128 第117話

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「こんな時間になんです?」
突如かかってきた古田からの電話だった。
「石大の井戸村の背後で糸を引く男がおる。井戸村はどうやらそいつと決別するようや。」
「…。」
「どうした?マサさん。」
「古田さん…。」
「なんや。」
「休みでしょ。休みの時は仕事のことは一切考えん方がいいです。」
「なんやその言い方。」
「いいですか。古田さんは岡田課長から休めと言われとるんです。いまのあなたの仕事は休むこと。んなんにそれせんと仕事しとる。」
「いいがいや。わしはわしでフリーの立場でやれるだけのことやろうとしとるんや。休みの間の時間の使い方ぐらいワシの勝手にさせてくれ。」
「時間の使い方は古田さんの勝手ですが、それにこちらを巻き込むようなことはお控えください。」
突き放したようにもとられるこの富樫の言い方に、古田はショックを受けた。
「いま古田さんから報告いただいた件は、すでに相馬さんが把握しとります。」
「相馬が?」
「はい。」
「…。」
「なんで古田さん。あなたは岡田課長に言われたとおりお休みください。休めば気力も体力も復活する。そうすればかつてのスッポンのトシの復活です。」
「かつての…。」
「はい。」
「マサさん。」
「なんです。」
「ワシ、そんなにおかしいか。」
「え…。」
「ワシ、ほんなに妙なこと言っとるか?」
ここで「はい」なんて言えるわけがない。富樫は黙った。
「ほうか…やっぱりほうなんやな…。」
「…はっきり言って異常なんです。」
「・・・。」
「古田さんがやっとったこの仕事。わしらご隠居さんみたいな人間がやることじゃありませんよ。オーバーワークにもほどがあります。」
「まぁ…。」
「この歳になりゃ自分のこともままならんがになっとるっちゅうがに、いろんな人間のハブやれってどうかしとりますよ。それやるがは上の連中でしょうが。」
「マサさん。それはこの組織の特性上しゃあないことなんや。できてまだ5年程度。人材不足は否めん。いろんな方面に負担がかかるのはしゃあない。」
「だから準備不足なんです。」
「準備しとったら、今みたいなこと防げたんか?あ?」
「…。」
「たぶんこの手のことは最低でも10年は準備に必要やと思うぞ。」
「じゃあもうちょっと若い連中をあてがえばいいじゃないですか。」
「若いとできんがや。」
「なにが。」
「難しい連中ばっかやろ、このシマ。言うこと聞かんがや。しかもできたてほやほやの部署。特段実績もない。そんな部署で言うこと聞かせられてる人間言うたら、それなりに説得力のある人間じゃねぇといかん。勉強ばっかで実績無しのキャリアなんか無理や。そこで現場たたき上げ、信頼と実績のマサさんが抜擢された。そう思えんけ?」
この古田の考察と明瞭な発言。認知症とは思えない。
「いやだから、この過酷な仕事が古田さんをそんな状態にしたって事実があるじゃないですか。」
古田はため息をつきしばらく間をとって口を開いた。
「マサさん。実はワシはワシで自分の妙な感覚を感じ始めとったんや。」
「…。」
「マサさんもそうや。岡田にしてもそうや。周りの様子を見りゃ、あぁなんかワシやらかしとるっぽいなってのはわかる。ただ正直なにがどうおかしくなっとるか。具体的なところがわからんがや。」
ーなるほど…。ほんでいま自分が考えとったそのこと自体も忘れてしまうんか…。だから認知症状ってわけか…。
「古田さん。ほやから休息なんですよ。仕事デキすぎ古田さんでさえ、その多忙さにやられてほんなことになっとるんですから、ワシもいい加減このポジションから足洗わんと同じことになります。このヤマ超えたら、やっぱり自分引退します。」
「だめや。」
「え?」
「マサさん。いまのマルトク、とりわけこの石川のケントクの実質的現場指揮を執れるのはマサさん。あんたしか居らん。」
「いや岡田課長が…。」
「普通の組織なら岡田でいい。けどさっきもワシ言ったがいや。まだ5年程度の日の浅い組織やって。このマルトク。」
「はい。」
「かつての公安調査庁を警察に組み込む形で再編成された公安特課。今のこの状態を快く思わん連中がまぁまぁ居るのは、マサさん。あんたならわかっとやろ。」
「はい…。」
「公安調査庁は朝倉忠敏の古巣。奴の影響があの事件ですべて排除されたとは思えん。朝倉シンパってのがまだ相当数居る。だからと言って、あからさまな監視はNGや。反感買ってややっこしいことになるしな。」
「はい。」
「あいつらはあいつらで結構なプライド持っとるがいや。そんな気高き人間を監視するには、目立たん存在が一番。ワシらのような現場から一線を退いたようなジジイが目立たんところから目を光らせるのが一番なんや。岡田のような役職ついとる人間がが目を光らせるとあからさまに目立つ。けどワシらのようなお疲れさまでしたっていつでもポイできる存在は気にかけん。」
「確かに周りはワシら年寄りのこと、居っても居らんでもいい感じで見とるでしょうね。」
「マサさんが言うように、正直この歳でハブ役なんてオーバーワークや。周りもそう見とる。けどそれが上の狙いやったとしたら?」
「納得できんくもないです。」
「な。」
「…。」
「組織の雰囲気ってのは10年ほどせんと変わらんもんや。ほやからあと5年。あと5年はマサさんに頑張ってもらわなな。」
「なに言っとるんですか。古田さんには早く復活してもらわな困ります。ほやから今はゆっくりと休んで…。」
「マサさん。もういい。」
「へ?」
「もういいんや。ワシは。ワシは自分の限界を感じとる。」
「ちょ…。」
富樫は目の前にあるモニターに目をやった。
椎名が外から帰ってきたようだ。牛乳を飲み、彼はパソコンの画面をのぞき込んでいる。
「あんただけに言っておきたいことがある。もう少し時間いいか?」
部屋に取り付けられたカメラの映像を切り替えるも、その中は見ることができない。
「いいでしょう。」
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「Я уже говорил с майором Зинкавой. 
さっき仁川少佐と話した。」
「Как все прошло?
どうでしたか」。
「Решение было принято в 6 часов вечера.
18時に決行だそうだ。」
「Тогда мы будем готовы к этому времени.
ならばこちらもそれまでに準備します。」
「Есть ли какие-нибудь признаки того, что они знают о наших передвижениях?
我々の動きを察知している気配はあるか?」
「Сейчас нет.
今のところありません。」
「Хорошо. そうか。」
「Но。ですが」
「Но? Что это такое? ですが何だ?」
「Меня беспокоит, что до сих пор нет никакого движения.
Бюро общественной безопасности является членом фракции Офрана, поэтому мы знаем, чем они занимаются.
Но в Японии есть и другие разведывательные подразделения.
未だ何の動きもないのが気になります。
公安特課はオフラーナ派なのでその動きはつかめます。
ですが日本には他にも情報部隊が存在します。」
「Что это? なんだそれは?」
「Силы самообороны.
自衛隊です。」
「Силы самообороны?
自衛隊?」
「Да.はい。」
「Вы имеете в виду военную разведку?
軍の諜報部隊ということか。」
「Да, сэр.その通りです。」
「Насколько он хорош?
実力のほどは?」
「Я не знаю.不明です。」
「Ну... …。」
「Я могу сказать тебе одну вещь.
Силы самообороны обладает более высокими оперативными возможностями по сравнению со Специальной службой безопасности.
ただこれだけは言えます。治安機関である公安特課と比べて、自衛隊は作戦能力が優れています。」
「Я знаю. Возможности Силы самообороны считаются угрозой в нашем мире.
知っている。自衛隊の実力は我が世界でも脅威とされている。」
「Мы должны опасаться организации, которая так тайно работает против нас.
その実力組織が我々に秘密裏に動いているとしたら用心しなければなりません。」
「Не беспокойся об этом.
それは心配ない。」
「Почему вы так уверены?
どうしてそう言い切れるのですか。」
「Япония - страна, где политика всегда тянет на поле.
日本という国は必ず政治が現場の足を引っ張る。」
「Политика?政治が?」
「О.あぁ。」
「Понятно.…
なるほど。」
「Подполковник Примаков отдал мне приказ в случае необходимости без колебаний выполнять свои обязанности.
プリマコフ中佐からはいざというときは迷うことなく任務を遂行せよとの命令だ。」
「Нет смысла колебаться.
迷いは意味がない、と。」
「Да.そうだ。」
「Это пустая трата времени, не так ли?
宝の持ち腐れ…ですか。」
「Это верно.Господин Ятака.」
そういうことだ。矢高さん。」
「Тем не менее.
Я думаю, что было бы лучше разогнать Службу специальной безопасности.
とはいえ、公安特課を攪乱するに越したことないかと存じますが。」
「Действительно.
確かに。」
「Можно мне попробовать?
試してみてもいいですか。」
「Разрешить.
許可する。」
「Большое спасибо.
Я сделаю это прямо сейчас.
ありがとうございます。すぐに始めます。」
「Удачи!
健闘を祈る。」
「Пока.
それでは。」
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