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統計を使って嘘をつく人に注意しよう

 
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今日は、統計は嘘をつかないけれども、統計使いは統計を使って嘘をつく、という話です。統計使い自身が自分で嘘だと気づいていない場合も多いですけどね。 最も注意が必要なのは、因果関係でしょうね。AとBが似た動きをするからと言って、AがBの原因だとは限りません。AとBの顔が似ているからといって、AがBの親だとは限らないですよね。BがAの親なのかも知れませんし、別に両親がいて、AとBは兄弟なのかも知れません。あるいは他人だけれども偶然似ている、という事もあるでしょう。統計についても同じです。 「アイスクリームが売れる日は水の事故が多いから、アイスクリームの販売を禁止しよう」と言われたらどう思いますか? 変ですよね。夏の暑い日はアイスクリームが売れるでしょうし、人々が水遊びをするでしょうから水の事故も増えるでしょう。気温が親で、アイスクリームの売り上げと水の事故は兄弟だから似ている、というわけですね。したがって、この提案は却下ですね。 では、「警察官が多い街ほど犯罪が多いから、警察官を減らそう」というのはどうでしょうか。これは二つの意味で間違えています。一つは因果関係が反対です。犯罪が多い街は公園を作らずに警察官を雇い、犯罪が少ない街は警察官を雇わずに公園を作るので、結果を見ると警察官が多い街は犯罪が多くなるわけですね。警察官を減らしたら、もっと犯罪が増えますから、気をつけましょう。 じつは、もう一つ間違いがあるのです。大都市と田舎街を比べたら、警察官の数も犯罪の数も大都市の方が多いですが、だから警察官を減らして良いという事にはならないでしょう。人口1000人当たりの警察官の数と犯罪の数を比べるのでないと、意味はありませんね。人口が親で警察官の数と犯罪の数が兄弟だ、という事ですから、さきほどの「気温が親だ」というのと同じ間違いですね。 因果関係の話はこれくらいにして、どこかの国の兵隊募集の話をしましょう。「我が国の軍人の死亡率は我が国の国民の死亡率よりも低いから、軍隊は安全な所です」と言われたら、どうでしょうか。これは、サンプルの取り方が悪いのですね。軍隊には定年があるので、軍人で老衰で死ぬ人はいませんから。本気で比べるなら、20歳から60歳までの国民と軍人の死亡率を比べるべきでしょう。このように、サンプルの取り方には注意が必要なのです。 サンプルのとりかたについては、アンケートを行なう際にも要注意ですね。たとえば支持政党を平日の昼間に電話で聞くのは問題ですね。忙しく働いている現役の人々は在宅していなかったり忙しくて電話に出なかったりするでしょうが、高齢者は在宅していて電話に出る人が多いでしょう。そうなると、「若者から税金をとって高齢者に年金を配ろう」といった政党の支持率が高いという結果になりかねません。それを避けるためにインターネットでアンケートをとると、今度は高齢者がインターネットの使い方がわからなくて返答しないので、「若者から税金をとって高齢者に年金を配ろう」といった政党の支持率が低いという結果になりかねません。アンケート調査というのは、難しいものなのですね。 グラフにも注意が必要です。1が2に増えた会社と10が19に増えた会社があるとして、両方を同じグラフに描くと10が19に増えた会社の方が好調であるように見えます。興味があれば、あとで描いてみて下さい。しかし、1が2に増えた会社は売上が2倍ですから、本当はこちらの方が好調なのですね。そうした問題を避けるため、右軸も使う、という方法があります。左軸には0から2までの目盛を書き込み、右軸にはゼロから20までの目盛りを書き込むことで、両方のグラフが比較しやすくなるわけです。スタート時点は1と10ですから重なっていて、2倍と1.9倍になりますから、終わりの時点では2の方が19より少し上に描かれる、というわけですね。 このように、右軸を使うという方法は便利なのですが、グラフの軸についても統計使いに悪用される場合があるので、要注意です。株価が99と100の間を行ったり来たりしているとします。普通に株価のグラフを描けば、ほとんど動かないグラフになります。しかし、軸の目盛を99から100にして同じグラフを描くと、激動する株価というイメージになります。これについては、株価が激動しているような印象を与えようという悪意を持った統計使いがグラフを作る場合もありますが、株価のわずかな変化を見やすくしてあげたい、という親切な統計使いのせいで見た人が株価が激動していると誤解してしまう、という場合も多いようなので、気をつけましょう。 では、話題を変えましょう。政府が凶悪犯罪者の食生活に関する統計を分析したところ、恐ろしい食材が見つかりました。なんと、凶悪犯罪者の98%が毎日のように口にしている食材があったのです。早速その食材は禁止する方向で検討に入ったそうです。こんなニュースが流れたら、どう思いますか? でも、禁止すべきではない、と私は考えています。だって、コメですから(笑)。凶悪犯罪者は食べているけれども、それ以外の人は食べていないという食材があれば、それは禁止を検討しても良いと思いますけどね。 今日のまとめです。統計は便利ですし、統計を見ないで話をするのは危険な事です。しかし、統計を見る際には気をつけないと、様々な誤解や錯覚の元ともなりかねません。「統計がそうなっているから」と言われた時には、「その解釈で良いのかな」と考える習慣をつけたいですね。
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