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補・温かい人生(1) マーラーとシェーンベルグ

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クラシックと言えば私たちはまずベートーベンやモーツアルトを思い出しますが、クラシックの歴史から言うと「古典派」にあたり、その次にショパンやシューマンといったロマン派が現れます。
しかし19世紀の後半になると、より自由な作曲がされてマーラー、シェーンベルグ、そして私たちにもなじみのある作曲家としてはドビッシーやストラヴィンスキーが活躍しました。しかし、20世紀の現代音楽になると、私などはややうるさく弦楽器がキーキーと音を立てている感じがします。
マーラーはロマン派後期に分類されますが、現代音楽との架け橋にもなっている人です。彼の時代に現代音楽の雄、シェーンベルグが登場します。シェーンベルグはそれまでの「オクターブ」にとらわれない「十二音音階」を創立して新しい作曲に挑んだのですが、なにしろ私のような素人の音楽愛好家にはさっぱり理解できず、ただうるさい音としか感じられません。おそらくは毎日、数時間の音楽を聴く人なら理解できるところまで行くのでしょう。
そのシェーンベルグの作曲が発表になると、非難囂々、演奏会場で大声でヤジを飛ばす人はいるわ、演奏中にわざと席を立つ人が多いわ、演奏が終わると拍手どころかブーイングが始まるといった具合でした。
音楽会は自分の意思で行くのですから、シェーンベルグがイヤなら聴きに行かなければ良いのに「自分で勝手に聴きに行ってヤジを飛ばす」というのが人間でもあります。このような性格の人は「自分が正しいと思っている」のですから、先回のシリーズで書いたように「幸福でも不幸になる」という人たちということになります。
一方、マーラーはシェーンベルグを非難する人たちに敢然と立ち向かい、あるときには身を張ってシェーンベルグを守ったのですが、あるとき、次のようにいっています。
「実は私はシェーンベルグを守っているけれど、私は彼の音楽はさっぱり分からない。しかし、彼の方が若いので、正しいかも知れない。私は歳をとっているので彼の素晴らしさが分からないのだろう」
つまり、マーラーはシェーンベルグの音楽を高く評価しているから彼を守ったのではなく、「理解できない」のに守ったのです。つまりマーラーにはマーラーの正しさがあり、シェーンベルグにもそれがあるのです。だから、マーラーは「私は彼が間違っていると思うけれど、たぶん、私の方が間違っているのだろう」と考え、彼の保護のために行動をしていたのです。
臨終の床で「ああ、私が死んだあと、だれがシェーンベルグを守ってくれるのだろう」といっています。偉い人は偉いですね。相手が間違っていると感じるのは自分が間違っているからだと思って、実際に意見が異なる相手を守るというのは相当なものです。
ところで、最近、ある音楽家からマーラーとシェーンベルグの入ったCDをいただき、聞いてみましたが、一部の曲を除いて、私はタダうるさいだけで良さは分かりませんでした。でもそれは私の理解力が不足しているからです。
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再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら

(平成27年8月26日)
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そのシェーンベルグの作曲が発表になると、非難囂々、演奏会場で大声でヤジを飛ばす人はいるわ、演奏中にわざと席を立つ人が多いわ、演奏が終わると拍手どころかブーイングが始まるといった具合でした。
音楽会は自分の意思で行くのですから、シェーンベルグがイヤなら聴きに行かなければ良いのに「自分で勝手に聴きに行ってヤジを飛ばす」というのが人間でもあります。このような性格の人は「自分が正しいと思っている」のですから、先回のシリーズで書いたように「幸福でも不幸になる」という人たちということになります。
一方、マーラーはシェーンベルグを非難する人たちに敢然と立ち向かい、あるときには身を張ってシェーンベルグを守ったのですが、あるとき、次のようにいっています。
「実は私はシェーンベルグを守っているけれど、私は彼の音楽はさっぱり分からない。しかし、彼の方が若いので、正しいかも知れない。私は歳をとっているので彼の素晴らしさが分からないのだろう」
つまり、マーラーはシェーンベルグの音楽を高く評価しているから彼を守ったのではなく、「理解できない」のに守ったのです。つまりマーラーにはマーラーの正しさがあり、シェーンベルグにもそれがあるのです。だから、マーラーは「私は彼が間違っていると思うけれど、たぶん、私の方が間違っているのだろう」と考え、彼の保護のために行動をしていたのです。
臨終の床で「ああ、私が死んだあと、だれがシェーンベルグを守ってくれるのだろう」といっています。偉い人は偉いですね。相手が間違っていると感じるのは自分が間違っているからだと思って、実際に意見が異なる相手を守るというのは相当なものです。
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