第百八十七話『異端であることを怖れない』-【埼玉篇】小説家 澁澤龍彦-

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昨年、生誕90周年を迎え、人気アニメ『文豪ストレイドッグス』の劇場版『DEAD APPLE(デッドアップル)』に新しいキャラクターとして登場し、話題を呼んだ作家がいます。
澁澤龍彦。
フランス文学者としても知られ、マルキ・ド・サドの翻訳では、わいせつ文書か否かの裁判になり、世間を騒がせました。
親友だった三島由紀夫は、このとき、澁澤にこんな葉書を送りました。
「今度の事件の結果、もし貴下が前科者におなりになれば、小生は前科者の友人を持つわけで、これ以上の光栄はありません」
澁澤は、特に晩年、エロスや倒錯の世界、教科書には載っていない歴史の隠れた影の部分を描きました。
さらに彼は、もっと生産せよ!と背中を押され続ける昭和の激動期にあって、著書『快楽主義の哲学』の中で、曖昧な幸福を求めるより、快楽こそを求めるべきだと語り、物議をかもしたのです。
「人生に目的があると思うから、しんどくなるんだ。人生に目的なんかない、みんなそこから始めればいい。曖昧な幸福に期待をつないで、本来の自分をごまかしてないか? 求めるべきは、一瞬の快楽。それでいいじゃないか。流行? そんなものを追ってどうする? 一匹狼、けっこうじゃないか。どんなに誤解されたっていい。精神の貴族たれ! 人並の凡庸ではなく、孤高の異端たれ!」
彼のそんな言葉に反論をしながらも、どこかホッとするひとが多かったのでしょう。
彼のまわりには、いつも友人知人が集い、彼との時間を楽しみました。
そのひとりに、三島由紀夫もいたのです。
澁澤は、自分の「好き」を大切にしました。
ホラー、人形、鉱物採集に、旅。
さまざまなコレクターとして、信者を集めました。
生涯、常識を笑い飛ばし、異端を貫き通した作家、澁澤龍彦が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

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