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採用の「募集モデル」と「選抜モデル」

 
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今日は、組織が新しいメンバーを選抜し、採用するプロセスについてお話します。一般的に、企業は自社で働きたいという人を全て無条件で受け入れる事はしません。最近では来る者拒まずという事で応募してきた人全てを受け入れ、その代わりに仕事をして合わなかったらすぐバイバイというユニークな事例も見られるようになってきてはいます。ただ、これはまだまだ例外的な存在であって、ほとんどの組織にとって候補者をいかに選抜するかというのは重要なポイントになります。採用すべき候補者をいかに見極めるかについて、まず大きな分かれ目となるのは、本日お話する募集モデルと選抜モデルの区別になります。 募集モデルというのは、社員を採用するにあたって、まずは出来る限り多くの応募者を集めるやり方の事です。自社が採用活動を行っていることを広く周知して認知度を高め、エントリー数を増やすことに主眼を置く。応募者の分母が大きければ大きいほど、そこに質の高い人が含まれる可能性も高まるだろうという考え方に基づくモデルです。この場合、応募者の数が多いので一人ひとりをじっくり見て採用を検討するといったことは現実的ではありません。そのため、少なくとも選抜の初期段階においてはエントリーシートによる書類審査や適性検査など比較的簡便なものが用いられる傾向にあります。採用にかける時間と予算の多くを募集のフェーズにかけることから、募集モデルと呼ばれます。 選抜モデルを用いる組織はこの逆でして、募集段階で多くの費用をかけて全国的な認知を上げようとはしません。むしろ知る人ぞ知る組織、あるいは非常に狭き門だと評判が高く、それ故にもともと自信がある人しか応募してこないような組織、または応募に際して弁護士資格や高度なマネジメント経験といった特殊な要件を満たしていないとそもそも応募を受け付けない組織などをイメージして頂ければいいかと思います。この場合、応募者の数が少なくて、しかもそこにはもともと腕に覚えのある人しかいないということになりますので、画一的なスクリーニングをかける必要がありません。そのために選抜モデルを採用する組織では、候補者1人1人に手厚く時間とコストをかけて自社とのマッチングを見極める事ができます。 このようにお話すると、どんな組織でも選抜モデルを採用した方がいいと思われるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。極端な話ですけれども、時給数百円のアルバイトを募集するといった場合には募集モデル以外の選択肢はあまりないですよね。正社員を採用する場合であっても、選抜モデルは自ら応募者を絞り込むわけですから非常にリスクがあります。最悪の場合を考えてみると、募集への投資を絞ってその分選抜に時間とコストをかけようと意気込んだものの肝心の応募者がほとんど集まらず、しかもそこには自社が期待する人材像と合っている人がいない、ずれていたとなってしまう事もあり得るからです。そうなってしまうと、基本的にリカバリーのしようがありません。元々いない人を採用するわけにはいかないからです。結果として、他社から一周遅れで改めて採用活動をやり直さなくてはならなくなります。今はかなり変わってきましたけれども、応募方法や採用時期が決まっているようなパターンだと、下手をすると1年遅れとなってしまうリスクもあり得るわけです。これは組織の経営者にとって非常に大きなダメージとなります。 また、選抜モデルでは、そもそも応募してくる人の数がそれほど多くはならないはずだということを前提にしています。もしこの前提が崩れてしまうと、現場がパンクしてパニックに陥る危険もあります。そうしたパターンが半ば常態化してしまっているのが現代の大学の教員採用です。大学の教員になるには、基本的にPh.D.と呼ばれる博士号が必要で、さらに学会での研究発表等の高度な業績が求められるため、どこかの大学で教員の募集があったからといって誰でも応募できるというものでは本来ありません。しかも大学の教員募集の場合、例えば企業の競争戦略であるとか現代ヨーロッパの政治思想であるとかいった、かなり限定的な分野について的確な専門性を持ち合わせた人を募集しますので、さらに絞り込まれるはず、です。事実、かつては大学の教員の応募数は数件から多くても十数件であり、それらを厳密に吟味するところにコストをかけるのは合理的なやり方でした。 しかし、現代の日本社会では大学の教員ポジション、特に3年や5年で任期が途絶える有期契約ではない、いわゆる「正社員」待遇のポジションの募集は非常に限られています。それに対して博士号を持つ人の数はずっと多いために、大学の教員募集が行われるとほとんどの場合、数百件もの応募書類の山が押し寄せてくるということになります。こうなると本当に適合性の高い候補者を見つけ出すのは至難の業です。しかも、選抜モデルの前提で全体のプロセスが設定されているために、応募書類は簡便なエントリーシートとは違うのです。数十ページにわたる論文や著書、エッセイが複数、それも全て専門性の高いものですから、目を通すだけでも一苦労です。 また、これも選抜モデルならではの構造ですけど、そうしたスクリーニングにあたるのも高度な専門性と経験のある教授が複数名で専門の委員会を立ち上げて行います。畢竟、その機会費用も莫大なものになります。大学の教員採用は特殊で一般的な企業の採用とは違うと言われるかもしれませんけど、採用プロセスの大枠を決めるモデルと実態がうまくマッチしないと、多かれ少なかれ同じような混乱は、どんな組織であっても起こり得ます。したがって、自社が採用活動を行う場合には、採用したいと思っているポジションや特性と、自社が採用プロセスに投資することの出来る時間・コスト・人員といったリソースを考え併せて、募集モデルと選抜モデルのどちらがより適切かを検討する事が重要になります。 今日のまとめです。本日は、企業やNPOなどの組織が新しいメンバーを採用する際のモデルを2つご紹介しました。1つは自社が採用活動を行っていることを広く告知して認知度を高め、応募者数の最大化を図る募集モデル。もう1つは元々限られた数の応募者のみを受け付けて、そこから最適な人を見極める事に力点を置く選抜モデルです。どちらの方がより優れているというわけではなく、採用を行いたい職業や業務の内容に応じて適切に使い分ける事が重要です。
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今日は、組織が新しいメンバーを選抜し、採用するプロセスについてお話します。一般的に、企業は自社で働きたいという人を全て無条件で受け入れる事はしません。最近では来る者拒まずという事で応募してきた人全てを受け入れ、その代わりに仕事をして合わなかったらすぐバイバイというユニークな事例も見られるようになってきてはいます。ただ、これはまだまだ例外的な存在であって、ほとんどの組織にとって候補者をいかに選抜するかというのは重要なポイントになります。採用すべき候補者をいかに見極めるかについて、まず大きな分かれ目となるのは、本日お話する募集モデルと選抜モデルの区別になります。 募集モデルというのは、社員を採用するにあたって、まずは出来る限り多くの応募者を集めるやり方の事です。自社が採用活動を行っていることを広く周知して認知度を高め、エントリー数を増やすことに主眼を置く。応募者の分母が大きければ大きいほど、そこに質の高い人が含まれる可能性も高まるだろうという考え方に基づくモデルです。この場合、応募者の数が多いので一人ひとりをじっくり見て採用を検討するといったことは現実的ではありません。そのため、少なくとも選抜の初期段階においてはエントリーシートによる書類審査や適性検査など比較的簡便なものが用いられる傾向にあります。採用にかける時間と予算の多くを募集のフェーズにかけることから、募集モデルと呼ばれます。 選抜モデルを用いる組織はこの逆でして、募集段階で多くの費用をかけて全国的な認知を上げようとはしません。むしろ知る人ぞ知る組織、あるいは非常に狭き門だと評判が高く、それ故にもともと自信がある人しか応募してこないような組織、または応募に際して弁護士資格や高度なマネジメント経験といった特殊な要件を満たしていないとそもそも応募を受け付けない組織などをイメージして頂ければいいかと思います。この場合、応募者の数が少なくて、しかもそこにはもともと腕に覚えのある人しかいないということになりますので、画一的なスクリーニングをかける必要がありません。そのために選抜モデルを採用する組織では、候補者1人1人に手厚く時間とコストをかけて自社とのマッチングを見極める事ができます。 このようにお話すると、どんな組織でも選抜モデルを採用した方がいいと思われるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。極端な話ですけれども、時給数百円のアルバイトを募集するといった場合には募集モデル以外の選択肢はあまりないですよね。正社員を採用する場合であっても、選抜モデルは自ら応募者を絞り込むわけですから非常にリスクがあります。最悪の場合を考えてみると、募集への投資を絞ってその分選抜に時間とコストをかけようと意気込んだものの肝心の応募者がほとんど集まらず、しかもそこには自社が期待する人材像と合っている人がいない、ずれていたとなってしまう事もあり得るからです。そうなってしまうと、基本的にリカバリーのしようがありません。元々いない人を採用するわけにはいかないからです。結果として、他社から一周遅れで改めて採用活動をやり直さなくてはならなくなります。今はかなり変わってきましたけれども、応募方法や採用時期が決まっているようなパターンだと、下手をすると1年遅れとなってしまうリスクもあり得るわけです。これは組織の経営者にとって非常に大きなダメージとなります。 また、選抜モデルでは、そもそも応募してくる人の数がそれほど多くはならないはずだということを前提にしています。もしこの前提が崩れてしまうと、現場がパンクしてパニックに陥る危険もあります。そうしたパターンが半ば常態化してしまっているのが現代の大学の教員採用です。大学の教員になるには、基本的にPh.D.と呼ばれる博士号が必要で、さらに学会での研究発表等の高度な業績が求められるため、どこかの大学で教員の募集があったからといって誰でも応募できるというものでは本来ありません。しかも大学の教員募集の場合、例えば企業の競争戦略であるとか現代ヨーロッパの政治思想であるとかいった、かなり限定的な分野について的確な専門性を持ち合わせた人を募集しますので、さらに絞り込まれるはず、です。事実、かつては大学の教員の応募数は数件から多くても十数件であり、それらを厳密に吟味するところにコストをかけるのは合理的なやり方でした。 しかし、現代の日本社会では大学の教員ポジション、特に3年や5年で任期が途絶える有期契約ではない、いわゆる「正社員」待遇のポジションの募集は非常に限られています。それに対して博士号を持つ人の数はずっと多いために、大学の教員募集が行われるとほとんどの場合、数百件もの応募書類の山が押し寄せてくるということになります。こうなると本当に適合性の高い候補者を見つけ出すのは至難の業です。しかも、選抜モデルの前提で全体のプロセスが設定されているために、応募書類は簡便なエントリーシートとは違うのです。数十ページにわたる論文や著書、エッセイが複数、それも全て専門性の高いものですから、目を通すだけでも一苦労です。 また、これも選抜モデルならではの構造ですけど、そうしたスクリーニングにあたるのも高度な専門性と経験のある教授が複数名で専門の委員会を立ち上げて行います。畢竟、その機会費用も莫大なものになります。大学の教員採用は特殊で一般的な企業の採用とは違うと言われるかもしれませんけど、採用プロセスの大枠を決めるモデルと実態がうまくマッチしないと、多かれ少なかれ同じような混乱は、どんな組織であっても起こり得ます。したがって、自社が採用活動を行う場合には、採用したいと思っているポジションや特性と、自社が採用プロセスに投資することの出来る時間・コスト・人員といったリソースを考え併せて、募集モデルと選抜モデルのどちらがより適切かを検討する事が重要になります。 今日のまとめです。本日は、企業やNPOなどの組織が新しいメンバーを採用する際のモデルを2つご紹介しました。1つは自社が採用活動を行っていることを広く告知して認知度を高め、応募者数の最大化を図る募集モデル。もう1つは元々限られた数の応募者のみを受け付けて、そこから最適な人を見極める事に力点を置く選抜モデルです。どちらの方がより優れているというわけではなく、採用を行いたい職業や業務の内容に応じて適切に使い分ける事が重要です。
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