バイデンの対中冷戦と国際協調

QTnetモーニングビジネススクール

今日は、アメリカのコロナとか対中冷戦だとか国際協調の話ですけれども、アメリカのコロナは今どうなっているか知っています？　一旦ワクチンなどで収束したけれども、また拡大しているところです。アメリカは第３波で、１月に１日30万人くらいと大変な事になったのです。ところが、去年の12月くらいからワクチンを一生懸命に打ちました。バイデンが就任した１月20日から「百日の間に１億回打つぞ」みたいなことを言って、８月の始めまでにもう３～４億回くらい打ったのです。その結果、６月末には１日あたり新規感染者数が１万人くらいまで減りました。それで、減った減ったと言ってマスク外していいとか喜んでいたら、残念ながらデルタ株がアメリカにも凄い勢いで蔓延して８月17日で１日あたり21万人と大変な数の新規感染者が出ているという状況になってしまったのです。バイデンは、夏には集団免疫を達成できそうだと思っていたのです。ところが、６割くらい１回目接種をやったのに、デルタ株の場合、集団免疫を獲得するのに６～７割ではなくて、８～９割くらいまで接種を打ってくれないと駄目だという事になってしまいました。この結果、今アメリカでは凄い勢いで接種の義務化が進んでいます。日本は嫌だと言う人に無理強いしないみたいなことを言っているでしょう？　アメリカは結構凄い勢いで無理強いしているのです。　 アメリカでは、コロナ対策で政府はもの凄いお金を使いました。１弾から５弾までのコロナ対策で６兆ドルくらいお金を使って、財政赤字が１兆ドルだったのが３兆ドルくらいになって、今年の９月末には連邦債務が28.5兆ドルくらいになりそうな気配になってきています。この前、バイデンさんが大きな政府を作ろうとしているという話をしたと思います。最初はインフラ計画に８年で2.3兆ドルくらい使う話をしていたのです。ところが、共和党はそんなの無理、政府が大きくなりすぎると大反対して、それから増税も大反対という事で合意出来そうになかったわけです。それで民主党は何をしたかと言うと、2.3兆ドルじゃなくて、1.2兆ドルで手を打ちましょうと言って、６月に1.2兆ドル分のインフラを８年で作るという事を共和党と合意して８月に上院を通しました。民主党が何をしているかと言うと、増税や、米国家族計画として社会福祉を大きくすることを諦めたわけではありません。ただし、増税も大きすぎる社会福祉も共和党は大反対なのです。そこで、増税や社会福祉で共和党と合意するのは無理だから、民主党だけの賛成で通そうとしています。家族計画とそれから企業増税・所得税増税・国際炭素税の導入とかを共和党の賛成を求めず、民主党だけの賛成で通そうという動きが出てきたのです。勿論共和党は怒っているので、これからどうなるかまだ見通せないという状況です。 バイデンはトランプのやっていた政策を結構ひっくり返したのですけれども、一つ継続しているのは対中冷戦です。アメリカ人はみんな中国が嫌いになって、「我々の覇権を脅かす連中は許せない」という事です。バイデンは、ウイグルとか香港で人権無視を中国政府がやっているという様な事を言い始めて、それから、中国包囲網を日韓とかオーストラリアとかインドとかヨーロッパをお友達にして中国を包囲しようとしています。アメリカ一人だけだともう心配なのです。アメリカと中国の力がかなり近くなってきて、ものによっては中国の方がアメリカより強いという状況になってきています。そこで、中国包囲網を作ってなんとかしようという事になってきました。 アフガンから撤退することになったわけですが、何でそもそもアフガニスタンにアメリカ軍が行ったのか覚えています？　対テロと言っても、ニューヨークの高層ビルに飛行機が突っ込んだという事件があって、ブッシュがそれを見て「これは戦争だ」と言った時から話は起こっているわけです。それをやったのがアルカイダのオサマ・ビンラディンという話になって、アフガニスタンのタリバン政権に「アルカイダのオサマ・ビンラディンを出せ」と言ったところ、アルカイダとタリバン政権は親しかったので「嫌だ」と答えました。「それならお前の所にもう攻め入るぞ」と言って、攻め入ったわけです。20年間のアフガン戦争で２兆ドル、対テロ戦争全体で６兆ドルくらいお金を使ったので、アメリカの財政は大変な赤字になっています。日本は社会福祉にお金を使い過ぎて財政が破綻しているのに対して、アメリカは海外の戦争でお金を使いすぎて財政を破綻させてきました。 アフガニスタンから撤退し始めたらタリバンが戻ってきて、アフガニスタンのガニ大統領は逃げてしまいました。ガニ大統領は逃げる時に何だか知らないけど、山のようなお金を持って逃げたという話が伝わってて、ガニ大統領は相当腐敗してお金にまみれて誰からも支持されていないようです。アメリカが撤退しようと決めたとき、当時のアフガニスタン政府軍はタリバン軍よりも数は全然多かったのです。ところが、殆ど闘わないでお金を持って逃げちゃった。「この人達一体何だったの？」というのが問題になっています。タリバン政権は、「女は仕事をするな」「教育を受けてはいけない」、それがイスラム法であるみたいな事を言っていた人達なので、もの凄い人権侵害をするのではないかという疑惑があるわけです。今のところ「そんな事はしませんよ」みたいなことを言っているのですけど、みんな「本当か？」と言って、ちょっとどうなるか見守っているという状況です。 今日のまとめです。バイデンは国内ではもの凄い大きな政府を作ろうとしたわけですけれども、共和党が反対したので、取り敢えずインフラ計画で1.2兆ドルと少し縮めて共和党と合意しました。残った家族計画とか増税とか国際炭素税なんかを全部まとめて、民主党単独の賛成で成立を目指そうとしています。アメリカとしては今迄対テロの闘いという事を延々とやっていたのですけれども、政治的優先度を対テロ戦争から対中国にシフトして、米中冷戦を戦おうという事にしました。その過程でアフガニスタンから撤退した訳ですけれども、アメリカの撤退でアフガニスタンはタリバンの手に落ちて困ったことになっているという状況です。