GO GO台湾 - 2022-03-26_屏東県三地門郷
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≪トーク①:屏東県三地門郷、「地磨兒藝術公園」≫
この1週間は、週の頭は雨が降って肌寒い日が続いた台湾ですが、木曜日から天気も気温も回復してきて、金曜日はもう日中は30度近い気温となりました。ただ、今日はまた雨が降って肌寒かったりするので、この時期は台湾の人たちも着るものに悩むようで、街を歩いていても、半そで姿の人や、ショートパンツの人がいるかと思えば、一方でニットやダウンを着ている人もいたりして、季節がよくわからなくなります。
この3月ごろに台湾を訪れる際には、天気次第で気温が1日で10度も差があったりすることもざらですので、一応、温かい上着も持ってきておいて、脱ぎ着ができるような洋服を選ぶのがいいと思います。
そして、この時期は夕方から夜にかけて過ごしやすい気候なので、このくらいの時期から、夜に行われるイベントもだんだんと増えてきますので、イベントに参加したり、お散歩に出かけたりしてもいいかもしれません。
ちなみに、今日(3/26)と明日(3/27)は、台湾南部、屏東県の三地門鄉で、「Kelu!夜山星空音樂會」というイベントが行われているんですよ。
この屏東県の三地門鄉と言えば、パイワン族の人たちが多く住んでいて、台湾の南部における原住民族の芸術の町という事で、今回の音楽会では、伝統舞踊や音楽劇、オーケストラ演奏などの芸術公演を通じて、パイワン族やルカイ族の原住民文化を紹介したり、現地のパイワン族の音楽や踊りなども行われるそうです。
星空の下でそのような音楽を楽しめるなんていいですよね。
今回、初めて規模を拡大したイベントとのことなんですが、このようなイベントは台湾の多元的な文化を楽しめるので、これから恒例のイベントにして欲しいですね。
その「Kelu!夜山星空音樂會」が行われている、三地門鄉。
先ほどもちらっと言いましたが、ここはパイワン族の人たちが多く住むエリアで、”屏東北部エリアでとても有名な原住民族の故郷なんです。
ここには、明確な観光スポット名のない場所も多いんですが、郷を巡るだけでも、先ごろパリのデザインアワードで注目を集めた、パイワン族の伝統家屋「石板屋」があったり、彫刻があったり、パイワン族の伝統的な衣装や、刺繍など、パイワン族の独特な生活や日常の風景を感じることができます。
郷全体で、普段、私たちがよく見る“台湾”とは違った雰囲気を楽しむことができますが、その中でも“名前のある”おススメのスポットをご紹介しましょう。
まずは、今回の音楽会の会場にもなっている「地磨兒藝術公園(地磨兒芸術公園)」。
ここは、台湾でも数少ない“原住民公園”のひとつとされていて、パイワン族の豊年祭や、南島族群(オーストロネシア語族)の婚礼イベント、桐花祭賞花(アブラギリの花まつり)、その他地元の祭りの会場となっています。
メインの「生命舞台」は、地面にモザイクアートで大きな太陽が描かれていていて、その「生命舞台」の目の前には展望台があるんですが、さすが「石板」と呼ばれる板のような石材が豊富にとれる三地門とあって、展望台の柱やイスなども「石板」で作られています。
ちなみに、公園の入り口にある公園の名前が書かれた看板も「石板」で作られていますよ。
また、このほかにも「生命舞台」の周辺には、男性を象徴し、生命の連続性と、部族の祈りと先祖の加護が受け継がれることを表しているという「祖靈柱(祖先の霊を祀る柱)」や、女性を象徴し、生命の誕生と豊かな食を祈る、大きな「灶(かまど)」のオブジェがあります。
広い公園内には、他にもパイワン族の伝統や文化がたくさん詰まっていて、公園沿いの森は、現地の原住民族の人たちの主要な狩猟場なんだそうです。
公園は小高い場所にあるので、眼下には集落が広がっていて、そこから見る景色もいいですよ。
三地門鄉を訪れたら、まずはぜひこの「地磨兒藝術公園」に足を運んでみてくださいね。
「地磨兒藝術公園」までのアクセスは、在来線台湾鉄道「屏東」駅下車、屏東バスターミナルから、屏東客運バスの8227番、8228番、8229番など三地門方面行きのバスに乗って、「三地門鄉公所」バス停下車、徒歩10分です。
≪トーク②:中山公園/山川琉璃吊橋≫
「地磨兒藝術公園」を訪れたら、そこから徒歩10分ほどの場所にある「中山公園」にも足を運んでみてください。
そこは、日本統治時代、殉職した軍人たちを祀る「忠烈祠」だった場所で、「三地門神社」があった場所です。その後、公園として整備されたそうです。
この「中山公園」内には、4つの見どころがあって、まずは何と言っても高さ12メートルある“3つの宝の巨大なオブジェ”。
パイワン族は、青銅の刀、陶器の壺、トンボ玉が一般的に“パイワン族の3つの宝”と言われているんですが、その3つの宝が、それぞれではなく、一つになった大きなオブジェです。
どんな形かというと、大きな6本の青銅の刀を支えとした台の上に、大きな陶器の壺が載っていて、その壺の上に大きなトンボ玉が刺さっている…というデザインとなっていて、台湾最大であり、世界最大のパイワン族をイメージするオブジェとして、ここを訪れたら必ず見ておくべきだと言われています。
そして、2つ目のポイントは、「コーヒー」。
三地門の集落には、伝説の“雲の上のコーヒー”があるんです。
1884年に日本人が、標高900メートルの場所に位置する「德文村」がコーヒーの栽培に適しているとして、コーヒーの樹を植えて栽培を始めたんだそうで、何でも日本統治時代には天皇家へ献上されたとも言われているそうです。また、「徳文コーヒー」は、国際的なコンテストで銀賞を受賞したこともあります。ここでは、そんな「徳文コーヒー」を楽しむこともできます。
そして3つ目は、パイワン族劇場。休日には原住民族の歌や踊りのステージが行われていて、伝統的な歌声のパワーと美しさを感じることができます。時にはステージに誘われて一緒に歌ったり踊ったり…なんてチャンスがあったりもしますよ。
そして4つ目は、文化館。
館内には、原住民族の芸術の品々が展示されています。
パイワン族の家宝であるトンボ玉の物語や、彫刻の芸術などが楽しめますよ。
「中山公園」に行ったら、ぜひこの4つの見どころを押さえて楽しんでくださいね。
そして、もう1か所、おススメの“名のある”有名観光スポットが、「山川琉璃吊橋」。
三地門鄉とお隣の瑪家鄉の間を流れる川、隘寮溪にかかっている橋で、橋の幅はそれほど広くなく、人がすれ違えるくらいの幅しかありませんが、全長は262メートル、最も高い所で45メートルの、ハンモック式吊橋で、その橋からは、山々の絶景が楽しめます。
完成した2015年当時、ハンモック式吊橋としては台湾最長だったんですが、2017年に桃園の復興鄉にできた「新溪口吊橋」に抜かれてしまいました。
それでも長い橋には変わりありませんからね。ゆっくりその絶景を楽しんでください。
橋のデザインも、白い橋は大きな蛇のよう。そして、橋の両側にはパイワン族の代表的な図柄である“百步蛇”という毒蛇の体の模様が施されていたり、パイワン族の家宝の一つであるトンボ玉の説明が設置されていたりするので、美しい景色と共に、パイワン族の文化も感じてください。
「山川琉璃吊橋」は一人50台湾元(日本円およそ210円)の入園料がかかります。アクセスは、在来線台湾鉄道「屏東」駅下車、屏東バスターミナルから屏東客運の8227番、8228番、8229番など三地門方面行きのバスに乗って「水門」バス停で下車、602、603番のバスに乗り換えて、「原住民文化園區」バス停下車です。
≪トーク③:パイワン族の文化や食を体験、「安坡童玩王國」≫
この三地門鄉では、郷のいたるところでパイワン族の文化や生活を感じることができますが、せっかくならその文化を体験してみたいですよね。
そんな方におススメなのが「安坡童玩王國」。
ここでは、パイワン族の伝統的な衣装を着ることができたり、現地の原住民料理を楽しめたり、大自然を楽しんだりできます。
試着体験ができるパイワン族の伝統的な衣装は、結婚式などで着るような正式な衣装で、装飾はとても華やか。特別な気分を楽しめますよ。ぜひ伝統衣装を着て素敵な記念の写真を撮ってください。また、衣装の装飾は一つ一つ手作業で作られているそうですので、写真撮影を楽しむだけでなく、ぜひその細かな装飾品や刺繍もじっくり見てみてくださいね。
また、伝統的なおやつ「初魯克」を作る体験もあります。
この「初魯克」とは、お餅の中にピーナッツの粉などを包んだ伝統的なおやつですが、私たちが一般に想像する作り方は、1個ずつのサイズに分けたお餅に餡をくるむ…というイメージかと思いますが、この「初魯克」の作り方は、ついたお餅を小分けにするのではなく、そのまま、まずは細長く伸ばして、その上にピーナッツの粉を線を引くように載せ、そのピーナッツ粉をくるむように包んで、ピーナッツ粉がくるまった細長い棒状のお餅を作ります。そして、それを乾燥させた月桃の葉でカットして完成なんです。その工程をお餅をつくところから体験できますよ。
最近では日本でもなかなかお餅をつく機会がないと思いますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
なお、この体験は一定の人数が揃っていないと行われませんので、現地ツアーに参加することをおススメします。
オプショナルツアーを扱っているKKdayでは、半日プランと一日プランがありましたよ。ぜひ自身の旅のスケジュールと相談して参加してみて下さいね。
この三地門鄉は、実は2009年に起こった「八八風災(日本語:八八水害)」と呼ばれる台風モーラコットによる水害で大きな被害を受けた地域なんです。
その「八八風災」によって、集落が壊滅的な被害を受けたところなどもありましたが、集落の人たちの努力によって乗り越え、故郷の伝統文化を受け継ぎ、発展させ、発信していってます。
ぜひ、現地のパイワン族の伝統や文化と共にそのエネルギーも感じてきてくださいね。
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