Artwork

コンテンツは TOKYO FM によって提供されます。エピソード、グラフィック、ポッドキャストの説明を含むすべてのポッドキャスト コンテンツは、TOKYO FM またはそのポッドキャスト プラットフォーム パートナーによって直接アップロードされ、提供されます。誰かがあなたの著作権で保護された作品をあなたの許可なく使用していると思われる場合は、ここで概説されているプロセスに従うことができますhttps://ja.player.fm/legal
Player FM -ポッドキャストアプリ
Player FMアプリでオフラインにしPlayer FMう!

第三百七十五話『とことん好きになる』-【秋田篇】映画監督 黒澤明-

14:24
 
シェア
 

Manage episode 346191413 series 2870054
コンテンツは TOKYO FM によって提供されます。エピソード、グラフィック、ポッドキャストの説明を含むすべてのポッドキャスト コンテンツは、TOKYO FM またはそのポッドキャスト プラットフォーム パートナーによって直接アップロードされ、提供されます。誰かがあなたの著作権で保護された作品をあなたの許可なく使用していると思われる場合は、ここで概説されているプロセスに従うことができますhttps://ja.player.fm/legal
秋田県にゆかりのある、映画界のレジェンドがいます。
黒澤明(くろさわ・あきら)。
黒澤の父は、秋田県仙北郡豊川、現在の大仙市豊川出身で、黒澤は、幼い頃から何度も訪れました。
東京で生まれ育った彼にとって、秋田の大自然は最高の遊び場。
野山を駆け回り、滝に飛び込み、渓流で魚をつかまえる。
まさかその原体験が、あの名作『七人の侍』や『影武者』など、多くの監督作品に投影されることなど、当時の黒澤少年は思ってもみなかったでしょう。
彼が、「自伝のようなもの」と称したエッセイ『蝦蟇の油』によれば、生まれてから最初の記憶も、秋田の実家でした。
1歳の黒澤は、裸で洗面器の中にいます。
なんだか薄暗い場所。
洗面器は両方から傾斜した板の間の真ん中、そのいちばん低いところで、グラグラ揺れています。
それが面白くなって、洗面器のふちをつかみ、自分でゆする、何度もゆする。
やがて、洗面器はくるんとひっくり返ってしまう。
そのときの激しい動揺と、裸で、ぬるぬるした板の間に落ちた感触、そして、見上げた天井にぶら下がる石油ランプの光を生き生きと覚えていました。
『蝦蟇の油』には、他にも幼児期の記憶が記されています。
金網の向こうに、白い服を着たひとたちが、棒っキレを振り回して球を打ったり、転がった球を追いかけたりしている。
これは、住んでいた場所が、父が勤める日本体育大学の前身、日本体育会体操学校の敷地内にあった教職員住宅だったからです。
野球場のネット裏から、野球を見ていたのでしょう。
元・軍人の父は、体操学校に勤め、日本古来の柔道や剣道の普及に貢献、プールを初めて日本につくるなど、日本スポーツ界の発展に寄与した重鎮でした。
その厳格そのものの父が、映画は教育上よくないという風潮に抗い、積極的に家族で映画鑑賞に出かけたことも、のちの世界的な巨匠を生む素地を作りました。
黒澤のデビュー作は、戦争のさなかに作った『姿三四郎』。
「用意ッ、スタート!」
そう初めて声をかけたとき、照れくさい思いがしましたが、二度目から、ただもう面白く、映画監督に夢中になっていきます。
好きだから、もっと学ぶ。もっと学べば、さらに好きになる。
そんな幸福のスパイラルこそ人生の醍醐味であると、彼はインタビューに語っています。
ひとつのシーンも手を抜かない。
出てくる役者さん全てに愛情を注ぐ「世界のクロサワ」、黒澤明が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?
  continue reading

451 つのエピソード

Artwork
iconシェア
 
Manage episode 346191413 series 2870054
コンテンツは TOKYO FM によって提供されます。エピソード、グラフィック、ポッドキャストの説明を含むすべてのポッドキャスト コンテンツは、TOKYO FM またはそのポッドキャスト プラットフォーム パートナーによって直接アップロードされ、提供されます。誰かがあなたの著作権で保護された作品をあなたの許可なく使用していると思われる場合は、ここで概説されているプロセスに従うことができますhttps://ja.player.fm/legal
秋田県にゆかりのある、映画界のレジェンドがいます。
黒澤明(くろさわ・あきら)。
黒澤の父は、秋田県仙北郡豊川、現在の大仙市豊川出身で、黒澤は、幼い頃から何度も訪れました。
東京で生まれ育った彼にとって、秋田の大自然は最高の遊び場。
野山を駆け回り、滝に飛び込み、渓流で魚をつかまえる。
まさかその原体験が、あの名作『七人の侍』や『影武者』など、多くの監督作品に投影されることなど、当時の黒澤少年は思ってもみなかったでしょう。
彼が、「自伝のようなもの」と称したエッセイ『蝦蟇の油』によれば、生まれてから最初の記憶も、秋田の実家でした。
1歳の黒澤は、裸で洗面器の中にいます。
なんだか薄暗い場所。
洗面器は両方から傾斜した板の間の真ん中、そのいちばん低いところで、グラグラ揺れています。
それが面白くなって、洗面器のふちをつかみ、自分でゆする、何度もゆする。
やがて、洗面器はくるんとひっくり返ってしまう。
そのときの激しい動揺と、裸で、ぬるぬるした板の間に落ちた感触、そして、見上げた天井にぶら下がる石油ランプの光を生き生きと覚えていました。
『蝦蟇の油』には、他にも幼児期の記憶が記されています。
金網の向こうに、白い服を着たひとたちが、棒っキレを振り回して球を打ったり、転がった球を追いかけたりしている。
これは、住んでいた場所が、父が勤める日本体育大学の前身、日本体育会体操学校の敷地内にあった教職員住宅だったからです。
野球場のネット裏から、野球を見ていたのでしょう。
元・軍人の父は、体操学校に勤め、日本古来の柔道や剣道の普及に貢献、プールを初めて日本につくるなど、日本スポーツ界の発展に寄与した重鎮でした。
その厳格そのものの父が、映画は教育上よくないという風潮に抗い、積極的に家族で映画鑑賞に出かけたことも、のちの世界的な巨匠を生む素地を作りました。
黒澤のデビュー作は、戦争のさなかに作った『姿三四郎』。
「用意ッ、スタート!」
そう初めて声をかけたとき、照れくさい思いがしましたが、二度目から、ただもう面白く、映画監督に夢中になっていきます。
好きだから、もっと学ぶ。もっと学べば、さらに好きになる。
そんな幸福のスパイラルこそ人生の醍醐味であると、彼はインタビューに語っています。
ひとつのシーンも手を抜かない。
出てくる役者さん全てに愛情を注ぐ「世界のクロサワ」、黒澤明が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?
  continue reading

451 つのエピソード

すべてのエピソード

×
 
Loading …

プレーヤーFMへようこそ!

Player FMは今からすぐに楽しめるために高品質のポッドキャストをウェブでスキャンしています。 これは最高のポッドキャストアプリで、Android、iPhone、そしてWebで動作します。 全ての端末で購読を同期するためにサインアップしてください。

 

クイックリファレンスガイド