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第6期「科学技術・イノベーション基本計画」(1)

 
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 今回から2回に亘って、今年3月26日に閣議決定された第6期「科学技術・イノベーション基本計画」について解説します。策定に当たったのは、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議です。これは2021年度から2025年度までの日本の科学技術・イノベーション政策に関する基本計画を定めたもので、今後、各種の施策を通じて企業の研究開発やイノベーションに対する取り組みにも影響を及ぼすことになるだろうと思います。解説に当たっては、計画の内容を紹介するだけではなくコメントを加えてみます。  はじめに背景的な説明をしておきますが、もともと日本では1995年に制定された科学技術基本法の定めにしたがって、政府が5年ごとに科学技術政策に関する中長期的な計画に当たる科学技術基本計画を策定してきました。第1期の基本計画は1996年度から2000年度を計画期間としており、その後、5年ごとの基本計画が進められて、今回が第6期に当たる訳です。  この間、基本計画の根拠法である科学技術基本法が25年ぶりに改正され、昨年6月に改正法として「科学技術・イノベーション基本法」が成立するという変化がありました。この改正に伴って、科学技術基本計画の名称も、科学技術・イノベーション基本計画に改められることになったのです。  最初に基本法が制定されてから四半世紀もの歳月が経過する過程では、科学技術イノベーションを取り巻く環境も変化していますから、現在の課題に対応していけるようにするため、まず根拠法の改正を行なったということは画期的な取り組みだったと思います。重要なことは、その変化をどのように認識し、法改正に反映させたかです。  改正の主なポイントは2つあります。ひとつは、政策の対象から「人文科学のみに係るものを除く」という文言が削除されたことです。これによって、人文・社会科学も明示的に政策対象に含まれることになりました。もうひとつは、科学技術の振興に加えて、「イノベーションの創出」を政策の柱に据えたということです。  これらの改正が行われた背景について、第6期基本計画は第1章「基本的な考え方」の中で言及しています。それによると、人文・社会科学が政策対象に加えられた背景としては、これからの政策には、一人ひとりの価値、地球規模の価値を問うことが求められているため、人文・社会科学の真価である価値発見的な視座を取り込むことが必要になったということが挙げられています。この点に関連して第6期基本計画は、人文・社会科学と自然科学を融合した知識を「総合知」と呼び、その創出と活用がますます重要になると述べています。  正直な感想を言いますと、この第6期計画の文体には中途半端なレトリックを使う傾向があり、そのためミスリードされかねない点が多々見られます。政策に「一人ひとりの価値を問う」ことが求められるとは、どういう意味でしょうか。まさか政策が一人ひとりの人間の存在価値をチェックするということではないでしょうが、そう読まれても仕方のない文章になっています。  そこで、善意を動員して私はこれを次のように解釈したいと思います。「失われた20年」などと呼ばれる期間を含む四半世紀の間には雇用慣行や商習慣なども大きく変化し、かつて多くの国民の間で共有されていた価値観も支配的な影響力を失いました。価値観の多元化と呼ばれる現象は、ここ四半世紀の日本の社会では一層顕在化してきたと言えるでしょう。こういう状況の下で政策担当者は、もはや国民の間に共有された既存の価値観を前提に政策的な優先課題を決めることができません。むしろ国民「一人ひとりの価値観」が異なるのだということを前提に、政策を構想しなければならないのです。そのためには、まず新たに国民が共有できる価値を探索することが課題になります。そして、人文・社会科学は、もともと何に価値を見出すべきかを探索する学問分野ですから、この課題に対する貢献が期待できる訳です。  何か癖のある国語の入試問題を解かされているような気がしてきますが、こう理解すれば、この基本法改正に対する解釈に概ね賛成できると思うのです。少なくとも、この人文・社会科学の有用性に関する位置付けは適切ですし、それが明記されることによって、かつてのように幼稚な文系無用論が蒸し返されることは抑えられるかも知れません。  一方、「イノベーションの創出」が政策の柱とされた背景については、この25年間にイノベーションの概念が大きく変化したことを挙げています。かつて企業の商品開発などに直結した行為と捉えられがちだった概念が、今や幅広い主体による活動と捉えられ、新たな価値の創造などを見据えた「トランスフォーマティブ・イノベーション」という概念に進化しつつあるからだと言うのです。  この説明も分かり難いと言わざるを得ません。トランスフォーマティブ・イノベーションという語は、簡単に言うと社会システムの変革を意味しており、そのような変革もイノベーションと呼ばれていることは事実ですが、それが概念の進化だとは言えません。そもそも基本的な概念がコロコロ変わるようでは、言葉を使って分析する社会科学の研究は成立しません。イノベーションの概念は、「新たな価値を創造する革新」に尽きるのであり、変化するのは、そこに概括される意味内容です。かつてイノベーションの概念は、専ら商品開発などを意味内容に持つものとして理解されていたが、近年では社会システムの変革も意味するものとして理解されるようになったというだけのことです。  それにしても、なぜ概念の進化が「イノベーションの創出」を政策の柱とする理由になるのでしょうか。少し穿った見方ですが、この説明は後付け的なものではないかと私は思います。第6期計画の策定担当者には、基本計画の政策対象を従来の科学技術の振興に止まらないものにすべきだという問題意識があり、そのため改正基本法の言うイノベーションには社会システムの変革まで含まれることを明示したのではないかと推察します。  この点は、第6期基本計画の政策ビジョンを見ると明らかになりますが、これについては次回取り上げます。 今回のまとめ:科学技術・イノベーション基本法の改正により、人文・社会科学が振興対象に含められ、イノベーションの創出が政策の柱として位置付けられました。
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 今回から2回に亘って、今年3月26日に閣議決定された第6期「科学技術・イノベーション基本計画」について解説します。策定に当たったのは、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議です。これは2021年度から2025年度までの日本の科学技術・イノベーション政策に関する基本計画を定めたもので、今後、各種の施策を通じて企業の研究開発やイノベーションに対する取り組みにも影響を及ぼすことになるだろうと思います。解説に当たっては、計画の内容を紹介するだけではなくコメントを加えてみます。  はじめに背景的な説明をしておきますが、もともと日本では1995年に制定された科学技術基本法の定めにしたがって、政府が5年ごとに科学技術政策に関する中長期的な計画に当たる科学技術基本計画を策定してきました。第1期の基本計画は1996年度から2000年度を計画期間としており、その後、5年ごとの基本計画が進められて、今回が第6期に当たる訳です。  この間、基本計画の根拠法である科学技術基本法が25年ぶりに改正され、昨年6月に改正法として「科学技術・イノベーション基本法」が成立するという変化がありました。この改正に伴って、科学技術基本計画の名称も、科学技術・イノベーション基本計画に改められることになったのです。  最初に基本法が制定されてから四半世紀もの歳月が経過する過程では、科学技術イノベーションを取り巻く環境も変化していますから、現在の課題に対応していけるようにするため、まず根拠法の改正を行なったということは画期的な取り組みだったと思います。重要なことは、その変化をどのように認識し、法改正に反映させたかです。  改正の主なポイントは2つあります。ひとつは、政策の対象から「人文科学のみに係るものを除く」という文言が削除されたことです。これによって、人文・社会科学も明示的に政策対象に含まれることになりました。もうひとつは、科学技術の振興に加えて、「イノベーションの創出」を政策の柱に据えたということです。  これらの改正が行われた背景について、第6期基本計画は第1章「基本的な考え方」の中で言及しています。それによると、人文・社会科学が政策対象に加えられた背景としては、これからの政策には、一人ひとりの価値、地球規模の価値を問うことが求められているため、人文・社会科学の真価である価値発見的な視座を取り込むことが必要になったということが挙げられています。この点に関連して第6期基本計画は、人文・社会科学と自然科学を融合した知識を「総合知」と呼び、その創出と活用がますます重要になると述べています。  正直な感想を言いますと、この第6期計画の文体には中途半端なレトリックを使う傾向があり、そのためミスリードされかねない点が多々見られます。政策に「一人ひとりの価値を問う」ことが求められるとは、どういう意味でしょうか。まさか政策が一人ひとりの人間の存在価値をチェックするということではないでしょうが、そう読まれても仕方のない文章になっています。  そこで、善意を動員して私はこれを次のように解釈したいと思います。「失われた20年」などと呼ばれる期間を含む四半世紀の間には雇用慣行や商習慣なども大きく変化し、かつて多くの国民の間で共有されていた価値観も支配的な影響力を失いました。価値観の多元化と呼ばれる現象は、ここ四半世紀の日本の社会では一層顕在化してきたと言えるでしょう。こういう状況の下で政策担当者は、もはや国民の間に共有された既存の価値観を前提に政策的な優先課題を決めることができません。むしろ国民「一人ひとりの価値観」が異なるのだということを前提に、政策を構想しなければならないのです。そのためには、まず新たに国民が共有できる価値を探索することが課題になります。そして、人文・社会科学は、もともと何に価値を見出すべきかを探索する学問分野ですから、この課題に対する貢献が期待できる訳です。  何か癖のある国語の入試問題を解かされているような気がしてきますが、こう理解すれば、この基本法改正に対する解釈に概ね賛成できると思うのです。少なくとも、この人文・社会科学の有用性に関する位置付けは適切ですし、それが明記されることによって、かつてのように幼稚な文系無用論が蒸し返されることは抑えられるかも知れません。  一方、「イノベーションの創出」が政策の柱とされた背景については、この25年間にイノベーションの概念が大きく変化したことを挙げています。かつて企業の商品開発などに直結した行為と捉えられがちだった概念が、今や幅広い主体による活動と捉えられ、新たな価値の創造などを見据えた「トランスフォーマティブ・イノベーション」という概念に進化しつつあるからだと言うのです。  この説明も分かり難いと言わざるを得ません。トランスフォーマティブ・イノベーションという語は、簡単に言うと社会システムの変革を意味しており、そのような変革もイノベーションと呼ばれていることは事実ですが、それが概念の進化だとは言えません。そもそも基本的な概念がコロコロ変わるようでは、言葉を使って分析する社会科学の研究は成立しません。イノベーションの概念は、「新たな価値を創造する革新」に尽きるのであり、変化するのは、そこに概括される意味内容です。かつてイノベーションの概念は、専ら商品開発などを意味内容に持つものとして理解されていたが、近年では社会システムの変革も意味するものとして理解されるようになったというだけのことです。  それにしても、なぜ概念の進化が「イノベーションの創出」を政策の柱とする理由になるのでしょうか。少し穿った見方ですが、この説明は後付け的なものではないかと私は思います。第6期計画の策定担当者には、基本計画の政策対象を従来の科学技術の振興に止まらないものにすべきだという問題意識があり、そのため改正基本法の言うイノベーションには社会システムの変革まで含まれることを明示したのではないかと推察します。  この点は、第6期基本計画の政策ビジョンを見ると明らかになりますが、これについては次回取り上げます。 今回のまとめ:科学技術・イノベーション基本法の改正により、人文・社会科学が振興対象に含められ、イノベーションの創出が政策の柱として位置付けられました。
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