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投資のリスクとリターン②

 
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前回、投資によりリターンが得られる根拠は、①インフレ率をカバーすること、②収益率が変動するリスク、③他の同程度のリスク案件に投資した場合のリターンを考えた機会費用相当分―――の3つがあることを説明しました。 また、(株式)投資を行う際に問題になるのは、投資の現在価値(理論株価)と当初の投資額(現在の実際の株価)であり、前者は投資をすることで将来得られることが期待される利益(キャッシュ・フロー)と、既述の根拠3点を勘案した場合のリターンである割引率から求められること、また、前者が後者を上回っていれば、投資は実行すべきと判断されることを説明しました。 このことから、コロナショックにより株価が3月に大きく下落しましたが、その後各国中央銀行が金融緩和策を採ったことで将来の企業利益の回復が見込まれ、また、国債などの無リスク資産のリターン低下に伴い割引率も低下したため、株価は上昇に転じたということが理解できかと思います。 ただ、投資の判断に必要なこれらの要素の中ではっきりしているのは当初の投資金額(現在株価)位で、将来の利益(キャッシュフロー)の予測は難しいし、割引率についても正しく見積もることは簡単ではありません。理論的には冒頭の3つが根拠となっているので、インフレ率をカバーし、リスクなしの投資をした場合に得られるリターンに、収益率が変動するリスクに見合うプレミアムを加えてやれば良いのですが、リスクに見合うプレミアムを決めるのは難しく、過去何十年間かの歴史的なデータから統計的に推定しているだけなので、曖昧さは否めません。 ところで、投資のリスクを考える上で面白いのは、投資を単独の対象に対して行うよりも、2つ以上の対象への投資を組み合わせて行うと、リスクが小さくなるということです。例えば、1銘柄の株式に全額投資をするのではなくて、半分ずつ異なるリスク・パターンの株式に投資すれば、期待されるリターンはそのままで、リスクをより小さくすることができます。逆な言い方をすれば、異なるリスク・パターンの投資を2つ以上組み合わせれば、より小さなリターンしか期待できない投資でも割に合うということが言えます。 具体例にお話しすると、Aさんは夏の週末、行楽地で麦わら帽子を売ることを考えていますが、晴れの日にはよく売れるので大幅な黒字となりそうですが、雨の日はほとんど売れないので小幅な赤字になりそうです。天気予報によれば夏の間晴れの日と雨の日が半々ということなので、営業日数の50%は大幅黒字、50%は小幅の赤字と考えると、全体として黒字は期待できそうですが、人手が多く見込まれる週末の天気次第では赤字で終わる可能性があります。そこでAさんは、麦わら帽子だけではなくて傘を併せて売ることを考えました。傘は晴れの日には売れないので逆に小幅の赤字となりますが、雨の日には大幅な黒字が見込めます。その結果、Aさんは晴れでも雨でもほとんどぶれることなく、黒字が期待できることになりました。元手の制約から、全体の利益では帽子だけを扱っていた時の期待値レベルにとどまったとしても、期待するリターン(利益率)は同じでも天気リスクを排除できたことになります。 このケースは、晴れと雨という2つの確率的事象に対して全く逆のパフォーマンスを示す投資の組合せだったのでリスクをほとんど排除できてしまうという極端な例でしたが、外的な刺激に対して常に同じように反応する対象への投資の組合せでない限り、一般に複数の対象への投資を組み合わせることで、単独の対象への投資の場合よりもリスクを小さくすることができます。こうした投資の組合せをポートフォリオと言いますが、研究によれば、株式投資の場合、30銘柄を組み合わせれば、20%~50%のリスクを排除できます。 しかし、それでも全てのリスクが排除できるわけではありません。先程の例でも、景気動向とか行楽地への人出といった要素は、麦わら帽子の売上にも傘の売上にも同じように影響するので、組み合わせてもその部分のリスクは残ってしまいます。株式投資の場合で言えば、IT企業や医療品製造業の株を含めることでコロナショックは和らげることができますが、GDP成長率など市場全体が同方向に反応する要素に対するリスクは排除できません。 このことから、株式投資をする際には、単独企業の株式に投資をするよりも、日経平均とか、TOPIXとかいったポートフォリオに連動するETF(上場投資信託)などに投資した方が、同じリターンを確保しながら、リスクが小さくなっているので一般に有利と言えます。勿論、特定の企業を深く研究して、その株価の反応を見極めているような場合はその限りではありませんが。 何れにしろ、企業・個人問わず、投資案件・投資行動を評価する上では、リスクとそれを勘案したリターンという投資の基礎的な概念を理解することが重要です。 まとめ:投資の判断・評価をするために必要となる投資の理論的現在価値の計算は、専門家をもってしても難しいのですが、原理は理解しておきましょう。また、投資は複数を組み合わせたポートフォリオに対して行えば、リターンを維持しつつリスクを小さくできるということも重要なポイントです。
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