第二百三話『挫折を乗り越える』−【千葉篇】作家 伊藤左千夫−

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2020年3月にスタートする、東京オリンピックの聖火リレー。来年7月には、千葉県を走ります。
県内で通過する地点の中に、九十九里浜を有する山武市があります。
千葉県北東部に位置する、いちごの名産地。
この山武市出身の作家がいます。
何度も映画化された『野菊の墓』が有名な、伊藤左千夫(いとう・さちお)。
山武市には、生家も残っています。
築、およそ200年以上前の、かやぶき屋根の平屋。
敷地内には、伊藤が生前建てた茶室も移築されています。
歌人であり、小説家、そして茶の道にも精通していた文化人、伊藤左千夫のもともとの夢は政治家でした。
正義感が強く、議論好き。
富国強兵策を自ら論文にまとめ、時の元老院に送ったりしました。
明治法律専門学校、現在の明治大学に入学。
意気揚々と上京しますが、目の病を患ってしまいます。
学校に通えなくなるほどの重病。
結局、就学は断念して、実家に帰らざるを得なくなります。
そのときの挫折は、どれほどだったでしょう。
星雲の志があっけなく壊れてしまったとき、彼は何を頼りに立ち上がったのでしょうか。
『野菊の墓』は、彼が初めて書いた小説です。
「僕の家というのは、松戸から二里許り下って、矢切の渡を東へ渡り、小高い岡の上でやはり矢切村と云ってる所」という描写があるとおり、舞台は江戸川の矢切の渡しあたり。
静かな田園風景の中、十五の政夫と、十七の民子の純愛を描いた名作は、今も多くのひとに読み継がれています。
政治家志望の青年が、リリカルなロマンティシズムにあふれた小説を書くまでに至った経緯にこそ、彼が挫折を乗り越えた心の軌跡がうかがえるのです。
明治から大正時代に活躍した作家・伊藤左千夫が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

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