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【IDEAストーリー】第20回:オーダーメイドスーツ専門店 – muse style lab(ミューズスタイルラボ)
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起業家のストーリーを追体験してもらおうという無料のインタビューサイトです。
このサイトでは、これから起業に興味のある方に向けて、成長のサービスを展開されている方、面白いサービス、商品を出されている方、各分野の実績を出されている専門家の方々にインタビューということで、各スペシャリストの方にお話を伺ってしまおうというような内容で、毎週お届けしています。
本日のIDEAストーリー。ゲストは、株式会社muse(ミューズ) 代表取締役社長 勝友美さんです。勝さん、宜しくお願い致します。
会社名の由来を教えて下さい。
今でも、例えば、クリスチャン・ディオールのミューズは、ケイト・モスだとか、そのブランドに一つだけアイコンになっているような女性の名前をミューズと呼んだんですけど、そういうふうに、自分もスーツを作ってくださった方々に、物だけではなくて、人として影響を与える人間になりたいなと思って、古代ギリシャ時代の女神の名前のミューズという。
どういった事業をされているのか、自己紹介をお願いします。
例えば、通常であれば、100くらいの工程しか通らないんですね。その1着のスーツを縫い上げるまでに。それが、弊社であれば、400くらいの工程を通っていたり、そういう細かい、あと生地の価格とか、クオリティとかによって、オーダースーツとは言え、ほんとに2、3万からあるものから、10万以上する、しっかりしたものを受け取りたいという方もいらっしゃいますし、それで変わっていますね。
例えば、身体って立体的なので、直線でバストとか、ウエストとか、手の長さとか測るんですけど、どうしてもなで肩だったり、いかり肩とか、屈伸、半伸とか、いろんな特殊な凹凸が体にはあるんですね。
そういったものとかも、特殊体系補正と言って、ほんとは綺麗に取っていくほうが、その方の体にフィットした服に仕上がっていくんですけど、そこまで細かくしていこうとすると、量販店というよりも、特化したお見せにならないと技術力がなかったりして難しいという。
どんなお客さんが多いんですか?
その採寸師さんが、そのオーダースーツという仕事をほんとに好きで携わっていないと、好きなものだから、技術力の向上も目指すし、知識の勉強もするし、お客さんのことを必死で考えるしという、その仕事に、職人仕事なので、惚れ込んでいないと、技術、腕が磨かれていかないような仕事ではあるんですね。
なので、その店員さんが、ほんとにその仕事が好きでお客さまと向き合って、接している方であれば、仕上がりに技術力の差はあったとしても、ちゃんと向き合ってくれた1着というのに仕上がると思うので、私は、もちろん肩幅だったり、着丈だったりって、留意点というのはあると思うんですけど、一番は目の前の人がちゃんと自分にしっかり向き合って、作品というか、1直の形ないものを作るので、仕上げていこうという思いでやってくれているかどうかというのが、一番仕上がりに影響を及ぼしてしまう。実は、仕事だと思っていますね。
次に採寸をしまして、そのあとにデザインを決めさせていただいて、お会計をさせていただいて、お帰りいただく、これでだいたい1時間半から、人によって2時間半とかでするんですね。
そのあとに、1ヶ月から、1ヶ月半、長いときは、2ヶ月、物置きを有して、400くらいの工程で半分以上手縫いで、仕上がってきたスーツを1ヶ月から、2ヶ月後にお客さんにご連絡させていただいて、ご来店していただく、改めてフィッティングを入れさせていただいて、仕上がりと体とちゃんと合っているのかというのを確認させていただいて、納品するという、2回の来店ですね。
戦闘能力を上げるために、武器を一つ手に入れる!
今までは、新卒の人は、2、3万のスーツで、1、2万かもしれないですけど、始まったところを、じゃあ、10年社会人経験しても、そのときと変わらないわけはないじゃないですか、その人のステージというか、同じものを着ている方というのは、変わっていない方が比較的多いですし、意識の面で。
そこから5、6万のちょっとオーダーメイドで店舗数も多くて、一般的なスーツ好きの方が通うようなお店に行くようになって、でも、それよりも、もっと専門的な経営者の成功者が集まっているようなお店があるんだよという噂を聞きつけて。
であれば、何かやってみたいよと思ったりとか、そのお店で自分も服を作ってみたいよと、そこに行くことで、服を作るだけではなくて、人間関係ができるという方も多いので、人生で何かもう一つ叶えたいことができたときとか、自分の気持ちに火をつけないといけないときだったりとか、そういうときですよね。
となると、その気持ちとその服は融合されて、着る度に、その話をしたときの自分を思い起こして、マインドセットされて営業活動に行くのと、全然コンビニでシャツが足りなかったから、シャツ買おうと入って、シャツ1枚でもそうですけど、お客さんのところに行くのと、全然着心地がね、違います。
欲を形にしたいのではなくて、目指す未来を掴みたいわけじゃないですか。じゃあ、その未来を掴むためには、どういうふうに自分を見せないといけないんですよねというところの見せ方をちゃんとしないと、その未来には近づいていかないので。
例えば、お客さまが、「もうネイビーのスーツたくさん持っているんです。だから、ネイビーはいらない」と言われても、「じゃあ、ほんとにネイビーの体にフィットした、誰から見られても恥ずかしくないと言える、渾身の1着ってあるんですか?」と聞いたら、「いや、ないです」と。
「既製服で買った吊るしのネイビーだったらあるということです」となってくると、同じネイビーの生地だったとしても、物が違うわけじゃないですか。だったら、それって、あるんじゃないですよね。1着も、という話になって、じゃあ、まずネイビーから作りましょうとなったり。
お客さまの話をなんでも鵜呑みにしないで、ほんとに思っていることをしっかり伝えてあげることが、逆に愛情だと思っているので、それは大切にしています。
例えばなんですけど、ちょっと難しいんですけど、ある営業マンの人がいまして、営業マンの方って、コンテストだったり、いろんな会社の取り組みがあるじゃないですか。そのなかで自分は結果を出さないといけないから、そのためのスーツを作りにきましたと。
でも、その結果は会社に言われているから出さないといけないのか、同僚の方の目が気になるから出さないといけないのか、ほんとに自分がお客さまのことを思って、その仕事で1位を獲得したいと思っていて、自分で願って、そうしたいと思っているのか。
ではなくて、自分でほんとに、そのコンテストで勝ちたいから、そのためのスーツを着るんですというところに立って、スーツを納品させていただくということが多いので、そうなったときには、その結果を一番、営業だったら、営業成績が上がってほしいと思いますし、経営者の方であれば、会社の業績だったりとか、社員の方がもっと笑顔になるように、憧れられるような社長になってほしいなと思いますし。
そのころは、なんで、こんなダサイものを持って、学校に行かないといけないんだろうと思っていて、2年生か3年生のころには、ランドセルも持つんですけど、自分で生地を選んで、お母さんにカバンを作ってもらって、手提げ袋を。それで学校に登校したり、ランドセル、ダサイから持つのやめようという。
入社した1日目にトップセールス?
心遣いと気遣い。もう一歩先のプラスアルファ!
セット販売で確定率も上げるし、セット販売もするから、客単価も上がるしとか、単価が上がったら、客数を上げなくても、同じ売り上げに到達できるしとか、いろいろなっていくんですけど。最初のころって、何も知らないので、そんなことまったく関係なく、ただ自分が服が好きだから、見ている人にとにかく話しかけまくって。
でも、そこで生まれる気遣いって、別に、人間らしいものってないじゃないですか。人と人との繋がりって、感じないじゃないですか。あくまで売り手と買い手の関係性を超えないじゃないですか。
というのを超えていったときに、初めてお客さんの本音を言ってくれるし、こちらもほんとに楽しく、自分として仕事ができるので、会話も弾むし、服とか関係なく、また会いに来るわとなっていって、でも、会いに来たら、私が新しい服を着ていると、それもいいわねとなっていくという。
結局その必要だから来るお店に来るじゃなくて、あなたに会いたいから来る人って、心遣いしていなかったら思ってもらえないんですよね。というところが違ったんじゃないかなと思いますよね。
ほんとに小さいところの積み重ねが大事!
という、もう一歩、その人の魅力的に見える提案をしっかりしてあげる。どこでもそうだと思うんです。喫茶店でも、水を持ってきてと言わなくても、水を持ってきてくれるのか、トイレの場所どこですかと聞かれたときに、あそこですよと言うのか、連れて行ってあげるのかで、サービスが1個違うじゃないですか。
ということって、相手のこと思っていなかったらしないと思うんですよ。それをしたからと言って、お給料が上がるわけでも、それも何かに反映されるわけではない無償のことをするので。でも、してもらったほうが自分は嬉しいし、知らなかった自分、服で言うと、知らなかった自分を発見できるし。
でも、自分は自分でいいので、ほんとに自分として向き合ったときに、相手もお客さまという一人の人間に見えてきて、そしたら、声のかけ方とかって変わってくると思うんですけど。
ただ正直、それって難しいと思うんですよ。ものすごく。素直になって、自分らしく生きることって、人って一番難しいので。逆に、自分が気をつけたのは、誰も見ていないところでも、自分は見ているし、知っているので、私生活のなかでも、例えば、横断歩道だったら、歩行者が優先なんですけど、通りたそうにしているタクシーがいたら、歩いて横断歩道を渡るんじゃなくて、ちゃんと小走りで渡ってあげようとかいう、ほんとに小さいところですよね。
鏡をたくさん見なさい
例えば、自分が履いているパンツをお客さまも欲しいと思う理由って、人目見て、あの人かっこいい、似合っている、私もそんなふうに服が着たいと思って、女の子って買うわけじゃないですか。だから、女の子の雑誌はたくさん売れるし、目で見て、勝手に、誰かに言われたわけではなくて、自分でその服が欲しいと思う気持ちを発動させることって大事なので。
私たちもそれをする方がより購買に近づけることができるので、であれば、自分が魅力的でないと、魅力的にその服を着こなしてないと、そうはいかないので、常に鏡を見る。
目の前の人と同じようなジェスチャーというか、鏡のような動きをしたら、好印象持たれるよとか。例えば、目の前の人がコーヒーを飲んだら、自分も同じようにコーヒーを飲むとかって、ほんとに王道じゃないですか。
そういうテクニックはね、誰でも教えれると思うんですけど、それだけで多分、突き抜けることができちゃったら、みんな突き抜けちゃっていて、でも、実は、多分、そうじゃない、もっと人間臭い部分だと思うんですよね。
入社して、1ヶ月も経たないうちに、副店長になったんですよ。副店長になって、そこから一番売り上げを上げる人が店長だったら、お店って回らないんですね。店長って店舗管理をするわけじゃないですか。
でも、一番売り上げを上げていたら、店舗管理ってできなくなっていくじゃないですか。なので、会社の予算もそうですけど、副店長の方が絶対高いんですよ。私の会社はそうだったんですね。
副店長の方が売り上げを上げて、店長がマネジメント、店舗マネジメントしてだったので、私は売れたので、副店長で、ずっととにかく売り続けるみたいな。
できることを毎日繰り返してやっているだけなので、成長が見えなくなってきたときに、ちょうどヘッドハンティングを受けまして、中国の社長からだったんですけど、中国で最大級と言われているポータルサイトがありまして、そこで、日本館を立ち上げて、中国人とか、世界の人が、日本の商材を買えるというスキームを構築したいということをやろうとしている社長がいまして、日本のファッション市場を海外に発信してくれるような、スタイリストの仕事ができる人が欲しいというので、私もそこで、じゃあ、やりますと言っ て、自分もフリーランスになって、そこで。
そこのポータルサイトで、イメージキャラクターがいるというふうになって、でも、立ち上げたばかりの事業だし、全員が独立している会社なんですよ。
フリーで全員がやっているような会社なので、もちろんそこまで資金力もあるわけじゃないし、なんせ中国市場に打って出ませんかというビジネスなので、今ならまだしも、それが私が24歳くらいのときなので、7、8年前。
楽しかったんですけど、楽しかったですし、ファッション業界のなかで、得た知識を財産にさせてもらって、足りない知識を補って、ノウハウを構築したいというのが一番だったので、その一つにはなったんですけどね。
でも、もともとは、ファッションのために立ち上がった事業ではなかったので、仕事内容はどんどんファッションから遠のいていったんですよね。投資家と会うとかになっていったりとか。
楽しかったですけど、ちょっとファッションのスキルとは違う分野になってきたなというところもあり、プラス、父がガンになってしまって、父の闘病生活が始まって、両親の実家が九州の宮崎だったので、九州の宮崎で父が入院することになって、東京と大阪と宮崎と1ヶ月でグルグル回るような生活になり、精神的に疲れていってしまって、父が他界したときに、この仕事もできないなと思って、気持ちが、なんて言うんですかね、生命力がなくなっていくようなかたちで、当時の仕事も退社してという。
ほんとに、最初のアパレルなんて、17万とか、福利厚生もなく、残業しても別にね、何かつくわけでもなくという、家から近いわけでもないけど、それに対して、何か思ったこともなく楽しかったんですけど。
でも、ファッションの仕事をする気がなくなったときに、とにかく家から近いところで、給料もある程度ちゃんと貰えるところでと条件しか見なくなってしまって、なんでもいいから、事務員で楽そうでとか言ったら、ほんと失礼なんですけど、仕事を探そうと思って、歯医者の受付の仕事で受かったんですけど。
そのときに分かったのが、私は、ファッションがただ単に好きだったわけではなくて、ファッションと自分が生きるということが、どれだけ密接に関わっていたのかというところに気づきまして。
この仕事をしていないと生きていけないという、この仕事以外ができないし、したくないしという、究極の状態になっていました。虜ですよね。
オーダーメイドスーツ専門店 – muse style lab(ミューズスタイルラボ)/後編
株式会社muse(ミューズ) 代表取締役社長 勝友美 兵庫県宝塚市生まれ。神戸松蔭女子学院大学短期大学部卒業。人生の三分の一をファッション業界で生きる。 一販売員から始まり、国内外でのスタイリスト経験を経た後、テーラーの世界へ転身。28歳で自社ブランド「muse style lab」を立ち上げ、独立。 「夢を叶えるオーダースーツ」として多くのエグゼクティブより指示を受け、現在に至る。 |
32 つのエピソード
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本日のIDEAストーリー。ゲストは、株式会社muse(ミューズ) 代表取締役社長 勝友美さんです。勝さん、宜しくお願い致します。
会社名の由来を教えて下さい。
今でも、例えば、クリスチャン・ディオールのミューズは、ケイト・モスだとか、そのブランドに一つだけアイコンになっているような女性の名前をミューズと呼んだんですけど、そういうふうに、自分もスーツを作ってくださった方々に、物だけではなくて、人として影響を与える人間になりたいなと思って、古代ギリシャ時代の女神の名前のミューズという。
どういった事業をされているのか、自己紹介をお願いします。
例えば、通常であれば、100くらいの工程しか通らないんですね。その1着のスーツを縫い上げるまでに。それが、弊社であれば、400くらいの工程を通っていたり、そういう細かい、あと生地の価格とか、クオリティとかによって、オーダースーツとは言え、ほんとに2、3万からあるものから、10万以上する、しっかりしたものを受け取りたいという方もいらっしゃいますし、それで変わっていますね。
例えば、身体って立体的なので、直線でバストとか、ウエストとか、手の長さとか測るんですけど、どうしてもなで肩だったり、いかり肩とか、屈伸、半伸とか、いろんな特殊な凹凸が体にはあるんですね。
そういったものとかも、特殊体系補正と言って、ほんとは綺麗に取っていくほうが、その方の体にフィットした服に仕上がっていくんですけど、そこまで細かくしていこうとすると、量販店というよりも、特化したお見せにならないと技術力がなかったりして難しいという。
どんなお客さんが多いんですか?
その採寸師さんが、そのオーダースーツという仕事をほんとに好きで携わっていないと、好きなものだから、技術力の向上も目指すし、知識の勉強もするし、お客さんのことを必死で考えるしという、その仕事に、職人仕事なので、惚れ込んでいないと、技術、腕が磨かれていかないような仕事ではあるんですね。
なので、その店員さんが、ほんとにその仕事が好きでお客さまと向き合って、接している方であれば、仕上がりに技術力の差はあったとしても、ちゃんと向き合ってくれた1着というのに仕上がると思うので、私は、もちろん肩幅だったり、着丈だったりって、留意点というのはあると思うんですけど、一番は目の前の人がちゃんと自分にしっかり向き合って、作品というか、1直の形ないものを作るので、仕上げていこうという思いでやってくれているかどうかというのが、一番仕上がりに影響を及ぼしてしまう。実は、仕事だと思っていますね。
次に採寸をしまして、そのあとにデザインを決めさせていただいて、お会計をさせていただいて、お帰りいただく、これでだいたい1時間半から、人によって2時間半とかでするんですね。
そのあとに、1ヶ月から、1ヶ月半、長いときは、2ヶ月、物置きを有して、400くらいの工程で半分以上手縫いで、仕上がってきたスーツを1ヶ月から、2ヶ月後にお客さんにご連絡させていただいて、ご来店していただく、改めてフィッティングを入れさせていただいて、仕上がりと体とちゃんと合っているのかというのを確認させていただいて、納品するという、2回の来店ですね。
戦闘能力を上げるために、武器を一つ手に入れる!
今までは、新卒の人は、2、3万のスーツで、1、2万かもしれないですけど、始まったところを、じゃあ、10年社会人経験しても、そのときと変わらないわけはないじゃないですか、その人のステージというか、同じものを着ている方というのは、変わっていない方が比較的多いですし、意識の面で。
そこから5、6万のちょっとオーダーメイドで店舗数も多くて、一般的なスーツ好きの方が通うようなお店に行くようになって、でも、それよりも、もっと専門的な経営者の成功者が集まっているようなお店があるんだよという噂を聞きつけて。
であれば、何かやってみたいよと思ったりとか、そのお店で自分も服を作ってみたいよと、そこに行くことで、服を作るだけではなくて、人間関係ができるという方も多いので、人生で何かもう一つ叶えたいことができたときとか、自分の気持ちに火をつけないといけないときだったりとか、そういうときですよね。
となると、その気持ちとその服は融合されて、着る度に、その話をしたときの自分を思い起こして、マインドセットされて営業活動に行くのと、全然コンビニでシャツが足りなかったから、シャツ買おうと入って、シャツ1枚でもそうですけど、お客さんのところに行くのと、全然着心地がね、違います。
欲を形にしたいのではなくて、目指す未来を掴みたいわけじゃないですか。じゃあ、その未来を掴むためには、どういうふうに自分を見せないといけないんですよねというところの見せ方をちゃんとしないと、その未来には近づいていかないので。
例えば、お客さまが、「もうネイビーのスーツたくさん持っているんです。だから、ネイビーはいらない」と言われても、「じゃあ、ほんとにネイビーの体にフィットした、誰から見られても恥ずかしくないと言える、渾身の1着ってあるんですか?」と聞いたら、「いや、ないです」と。
「既製服で買った吊るしのネイビーだったらあるということです」となってくると、同じネイビーの生地だったとしても、物が違うわけじゃないですか。だったら、それって、あるんじゃないですよね。1着も、という話になって、じゃあ、まずネイビーから作りましょうとなったり。
お客さまの話をなんでも鵜呑みにしないで、ほんとに思っていることをしっかり伝えてあげることが、逆に愛情だと思っているので、それは大切にしています。
例えばなんですけど、ちょっと難しいんですけど、ある営業マンの人がいまして、営業マンの方って、コンテストだったり、いろんな会社の取り組みがあるじゃないですか。そのなかで自分は結果を出さないといけないから、そのためのスーツを作りにきましたと。
でも、その結果は会社に言われているから出さないといけないのか、同僚の方の目が気になるから出さないといけないのか、ほんとに自分がお客さまのことを思って、その仕事で1位を獲得したいと思っていて、自分で願って、そうしたいと思っているのか。
ではなくて、自分でほんとに、そのコンテストで勝ちたいから、そのためのスーツを着るんですというところに立って、スーツを納品させていただくということが多いので、そうなったときには、その結果を一番、営業だったら、営業成績が上がってほしいと思いますし、経営者の方であれば、会社の業績だったりとか、社員の方がもっと笑顔になるように、憧れられるような社長になってほしいなと思いますし。
そのころは、なんで、こんなダサイものを持って、学校に行かないといけないんだろうと思っていて、2年生か3年生のころには、ランドセルも持つんですけど、自分で生地を選んで、お母さんにカバンを作ってもらって、手提げ袋を。それで学校に登校したり、ランドセル、ダサイから持つのやめようという。
入社した1日目にトップセールス?
心遣いと気遣い。もう一歩先のプラスアルファ!
セット販売で確定率も上げるし、セット販売もするから、客単価も上がるしとか、単価が上がったら、客数を上げなくても、同じ売り上げに到達できるしとか、いろいろなっていくんですけど。最初のころって、何も知らないので、そんなことまったく関係なく、ただ自分が服が好きだから、見ている人にとにかく話しかけまくって。
でも、そこで生まれる気遣いって、別に、人間らしいものってないじゃないですか。人と人との繋がりって、感じないじゃないですか。あくまで売り手と買い手の関係性を超えないじゃないですか。
というのを超えていったときに、初めてお客さんの本音を言ってくれるし、こちらもほんとに楽しく、自分として仕事ができるので、会話も弾むし、服とか関係なく、また会いに来るわとなっていって、でも、会いに来たら、私が新しい服を着ていると、それもいいわねとなっていくという。
結局その必要だから来るお店に来るじゃなくて、あなたに会いたいから来る人って、心遣いしていなかったら思ってもらえないんですよね。というところが違ったんじゃないかなと思いますよね。
ほんとに小さいところの積み重ねが大事!
という、もう一歩、その人の魅力的に見える提案をしっかりしてあげる。どこでもそうだと思うんです。喫茶店でも、水を持ってきてと言わなくても、水を持ってきてくれるのか、トイレの場所どこですかと聞かれたときに、あそこですよと言うのか、連れて行ってあげるのかで、サービスが1個違うじゃないですか。
ということって、相手のこと思っていなかったらしないと思うんですよ。それをしたからと言って、お給料が上がるわけでも、それも何かに反映されるわけではない無償のことをするので。でも、してもらったほうが自分は嬉しいし、知らなかった自分、服で言うと、知らなかった自分を発見できるし。
でも、自分は自分でいいので、ほんとに自分として向き合ったときに、相手もお客さまという一人の人間に見えてきて、そしたら、声のかけ方とかって変わってくると思うんですけど。
ただ正直、それって難しいと思うんですよ。ものすごく。素直になって、自分らしく生きることって、人って一番難しいので。逆に、自分が気をつけたのは、誰も見ていないところでも、自分は見ているし、知っているので、私生活のなかでも、例えば、横断歩道だったら、歩行者が優先なんですけど、通りたそうにしているタクシーがいたら、歩いて横断歩道を渡るんじゃなくて、ちゃんと小走りで渡ってあげようとかいう、ほんとに小さいところですよね。
鏡をたくさん見なさい
例えば、自分が履いているパンツをお客さまも欲しいと思う理由って、人目見て、あの人かっこいい、似合っている、私もそんなふうに服が着たいと思って、女の子って買うわけじゃないですか。だから、女の子の雑誌はたくさん売れるし、目で見て、勝手に、誰かに言われたわけではなくて、自分でその服が欲しいと思う気持ちを発動させることって大事なので。
私たちもそれをする方がより購買に近づけることができるので、であれば、自分が魅力的でないと、魅力的にその服を着こなしてないと、そうはいかないので、常に鏡を見る。
目の前の人と同じようなジェスチャーというか、鏡のような動きをしたら、好印象持たれるよとか。例えば、目の前の人がコーヒーを飲んだら、自分も同じようにコーヒーを飲むとかって、ほんとに王道じゃないですか。
そういうテクニックはね、誰でも教えれると思うんですけど、それだけで多分、突き抜けることができちゃったら、みんな突き抜けちゃっていて、でも、実は、多分、そうじゃない、もっと人間臭い部分だと思うんですよね。
入社して、1ヶ月も経たないうちに、副店長になったんですよ。副店長になって、そこから一番売り上げを上げる人が店長だったら、お店って回らないんですね。店長って店舗管理をするわけじゃないですか。
でも、一番売り上げを上げていたら、店舗管理ってできなくなっていくじゃないですか。なので、会社の予算もそうですけど、副店長の方が絶対高いんですよ。私の会社はそうだったんですね。
副店長の方が売り上げを上げて、店長がマネジメント、店舗マネジメントしてだったので、私は売れたので、副店長で、ずっととにかく売り続けるみたいな。
できることを毎日繰り返してやっているだけなので、成長が見えなくなってきたときに、ちょうどヘッドハンティングを受けまして、中国の社長からだったんですけど、中国で最大級と言われているポータルサイトがありまして、そこで、日本館を立ち上げて、中国人とか、世界の人が、日本の商材を買えるというスキームを構築したいということをやろうとしている社長がいまして、日本のファッション市場を海外に発信してくれるような、スタイリストの仕事ができる人が欲しいというので、私もそこで、じゃあ、やりますと言っ て、自分もフリーランスになって、そこで。
そこのポータルサイトで、イメージキャラクターがいるというふうになって、でも、立ち上げたばかりの事業だし、全員が独立している会社なんですよ。
フリーで全員がやっているような会社なので、もちろんそこまで資金力もあるわけじゃないし、なんせ中国市場に打って出ませんかというビジネスなので、今ならまだしも、それが私が24歳くらいのときなので、7、8年前。
楽しかったんですけど、楽しかったですし、ファッション業界のなかで、得た知識を財産にさせてもらって、足りない知識を補って、ノウハウを構築したいというのが一番だったので、その一つにはなったんですけどね。
でも、もともとは、ファッションのために立ち上がった事業ではなかったので、仕事内容はどんどんファッションから遠のいていったんですよね。投資家と会うとかになっていったりとか。
楽しかったですけど、ちょっとファッションのスキルとは違う分野になってきたなというところもあり、プラス、父がガンになってしまって、父の闘病生活が始まって、両親の実家が九州の宮崎だったので、九州の宮崎で父が入院することになって、東京と大阪と宮崎と1ヶ月でグルグル回るような生活になり、精神的に疲れていってしまって、父が他界したときに、この仕事もできないなと思って、気持ちが、なんて言うんですかね、生命力がなくなっていくようなかたちで、当時の仕事も退社してという。
ほんとに、最初のアパレルなんて、17万とか、福利厚生もなく、残業しても別にね、何かつくわけでもなくという、家から近いわけでもないけど、それに対して、何か思ったこともなく楽しかったんですけど。
でも、ファッションの仕事をする気がなくなったときに、とにかく家から近いところで、給料もある程度ちゃんと貰えるところでと条件しか見なくなってしまって、なんでもいいから、事務員で楽そうでとか言ったら、ほんと失礼なんですけど、仕事を探そうと思って、歯医者の受付の仕事で受かったんですけど。
そのときに分かったのが、私は、ファッションがただ単に好きだったわけではなくて、ファッションと自分が生きるということが、どれだけ密接に関わっていたのかというところに気づきまして。
この仕事をしていないと生きていけないという、この仕事以外ができないし、したくないしという、究極の状態になっていました。虜ですよね。
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株式会社muse(ミューズ) 代表取締役社長 勝友美 兵庫県宝塚市生まれ。神戸松蔭女子学院大学短期大学部卒業。人生の三分の一をファッション業界で生きる。 一販売員から始まり、国内外でのスタイリスト経験を経た後、テーラーの世界へ転身。28歳で自社ブランド「muse style lab」を立ち上げ、独立。 「夢を叶えるオーダースーツ」として多くのエグゼクティブより指示を受け、現在に至る。 |
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