映画と文化(2):映画への道:大林宣彦作品との出会い

 
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今日は映画のお話です。「映画と文化」という新しいシリーズを始めました。最初の2回分で、なぜ「映画と文化」の話をしようとしたか、私自身と映画との出会いの話をしており、その2回目ということになります。 私が最初に映画と親密になったのは、この間亡くなられた広島の尾道出身の大林宣彦監督作品です。それで、大林監督の話は避けて通れません。最初に衝撃を受けたというか、映画にはまったのは、尾道三部作という、大林監督が尾道で撮った映画の中の3番目の「さびしんぼう」という映画です。富田靖子さんが16才、17才くらいの頃の映画です。私が個人的にベストと思う映画なのですが、私はこの映画で衝撃を受けて、映画の世界に引きずり込まれました。 これから1本ずつ映画を取り上げていきたいと思っているのですが、大林監督の尾道三部作の最初の作品である「転校生」を次回取り上げようと思っています。この尾道三部作を見ているうちに、愛するあまりにちょっと熱狂して、当時は簡単にビデオのキャプチャが取れなかったので、ビデオを再生して、それをテレビに映して、それをカメラで写して、それを現像する、などということをして、1コマ1コマの記録を作りました。「凝る」というのはそういうことだと思います。 それで、このシーンを尾道の中のどこで撮ったかということを突き詰めたいと思い、どうにも止まらなくなり始めました。実はこの尾道三部作っていうのは、いわゆる「ロケ地めぐり」という楽しみ方をファンがすることのはしりに近い時代でした。それがその地元の情報として、あのシーンはここで撮った、というのが、散発的に置いてあったりはしましたが、それを網羅的にやってみようという欲望が湧いてきました。当時、福岡女学院大学におられた荒木正見という哲学の先生が大林作品に詳しかったので、お手紙を書いたところ、じゃあ一緒に取材しましょうという話になり、どこでどれが撮られたというようなことを哲学的な分析と組み合わせて、本を作り上げることまでしてしまいました。それがきっかけで、映画というのは、1つ1つをしっかり確かめて、そしてロケ地に行ったり色々な研究をすると、こんなに深いところまで楽しめるということを知ってしまいました。 そうなってくると、世界中にある名画を見ないでこの世を去るわけにはいかない、という気持ちがむくむくと湧いてきて、名作や小さい頃に見ていなかった誰もが見たであろう名作を見ないのは勿体ないという気持ちになり、そこから大事な大学院生時代をかなりの時間、映画に使ったということをしてしまいました。 今でこそインターネットでロケ地めぐりも簡単に情報が手に入りますが、当時はこれがどこで撮られたのか1つ1つ調べていくというのは、2、3年かかりました。自分の取材を基に自分で地図を作って、この地点でこれを撮影した、ということをやりました。そこから数年の間、マニアの方が現地の本屋さんに置いてあるその本を見てロケ地を廻ったという話は聞いています。 ちょっとやり過ぎたなという気もしていますが、それで覚えていてくれたのでしょうか、大林監督ご本人から一度お葉書をいただいたことがあって、尾道がどんどんウォーターフロントの開発をして、モダンになっていてすごく寂しい、ということが綴られているお葉書でしたが、同じような思いで、この映画の世界、尾道の世界を守っていきたい、というようなメッセージを込めて本を書いたものですから、それを覚えていて下さったのだと思います。今ではその葉書は大切な宝物になっています。私は凝り性なので、前に鉄道ファンをやっていまして、日本の鉄道全線完乗を、地下鉄から路面電車からケーブルカーまで全部やったことがあり、何か走り出したら止まらなくなります。 こうして映画の世界に入ってきた人間ですけれども、研究者としてやっているわけではありません。あくまでも映画の1ファンが見聞きした映画というスタンスから、これからお話をしていくことになるかと思います。ただ、最近仕事が忙しくて、映画館やビデオ屋に行く機会もすごく減っていて、以前は「今の映画界はこうなっていて、こういう作品があって」ということをさらさらと言える状態だったのですが、最近それがなかなかできなくて、非常に残念な思いをしています。 次回からは映画を1本ずつご紹介したいと思っています。実は尾道ではロケの見学もしたことがあり、色々な所が立体的に見えてくると、映画って本当にどれ1つ捨てられないと思えてくるものです。 今日のまとめ: 「映画と文化」というシリーズを始めさせていただき、私と映画との関わりというのを2回に亘ってお話ししました。次回から是非、1つ1つの作品をお楽しみにしてください。

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