宝島再発見 - 2020-12-19_「超山臨海記-台2甲陽金公路」について
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今週この時間では、本をご紹介いたします。本と聴きますと、堅苦しいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、きょうご紹介する本は、台湾に対する認識をさらに深められる本であって、観光の本でも言えます。しかも中国語版のほか、日本語版、英語版もあります。日本語版には関連映像のDVDまでついています。日本語の字幕があるDVDです。
この本の中国語のタイトルは、「越山臨海記-台2甲陽金公路(邦題:山を越え、海を抱き)」となっています。この本は、台湾省の省道、「台2甲線」を紹介する本です。「省道」は、二つ以上の県と市を連絡する、省レベルの道路のことです。県と市の間の交通、政治、経済を繋ぐ重要な存在です。台湾では高速道路以外の主要な道路システムとして機能しています。
省道は、「一般の省道」と「省道快速公路」の二種類に分かれています。今週ご紹介する「台2甲」線は「一般省道」に属します。「台2甲」は、また「陽金公路」とも呼ばれています。台湾では別名の「陽金公路」で親しまれています。北は、台湾北部・新北市金山区中正路から、台北市近郊の景勝地・陽明山を経て、台北市中山区で「台1甲」線と繋がっています。
「陽金公路」は、全長36.863キロメートルあります。そのうち、およそ14.3キロメートルは、坂道です。平均勾配は5.3%です。道路の幅はおよそ7メートルです。自転車で行く場合、1時間6キロメートルのスピードでしたら、およそ140分かかります。
「陽金公路」の開発史は、台湾のほかの道路と大きく異なっています。以前、この一帯に住んでいた人たちが生活必需品を補給するために、人の力で開拓してきた道です。清の時代、陽明山の硫黄を採掘する産業・鉱業が次第に発達するようになり、この道を使って硫黄を採掘する人もだんだん増えていました。漁民もこの古い道を使って山を越えて漁獲を販売に行きました。そのため、この道は、「魚路古道」とも呼ばれています。
硫黄の採掘者と漁民に続き、日本軍、中華民国軍、アメリカ軍も「陽金公路」を利用することにしました。異なる対象と異なる時代は、今の「陽金公路」の特色を形成しました。台湾には「陽金公路」ほど、日本、アメリカ、台湾の文化の特色を兼ね備えた、国際的視野を持つ、国際色豊かな道はないでしょう。
今週この時間では、この本の出版に尽力した三名の方をお迎えいたしまして、この本についてご紹介いたします。
発行人:交通部公路総局第一区養護工程処の陳営富・処長
作者:国立台北芸術大学建築および文化資産研究所の李瑞宗・教授
翻訳者:宍倉香里様
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