アベノミクスはラッキーだった

 
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今日は、「アベノミクスが景気を回復させたのはラッキーだった」というお話です。 アベノミクスというのは、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」というる3つの政策のことで、これらは『3本の矢』と呼ばれています。 第一の矢と第二の矢は「需要を増やして景気を良くしよう」というものですが、第三の矢は需要を増やして景気を良くするのではなく「供給を増やそう」というものです。需要と供給がバランスよく増えていかないと経済はうまく成長しません。したがって、景気が回復したという話をする際には、第三の矢については触れないことにしましょう。 第二の矢は「公共投資」のことで、本来であれば景気回復の切り札となるはずのものですが、今回は少し予算を増やしただけで建設労働者が足りなくなってしまい、残念ながら景気を回復させる力としては今ひとつでした。 第一の矢は「金融緩和」です。これには二つありました。一つは0%だった金利をマイナス0.1%に変更したことです。これは理屈上は面白い話がありますが、0.1%ですから大きな影響は無かったため今日は触れないことにしましょう。 もう一つの金融緩和は、「大胆に国債を買うことで世の中に国債を買った資金を出回らせよう」というものです。黒田日銀総裁は「これによって世の中に大量の資金が出回るので、物価も株価もドルも上がるでしょう」と自信満々に記者会見をしました。 しかし、実際には世の中に資金は出回らなかったため、物価は上がりませんでしたが、不思議なことに株価とドルは上がったのです。これについては、株価や為替レートは「美人投票」で決まるため、以前お話ししたように偽薬効果が働いたわけです。 日本では、個人投資家が持っている株は多くないため、株価が上がったから個人消費が増えるという事はあまりありません。したがって、株価が上がっても景気を良くする効果は余りないのです。 問題は、「ドル高」です。ドルが高くなれば輸出が増えて景気が良くなるだろう、と多くの人が考えていましたが、輸出はあまり増えませんでした。 ドルが高くなると日本の輸出企業は輸出量を増やせば儲かるわけですが、なぜ輸出は増えなかったのでしょう。 その理由としては、最近の日本企業が輸出するより売れる所で作ろうという考え方に変わって来たためだと言われています。「ドルが高くなったら輸出を増やす」ということをやっていると、ドルが安くなった時に困るため、そういう事が起きないようにしているようです。 ドルが高くなっても輸出量が増えないと、国内生産が増えないため、景気は良くなりません。輸出企業が「輸出代金のドルが高く売れて儲かる」ということはありますが、それで景気が良くなるということはありません。 日本の貿易収支は大体ゼロですから、輸出代金と同じくらい輸入代金があるわけです。そして、「ドルが高い」ということは、輸入企業がドルを高く買わなければならないということです。つまり、ドル高で輸出企業の利益が増えたのと同じくらい、輸入企業の利益が減ってしまうわけです。 金融緩和それ自体が景気を回復させたと考えている人もいるかもしれませんが、もともと金融緩和自体には景気を回復させる力はあまりありません。不景気で設備の稼働率が低い時には、たとえ金利が下がったとしても新しい工場を建てる必要がありませんし、まして、今のように金利がほとんどゼロの時には、「金融が緩和されたから新しい工場を建てよう」という会社はほとんど無いでしょう。 そのため、金融緩和が景気を回復させるとすれば、ドルが高くなって輸出が増える場合なのですが、それがあまり増えなかったということは、第一の矢である金融緩和もあまり景気を回復させなかったということになります。 したがって、アベノミクスの景気回復効果は小さかったわけですが、結果を見ると経済は素晴らしい改善を見せています。長い間日本経済を悩ませて来た失業問題が解決し、高齢者でも探せば仕事を見つけられるようになりました。 デフレも終わり、物価も少しずつですが上がるようになりました。企業の業績も回復し、株価も上がり、税収も増えました。おそらく自殺者の減少も景気拡大のおかげでしょう。このように景気が回復したのは、幸運による所が大きかったと思います。そもそも黒田日銀総裁の金融緩和でドルと株が値上がりしたのも、偽薬効果という幸運に恵まれたからでした。また、今回の景気回復には「景気は気から」という面が強かったわけですが、これも人々が景気は良くなりそうだ、という気になってくれたのは幸運でした。 そして何より幸運だったのは、アベノミクスの始まった時期です。ちょうど少子高齢化によって失業時代から労働力不足時代に時代が移り変ろうとしている時にアベノミクスが始まったため、ほんの少しの景気回復でも失業問題が見事に解決したというわけです。 なお、新型コロナで今の景気は悪化していますが、それはアベノミクスとは関係ない話ですから、今日は触れないでおきましょう。 それでは、今日のまとめです。 アベノミクスは景気を回復させましたが、アベノミクス自体の貢献はわずかであり、幸運が手伝って素晴らしい結果に結びついたというわけです。

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