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スエズ運河の事故から②

 
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昨日は、3月の末に、台湾の巨大なコンテナ船がスエズ運河で座礁し、スエズ運河が閉鎖されたことから、世界のトレードにとってスエズ運河の役割とそれに代わる輸送経路のお話でした。スエズ運河は、アジアとヨーロッパを結ぶ貿易の大動脈ですが、今回のようにそれが利用できなくなった際のバックアップについて、お話ししました。具体的には、アフリカ最南端を回って航海すること、シベリア・ランドブリッジというシベリア鉄道を経由してコンテナ貨物、アメリカン・ランドブリッジと呼ばれる北米経由の輸送や、最近では北極海航路といった選択があるということになります。今日は、今回の事故で明らかになった海運業特有の複雑な仕組みについて、お話をしたいと思います。 まず今回の巨大なコンテナ船は、世界有数の台湾のエバーグリーンという海運会社が運航していたということです。一方で、この船舶を所有するのは、愛媛県に本社にある日本の海運会社であり、その親会社は国内有数の造船会社で、ここでこのコンテナ船は建造されました。エバーグリーンは、後で説明する「定期傭船契約」に基づいて、この船をチャーターしていたことになります。つまり建造したのもオーナーも日本の企業なのですが、船舶が登録されている本籍地と言える船籍はパナマであり、この船を管理するドイツの船舶管理会社が、インド人の船員を雇用して、このコンテナ船の運航を行なっていたようです。普通に聞くと本当にわかりにくい仕組みですが、これは海運業界では一般的と言えます。 昨年8月に、日本の海運会社の大型貨物船が、モーリシャスで座礁して、重油を流出した事故を覚えていらっしゃいますか。これは日本の大手海運企業が、日本の他の海運企業が国内の造船所で建造したパナマ船籍の貨物船をチャーターしていましたが、インド人の船長、スリランカ人副船長他外国人船員が運航している途中で、インド洋のモーリシャスで事故を起こしたもので、2つの船のケースは似ています。 海運業界では一般的と言いましたが、ひとつひとつ説明をしたいと思います。まずパナマ船籍というのは、便宜置籍船と言って、あえて日本の企業が所有する船舶でも、パナマやリベリアといった国に、登記するお話は以前にもしたかと思います。その理由は、船の国籍である船籍を海外に置くことで、登記に関わる費用や法人税、安全基準や船員の雇用などの条件が、日本籍にするよりも軽減されるからです。例えば日本籍であれば、一定数の日本人船員の雇用が必要であるのに対して、パナマ籍であれば、より給与水準の低いインド人や開発途上国の船員の雇用が可能になります。 日本の会社が所有しているのに、あえて海外に便宜的に船の本籍を置くのが「便宜置籍船」と言います。日本船主協会によると、2019年の時点で、日本に船籍をおいて海外で運航される船舶は、272隻しかありませんが、実際には日本の海運企業が所有する船は、2,400隻くらいあるようです。そのほとんどが、パナマなどの船籍を持つことになります。 それでは、なぜ所有する会社と運航する会社が別なのでしょうか? それは、船を所有する会社から、実際に運航する会社が、船をチャーター=傭船することになるからです。それは船舶を建造するコストの問題もありますし、自ら所有することによって生じる需要と供給の変動というリスクを回避できることもあります。 傭船契約には、定期傭船契約、裸傭船契約、航海傭船契約の大きく3種類があります。まず、今回のスエズ運河で事故のあったコンテナ船は、「定期傭船契約」でした。これは船長や船員付きで一定期間船舶をチャーターする契約です。2番目が、「裸傭船契約」と言って、船員抜きで船舶だけをチャーターする契約のことです。3番目が、「航海傭船契約」と言って、比較的短期間で、特定の区域間の貨物輸送を目的として船舶をチャーターすることです。 これらの契約の形態の違いで、誰が費用を負担するということも変わってくるのです。簡単に説明するとレンタカーと観光バスの違いを考えるとわかりやすいかもしれません。誰が運転して、誰が事故の責任をとるのか。船員の雇用や保険料などの費用負担もそうですが、それ以上に発生する義務も異なるということになります。例えば、今回のスエズ運河の事故の原因がどのように特定されるかはわかりませんが、船員の過失があったとしても、それは運航していたエバーグリーンではなく、日本の企業にあるのは、船員付きでチャーターの「定期傭船契約」だったからです。船主の責任です。 そして、最後に船舶を所有する船主が、船員の雇用や船舶の管理などを自ら行うのではなく、専門性のある船舶管理会社という企業に委託することも浸透しています。それが、ドイツの会社が、インド人の船員を日本の企業の所有するコンテナ船に乗せていた理由です。これらの複雑な仕組みは、すべてコストを下げるように考えられた結果と言えます。 今日のまとめです。海運業界は、驚くほどに複雑で、グローバルなビジネスです。今日は海運業界では一般的ともいえる船舶の便宜置籍や船舶のチャーターである傭船、外国人船員の実態について説明をいたしました。これらがコスト削減を意図している結果ですが、それが安全性にも影響するとなると、十分に注意する必要があります。
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昨日は、3月の末に、台湾の巨大なコンテナ船がスエズ運河で座礁し、スエズ運河が閉鎖されたことから、世界のトレードにとってスエズ運河の役割とそれに代わる輸送経路のお話でした。スエズ運河は、アジアとヨーロッパを結ぶ貿易の大動脈ですが、今回のようにそれが利用できなくなった際のバックアップについて、お話ししました。具体的には、アフリカ最南端を回って航海すること、シベリア・ランドブリッジというシベリア鉄道を経由してコンテナ貨物、アメリカン・ランドブリッジと呼ばれる北米経由の輸送や、最近では北極海航路といった選択があるということになります。今日は、今回の事故で明らかになった海運業特有の複雑な仕組みについて、お話をしたいと思います。 まず今回の巨大なコンテナ船は、世界有数の台湾のエバーグリーンという海運会社が運航していたということです。一方で、この船舶を所有するのは、愛媛県に本社にある日本の海運会社であり、その親会社は国内有数の造船会社で、ここでこのコンテナ船は建造されました。エバーグリーンは、後で説明する「定期傭船契約」に基づいて、この船をチャーターしていたことになります。つまり建造したのもオーナーも日本の企業なのですが、船舶が登録されている本籍地と言える船籍はパナマであり、この船を管理するドイツの船舶管理会社が、インド人の船員を雇用して、このコンテナ船の運航を行なっていたようです。普通に聞くと本当にわかりにくい仕組みですが、これは海運業界では一般的と言えます。 昨年8月に、日本の海運会社の大型貨物船が、モーリシャスで座礁して、重油を流出した事故を覚えていらっしゃいますか。これは日本の大手海運企業が、日本の他の海運企業が国内の造船所で建造したパナマ船籍の貨物船をチャーターしていましたが、インド人の船長、スリランカ人副船長他外国人船員が運航している途中で、インド洋のモーリシャスで事故を起こしたもので、2つの船のケースは似ています。 海運業界では一般的と言いましたが、ひとつひとつ説明をしたいと思います。まずパナマ船籍というのは、便宜置籍船と言って、あえて日本の企業が所有する船舶でも、パナマやリベリアといった国に、登記するお話は以前にもしたかと思います。その理由は、船の国籍である船籍を海外に置くことで、登記に関わる費用や法人税、安全基準や船員の雇用などの条件が、日本籍にするよりも軽減されるからです。例えば日本籍であれば、一定数の日本人船員の雇用が必要であるのに対して、パナマ籍であれば、より給与水準の低いインド人や開発途上国の船員の雇用が可能になります。 日本の会社が所有しているのに、あえて海外に便宜的に船の本籍を置くのが「便宜置籍船」と言います。日本船主協会によると、2019年の時点で、日本に船籍をおいて海外で運航される船舶は、272隻しかありませんが、実際には日本の海運企業が所有する船は、2,400隻くらいあるようです。そのほとんどが、パナマなどの船籍を持つことになります。 それでは、なぜ所有する会社と運航する会社が別なのでしょうか? それは、船を所有する会社から、実際に運航する会社が、船をチャーター=傭船することになるからです。それは船舶を建造するコストの問題もありますし、自ら所有することによって生じる需要と供給の変動というリスクを回避できることもあります。 傭船契約には、定期傭船契約、裸傭船契約、航海傭船契約の大きく3種類があります。まず、今回のスエズ運河で事故のあったコンテナ船は、「定期傭船契約」でした。これは船長や船員付きで一定期間船舶をチャーターする契約です。2番目が、「裸傭船契約」と言って、船員抜きで船舶だけをチャーターする契約のことです。3番目が、「航海傭船契約」と言って、比較的短期間で、特定の区域間の貨物輸送を目的として船舶をチャーターすることです。 これらの契約の形態の違いで、誰が費用を負担するということも変わってくるのです。簡単に説明するとレンタカーと観光バスの違いを考えるとわかりやすいかもしれません。誰が運転して、誰が事故の責任をとるのか。船員の雇用や保険料などの費用負担もそうですが、それ以上に発生する義務も異なるということになります。例えば、今回のスエズ運河の事故の原因がどのように特定されるかはわかりませんが、船員の過失があったとしても、それは運航していたエバーグリーンではなく、日本の企業にあるのは、船員付きでチャーターの「定期傭船契約」だったからです。船主の責任です。 そして、最後に船舶を所有する船主が、船員の雇用や船舶の管理などを自ら行うのではなく、専門性のある船舶管理会社という企業に委託することも浸透しています。それが、ドイツの会社が、インド人の船員を日本の企業の所有するコンテナ船に乗せていた理由です。これらの複雑な仕組みは、すべてコストを下げるように考えられた結果と言えます。 今日のまとめです。海運業界は、驚くほどに複雑で、グローバルなビジネスです。今日は海運業界では一般的ともいえる船舶の便宜置籍や船舶のチャーターである傭船、外国人船員の実態について説明をいたしました。これらがコスト削減を意図している結果ですが、それが安全性にも影響するとなると、十分に注意する必要があります。
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