、「シズル」を売るのは大切です。ただし、セールスの世界は、すべての道はローマに通じます。もとをたどれば、起因すべきはすべて必ず、私たちの「質問」のクオリティなのです。熱心に商品の良さを説明するスタイルを否定はしません。それが聞きたい顧客にとってはまたとない極上の付け合わせになるでしょう。時には興味そこそこだった顧客の心情を『買いたい』に塗り替えられるかもしれません。ただし、忘れないでください。セールスとして外に出て販売しているあなたは、会社の顔なのです。押しつけをされた顧客は、会社に対してどんな印象を持たれるのでしょう。そしてご家族やご友人に、どんな話をするのでしょうか。こんにち、インターネットのおかげで我々の周りは、会社や個人、製品、サービスに関する様々な情報で溢れています。会社情報が簡単に集められる状況になった今、特に大きな買い物をする前の顧客はほぼ必ず、下調べをされるでしょう。我々には、万人が持つあらゆる印象、懸念、疑問、といった思いを自社ウェブサイトで払拭しきることは出来ないでしょう。

ほとんどのセールスでは、我々はクライアントが抱くであろうあらゆる懸念を洗い出して払拭し、相手のニーズを細かく質問しなければなりません。そして、そのニーズに対し、我々が提供する商品がソリューションとなるよう巧みに関連付けなければならないのです。さらに言えば、我々は相手が想像していなかったようなニーズの先にあるニーズまで踏み込むべきなのです。そして出てくるであろう反対意見に対応し、論理的かつ端的に、更に感情をこめてクロージングをしてクライアントのニーズ解決の手助けをしなければなりません。

クライアントが求める真の「シズル」を掘り起こす質問は、もっと奥が深いものです。

我々が様々な企業でセールス・トレーニングを行う際、常に質問のクオリティが課題として取り上げられます。セールス担当者は、大きなチャンスを期待できる顧客からのヒントを無視して、次々に質問を飛ばしてしまいがちです。それは止めなければなりません。私たちはみな、自分たちの『憶測』という壁をばらばらに分解し、じっくり見直すべきなのです。

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